大いなる幻影(1937)

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大いなる幻影(1937)
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解説

ジャン・ルノワールが第1次世界大戦下のドイツ捕虜収容所を舞台に様々な国籍や年齢、階級の人々が繰り広げる人間模様を描き、外国語映画として初めてアカデミー作品賞にノミネートされるなど世界的に高く評価された反戦映画の傑作。ドイツ軍に撃ち落とされ捕虜となったフランス飛行隊のマレシャル中尉とド・ボアルデュー大尉は脱走を繰り返し、脱出不可能とされる古城の将校捕虜収容所に送られる。そこで所長をつとめるのは、かつて2人を撃ち落としたドイツ貴族ラウフェンシュタイン大尉だった。同じ貴族階級のド・ボアルデューとラウフェンシュタインは親交を深めていくが、マレシャルたちの新たな脱走計画は着々と進められ……。ジャン・ギャバンが主演をつとめ、サイレント映画時代の名匠エリッヒ・フォン・シュトロハイムがラウフェンシュタイン役で圧倒的な存在感を見せた。2018年2月から、デジタル修復版が全国順次公開。

1937年製作/114分/G/フランス
原題:La Grande Illusion
配給:川崎市アートセンター
日本初公開:1949年5月21日

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第11回 アカデミー賞(1939年)

ノミネート

作品賞  
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映画レビュー

5.0記憶のなかで

津次郎さん
2021年7月8日
PCから投稿

おそらく誰もがエドゥアールマネの絵画「笛を吹く少年」を見たことがある──と思う。真紅のズボン。黒いチョッキ。黄色い装飾がある略帽をかぶり、笛筒を肩に提げ、横笛を吹いている。──あどけない顔立ちの少年。

なぜ、見たことがあるはずと言ってしまえるのか──というと、この絵は、教科書として、美術にも音楽にも使えるという重宝な素性を持っているから。じっさい、わたしも、学校の美術もしくは音楽の教本の表紙絵として、この絵を見たのだった。

ルノワールの大いなる幻影でこの少年を見た──気がする。

昭和期に著名人たちが洋画ベストをやるとかならず大いなる幻影が入った。かつてフランスには映画の黄金期があり、日本にも仏映画のファンが多かった。ルノワールはメジャーだったが、いうなれば芸術点を加味した大家だった。黒澤明とおなじで、労働者からも、教養ある人たちからも愛されたのがルノワールだった。(と思う)。

来歴を見たら初作が1924年で、遺作が1961年。
じっさいわたしも三本しか見たことがないので、知った風なことは言えないが、ルノワールと言えば挙がるのは大いなる幻影で、ほとんど同監督の代名詞だった。

1937年の映画だが、大河ドラマが映画の尺に凝縮されたようなエピック。笑えるし、泣けるし、ハラハラドキドキもある。エンタメの方法論の原型がすべて詰まったような映画だった。

主演はまだ若いジャンギャバン。若い頃があるのはとうぜんだが、初老以降ばかり見る役者なので若いジャンギャバンは新鮮だった。
独軍の収容所から脱走する戦争映画。大脱走とか、第十七とかを思い浮かべてもらえば、そんなに大きく外れない。
その収容所の面子にボアルデュ大尉というひとがいた。
ピエールフレネーという往年のイケメン俳優が演じていた。

野卑な捕虜たちのなかで、大尉だけは、貴族の出で、絵に描いたような紳士だった。いつも上着を袖を通さず肩にかけている。あまり喋らず、片眼にモノクルを嵌め、白手袋、常に身だしなみを整え、綺麗に整髪している。

捕虜仲間たちがじゃれあったり騒いだりしているのを、ちょっと離れた場所で、おだやかに微笑みながら見ている。囚われの身となっても威厳と気品をそこなわず、エリッヒフォンシュトロハイムが演じた独軍の収容所長からも敬意をはらわれる。ボアルデュ大尉とはそんな役どころだった。

筋書きのなかで大尉は、ジャンギャバンらと脱走を企てる仲間に入るのだが、最期は、単身、脱走の経路を外れ、自ら囮(おとり)となり、敵の注意を惹くため笛を吹きながら逃げ、主人公たちの脱走に挺身する。

身ぎれいな男性ピエールフレネーが笛を吹きながらみずから犠牲になる姿がマネの笛を吹く少年と合致した。──大いなる幻影にマネの笛を吹く少年が出ていた──気がしたのである。

笛を吹く──という外観的類似が、ボアルデュ大尉と笛を吹く少年を重ねたのではなかった。二者から、いやおうなしににじみ出てくる、潔白で何のためらいもない様子、美しい佇まいが、ピッタリ符号したからだった。(と思う)。

そういう態度のことを今は使われなくなった日本語で「高潔」というんじゃなかろうか。マネの無垢な少年に高潔を見たように、ボアルデュ大尉に高潔を見た──という話。

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津次郎

3.5敵軍将校の捕虜を丁重にもてなす余裕があった貴族主導の第一次世界大戦

Kazu Annさん
2021年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

まあ映画で理想主義的かもしれないが、フランスとドイツの戦争で、将校間でこれ程の敬意と配慮と親近感があり得るということに驚かされた。まあある種、欧州の貴族階級意識の反映でもあるのだろうが。

これらが第二次世界大戦では見事に消え失せ、特に日本は酷い扱いを捕虜にしているわけであるが。

まあ、映画史的には、また歴史的にも大変に興味深い部分はあったが、お話としては、かなり古臭い感じもした。特に脱走後のジャンギャバン演ずる軍人と未亡人との交流がとってつけたかの様に感じてしまった。

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Kazu Ann

3.0いい話だけど・・・

2019年9月19日
PCから投稿

いい話だったのですが、如何せん掴みどころが難しい物語だったので終わった後、少々ポカンとする感があります・・・
戦争はいけないなぁ

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ハワイアン映画道の弟子

3.0社会分析とメロドラマ

2018年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

 何が「幻影」なのか、観る人によってとらえ方はいろいろだろう。
 ナショナリズムの高揚と、近代戦がもたらした貴族階級の没落。職業軍人の出身階級の多様化。独仏両国で同様の社会変動があり、それぞれの貴族階級出身者がその歴史を嘆く。
 両大戦間にこの作品を撮ったジャン・ルノワールの社会・歴史への認識が鋭い。
 一方で、戦争を経験する人々の心のうちの描写も素晴らしい。
 特に、終盤で脱走した二人を匿う農家の未亡人の孤独と不安を一言で表すセリフが胸にしみた。
 「家の中に男の足音がする幸せ」
 女の寄る辺なさと、敵国の脱走兵を家に入れた寂しさが溢れている。もうこのセリフだけで一つのメロドラマであり、例えれば阿久悠の詞に出てきてもおかしくない女性像である。この後、ジャン・ギャバンを待つことになる、このドイツの女もまた、着てはもらえぬセーターを、寒さをこらえて編むのであろうか。

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佐分 利信
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