「【アントワーヌ・ドワネル君が、悪い子には見えない作品。あんな両親だったら家出したくなるよなあ。ラスト、ドワネル君が少年鑑別所を脱走して海岸に着いて、振り返った時の表情を捕らえたショットは見事だな。】」大人は判ってくれない NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【アントワーヌ・ドワネル君が、悪い子には見えない作品。あんな両親だったら家出したくなるよなあ。ラスト、ドワネル君が少年鑑別所を脱走して海岸に着いて、振り返った時の表情を捕らえたショットは見事だな。】
■両親と暮らす12歳のアントワーヌ・ドワネル君。
学校では、毎日先生に叱られ、家に帰ればマタマタ叱られる。
母親は、浮気をしているし、父親も頼りない。
やがて、彼は家出をし、親友のルネ君の家に隠れて住むようになるが、お金が無くなって、父の会社のタイプライターを盗んでしまう。
◆感想
・アントワーヌ・ドワネル君を演じた小さいジャン=ピエール・レオの顔が、純朴で、悪戯っぽくて、とても可愛い。
故に、私にはアントワーヌ・ドワネル君が、悪い子には見えないんだなあ。
・それよりも、彼の両親、特に母親が彼を可愛がってはいるのだが、心の底から愛しているようには、見えないんだよね。
・大体、アントワーヌ・ドワネル君が叱られる原因は、学校の壁に落書きしたり、バルザックの文章を丸写しした作文を提出したり、悪戯の範疇だと思うのだけれどなあ。
・それに対し、タイプライターを盗んだ事で、少年鑑別所にホイホイ入れてしまう両親の方が、罪があるのではないかな。
<今作は、それでもどこか明るく、コミカルなトーンで描かれているのが、良いのだな。
そして、個人的なベストショットは、アントワーヌ・ドワネル君がまるで自由を求める様に、少年鑑別所を脱走して、只管に走って、海岸に漸く着いた時に振り返るシーンである。
あの、振り返った顔がアップになって、静止画になるラストは見事だと思うし、アントワーヌ・ドワネル君の表情も”漸く解放された!”とでも言いたげに、爽やかなんだよね。
今作は”ヌーベル・バーグ”の逸品とされているようだけれども、成程、1960年当時では、作りが斬新だった事が良く分かるよね。>