カストラートのレビュー・感想・評価
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稀代の歌声で時代を魅了したカストラート歌手ファリネッリの、時代再現が見事な伝記映画
ベルギー出身のジェラール・コルピオ監督の純粋なる音楽映画。稀代のカストラート歌手ファリネッリの数奇な生涯を見事な時代再現で創作した力量に感服する。バロック音楽の超絶技巧の素晴らしさと魅惑性。大音楽家ヘンデルとの関係も興味深く描かれている。クラシック音楽ファンを自認する者には、堪らない映画の一本。この作品だけでも、ヨーロッパ音楽の奥深さと成熟度、そして耽美主義に圧倒されてしまう。主演のステファノ・ディオニジの好演も印象に残る。
伝説の美声
ボーイソプラノの音域を出せる時期に去勢し、大人になってもその音域で発声できるカストラート。そのカストラートととして有名だったファリネッリが主人公の作品。
映画では、ソプラノとカウンターテナーの合成が主人公の声として聴けます。
彼の美声を聴いて卒倒するシーン、ブーイングから観客が徐々に魅了され喝采に包まれるシーン、素晴らしいです。
オペラに詳しくなくても、彼の美声に魅了される事間違いありません。
3オクターブ半の音域!
その声は胸の奥深くに迫るものがあります。テレビ画面の前なのに陶酔してしまいます。
作品中の貴婦人ではありませんが、卒倒したくなるのも分かります(笑)
こちら、Godfatherさんのレビュー通りに前知識なしに鑑賞、その後「カストラート」について検索してみました。その結果、その明らかとなった史実が作品に対する深みを増し、実在したファリネッリの壮絶な生き様に想いを馳せることが出来ました。
ボーイソプラノは、もはや現代世界ではありえない声域なので、劇中では女性ソプラノと男性テノールとの合成技術により再現されているそうですが、本当に感動というのはこのことをいうのでしょう…。生涯通して、紆余曲折の兄弟の絆ももう一つのテーマとなっており、大満足の一本です。ご紹介に感謝いたします。そして、私もおすすめします。
合成だけど至福の歌声に酔ってしまう音楽映画
DENONの試聴室で視聴した『カストラート』の時代ドルビー(ドルビーレジスタードトレードマークTrueHD)版では、その音響効果の素晴らしさ以上に、主役のファリネッリを演じたステファノ・ディオニジの超絶的な声が素晴らしかったです(但し後述するように訳有りだが)それは、もはやこの世のものとは思えない響き。劇中でも魂を揺すぶられる歌声に、自作を盗まれて激怒していたヘンデルも脱帽し完敗を認めざるを得ませんでした。そして劇場の女たちは、まるで沢田研二やスパイダース(喩えが古いけど(;゜ロ゜))のライブのごとく、次々と失神し倒れていくのでした。こう書くと、大げさのように見えるでしょうけれど、実際に理想的な音響施設を整えた試聴室で視聴していると、本当に意識がふわっと持っていかれて、天まで昇るかのような心地よさに包まれるのです。
間違いなく音楽映画が好きな人ならのベストワン
ストーリーも兄リカルドと主人公の去勢にからむ真実の暴露、ヘンデルが音楽監督を努める劇場との興行バトルなど、起伏に富んだ展開を魅せて、飽きさせません。芸術の秋に、ぜひ本作で提供される楽曲に酔っていただきたいとお勧めします。
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