劇場公開日 1947年6月

「映画史に残るサイコ・スリラーだ。」ガス燈 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画史に残るサイコ・スリラーだ。

2024年12月29日
PCから投稿

未解決の殺人事件でオペラ歌手の叔母を失った女性が、叔母の旧宅で新婚生活を始めたことから、不審な出来事が相次ぎ、精神を病んでいく姿を描くサスペンス・スリラー。

神経を疑われる妻役、イングリッド・バーグマン、無機質で冷酷な夫役、シャルル・ボワイエ、事件解決に寄与する男性を演じたジョゼフ・コットン、これが映画デビュー作というアンジェラ・ランズベリーは、それぞれが特筆すべき演技だといえる。

ブローチや時計、薄暗くなるガス燈、奇怪な物音と、1つ1つのエピソードを積み重ね、主人公が夫に責められ、不穏でおどろおどろしい雰囲気が迫りくる展開で、精神を病んでると思い込むにまで至る脚本が秀逸だ。

舞台劇の映画化だが、英国版と米国版がそれぞれに持ち味を発揮した傑作だ。心理的虐待を取り上げた先駆的な作品だし、映画史に残るサイコ・スリラーだ。

瀬戸口仁