女相続人

劇場公開日:

解説

「ミニヴァー夫人」「我等の生涯の最良の年」のウィリアム・ワイラーがパラマウントに入社しての第1回製作・監督に当たったもので、19世紀の心理小説家ヘンリー・ジェームズの小説『ワシントン街』より、ルース及オーガスタス・ゲーツが戯曲化した「女相続人」に取材、劇作者が映画用に脚本を書き改めている。撮影は「蛇の穴」のレオ・トーヴァー、音楽は「我等の町」のアーロン・コープランド(アカデミー音楽賞)。出演者は「遥かなる我が子」に次ぎ、再度アカデミー賞を獲得したオリヴィア・デ・ハヴィランド、「捜索」のモンゴメリイ・クリフト、「堕ちた偶像」のラルフ・リチャードソン、「旧友」のミリアム・ホプキンスのほか、「恋文騒動」のモナ・フリーマン、「ボストン物語」のヴァネッサ・ブラウン、「サンマー・ホリデイ」のセレナ・ロイル等である。

1949年製作/アメリカ
原題または英題:The Heiress
配給:セントラル
劇場公開日:1950年11月21日

ストーリー

1850年のこと。ニューヨーク社交界の中心をなす富豪の邸宅が居並ぶワシントン街に居を占めるオースティン・スローパー博士は一人娘のキャサリンと未亡人の妹ラヴィニアと女中の4人暮らしだった。博士の亡妻は才色ともにすぐれた婦人だったにもかかわらず、娘のキャサリンは容貌も人並み以下で、そのうえ社交性の乏しい引っ込み思案の娘だった。それが父にとってはやりきれない一事で、日頃、この不出来な娘に対し、憐憫とも軽侮ともつかぬ態度をもって向かっていたのである。キャサリンは父に対してはまったく頭のあがらない存在に過ぎなかった。叔母のラヴィニアは日頃、キャサリンの味方役をつとめていたが、スローパー家のおどんだ空気をどうすることもできない有り様だった。1日、キャサリンは従妹のマリアンの婚約の宴に父や叔母と共に出席した。踊りの下手で美しくない彼女の相手を勤める男もなかったのに、この夜、彼女の前に立つモーリス・タウンゼンドという秀麗な青年の存在、キャサリンにとって夢かとばかり思われ、次第にこの青年の魅力に惹きこまれていった。スローパー博士はモーリスが定職ももたぬ遊情の青年であることを見ぬいていた。博士はモーリスが娘に求婚したと聞くとはげしく反対し、娘が彼を忘れるようにと欧州旅行に伴って行く。しかし、6カ月の旅行もキャサリンの気持ちを変えることはできなかった。博士はモーリスが望んでいるのは娘でなく、娘の財産以外の何物でもない、もし娘がモーリスと結婚するなら相続権を棄てたものと覚悟するようにと言い放つ。キャサリンは一切を棄ててもモーリスと結婚しようと決意する。だが、迎えに来てくれるはずの青年は遂に現われなかった。キャサリンはモーリスが西部に去ったことを聞いて、彼を憎むとともに、父にも深い恨みの心を抱いた。父娘の間にどうすることもできぬ溝のできたまま、スローパー博士は肺炎で急逝した。ワシントン街の邸宅はキャサリンの思いのままとなり、5年過ぎた。その夏のある日、ラヴィニアが西部から帰ってきたモーリスを伴ってきた。彼は尾羽打ち枯していたが、野心満々たる様子だった。モーリスは5年前の違約を深く詫び、彼女が自分のために莫大な遺産を失うことを見るに忍びなかったこと、いまなお彼女を愛していることを告白した。キャサリンは5年前彼に与えようとパリで購めた高価なカフス・リングを渡して、今晩訪ねてくるようにと言った。モーリスはその夜再びスローパー家の扉を叩いた。キャサリンはその音を聞きながら身動きもしなかった。彼女にはモーリスが5年前のように、自分の財産を欲しがったばかりか、今はなお愛情まで手に入れようと同じ嘘をいっていることをはっきり知っていたのである。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第22回 アカデミー賞(1950年)

受賞

女優賞 オリビア・デ・ハビランド
作曲賞(ドラマ/コメディ) アーロン・コプランド
衣装デザイン賞(白黒) エディス・ヘッド ジル・ステール
美術賞(白黒)  

ノミネート

作品賞  
監督賞 ウィリアム・ワイラー
助演男優賞 ラルフ・リチャードソン
撮影賞(白黒) レオ・トーバー
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映画レビュー

3.0女優さんが残念ながら

2023年7月14日
PCから投稿

私の好みではありませんでしたストーリーが地味なだけに女優さんが好みでないとちょっと続きませんでした。もうちょっとどこかに魅力のある女性に設定できなかったのかな。

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タンバラライ

4.0逆玉

2021年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

4.0どう解釈するか?

2021年8月13日
PCから投稿

ラブスストーリーが最後にだんだんサスペンスになってきて映画的面白さに満ちています。 ラストには定番解釈があるようですが、だとするとそうなる伏線が張られていないので、解釈というより批評する人の願望ですね。 定番解釈と正反対の解釈も可能なので、どう解釈するかは観た人次第とすべきでしょう。

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越後屋

4.0映画文学の傑作

2020年7月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

①主要キャストは4人だけなのに何と濃密な演技合戦。モンゴメリー・クリフトが珍しく色悪な役。オリビア・ディ・ハビランドも世間知らずのオールドミスが心を閉ざした冷徹な女に変わっていく姿を熱演。②ウィリアム・ワイラーの人間を凝視する演出は揺るぎがない。

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もーさん

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