「好きになれない主人公」Emma エマ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
好きになれない主人公
総合:65点
ストーリー:60
キャスト:65
演出:65
ビジュアル:70
音楽:70
原作はジェーン・オースティンの代表作とされているそうです。本音と建て前を使い分け、上流階級らしく失礼の無いように微笑みながら話をしつつ、実は内心では家柄や職業で相手を値踏みする。恋愛対象の人柄ではなくて、地位が高いかどうかが重要。この時代の裕福な貴族ならではの常識的な行動なのだろうが、現代に生きる平民の自分としては見ていて気持ちの良いものではない。
原作は読んでいないが、ウィキペディアによると
主人公エマ・ウッドハウスを、作者オースティン自身は「私のほかには誰も好きになれそうにない女主人公」としている。
なのだそうで、自分の努力で手に入れたものでもない自分の生まれの良さに何も疑いももたずに、階級の低い人を心の中で見下すのが自然になっている主人公を、私もどうも好きになれなかった。幼稚で傲慢で恋愛ごっこに夢中になっているエマの姿は、自分は働きもせずに好きなことだけやって騒いでいる、そこらあたりにいる現代の世間知らずなお馬鹿な学生の行動を思い起こさせる。
別に彼女が特別悪い人なのだとは思わないし、むしろこのような環境に生まれ育った中ではまともなほうなのだろうし、作品の中での彼女の成長は感じられる。悪い映画ではないのだが、でもやはり最後まで彼女のことを大好きになれたとは言い難いし、それは自分の趣味に合わなかったのだから仕方がない。同じオースティンの原作でも「高慢と偏見」「いつか晴れた日に」のほうが、真剣に生きている主人公に共感出来て全然面白かった。
コメントする