エデンの東のレビュー・感想・評価
全37件中、21~37件目を表示
ディーンが父を抱きしめる場面は、やはり映画史上屈指の名場面。
本作は映画史上の名作として誰もが題名だけでも聞いたことがあるであろう作品です。コロナ禍によりこうした名作もスクリーンで鑑賞する機会が得られたのは、数少ない吉報の一つでしょう。 映像で観るジェームス・ディーンは、やはりイメージに違わぬ名演です。これが彼にとっての映画初出演作なのですが、母に絶望し父にすがりつく彼の姿は鮮烈で、涙を誘わずにはいられません。 ディーンの熱演は、エリア・カザン監督の導入した、俳優が演じる人物に心身共に一体化する「メソッド演技」によるところも大きく、『波止場』(一九五四)のマーロン・ブランドと同様、後の映画俳優の演技に大きな影響を与えました。さらにまた、カザン監督自身も本作の数年前に、所謂「赤狩り」の矢面に立たされており、それもまた、本作の「陰」の濃さに影響を与えているようです。 作中でも引用しているように、本作の構成や人物名などは旧約聖書のカインとアベルの物語に基づいています。ただし旧約聖書ではケイン=キャルが兄で、アベル=アロンは弟のところ、映画では逆転しています。またイヴの立場にあるケートが全く子供を顧みない母親であるなど、聖書を相対化した描写があり、興味深いです。
繊細で傷付きやすい青年の原罪と謝罪
三島由紀夫氏の名随筆(夭折の資格に生きた男)を読んでからは、主演映画三作品のみで不慮の交通事故で亡くなったジェームズ・ディーンに対して、敢えて憐憫の情は持たないようにした。短い俳優生命でもアメリカ映画を代表する名作を遺してくれたことに、一映画ファンとして感謝しかない。この映画の素晴らしさは、シネマスコープの横長のスクリーンを生かしたエリア・カザン監督の演出とカメラワークの画面作りに、アメリカ映画では観たことのない繊細な演技力を備えたジェームズ・ディーンの個性が、キャルという登場人物を見事に創造したことに尽きます。親の愛情に飢えた青年の純粋な心ゆえ、父の理解を得られぬ孤独と焦燥感が伝わる表現力が、他のどんな俳優にも求められない。例えば「陽のあたる場所」のモンゴメリー・クリフトやフランス映画「肉体の悪魔」のジェラール・フィリップに似た容貌と演技を連想させるも、何より青春期の少年の様な若さを漂わす雰囲気が、ディーン独自の唯一無二のものを印象付ける。 この映画で一番驚かされたシーンは、主人公キャルが父の誕生日プレゼントで渡した現金を拒絶されて泣き崩れる場面だ。当時のハリウッド映画の美男美女の演技の定石として、例えば美人女優は、笑う演技と物を食べる演技は極力避ける傾向にあった。それは、綺麗な顔が崩れて見えるから。グレタ・ガルボが「ニノチカ」で笑う場面があるだけで話題になったこともある。そして、美男俳優が泣く演技で説得力を持たせることも難しい。現実にも男の涙で共感を得られることは、中々ない。女々しい男で片付けられる。共演の父役レイモンド・マッセイも驚いた、このディーンの定石を打ち砕いた表現をカザン監督は採用したと云われます。プロローグの列車の屋根で寒さに蹲る姿、大豆畑で嬉しさのあまり飛び回る姿、母ケートの部屋の前の廊下で凭れるキャルの佇まいなど、ディーンの演技がすべて名シーンとして記録されている。 「エデンの東」「理由なき反抗」「ジャイアンツ」と、全く違うキャラクターを見事に演じたジェームズ・ディーンは24歳と約8ヵ月、日数でいうと丁度9000日の生涯でした。彼の俳優人生は、宿命的に完結されたものだったと、、、思いたい。
本当にこれ名作なのか?
序盤、「本当にこれ名作なのか?」と思ってしまうような映画だと思っていたのですが、終盤の怒涛のような展開や濃密濃厚な人間ドラマは感動以外の何物でもない! 父親にプレゼントを断られ涙する主人公の姿になぜか私ももらい泣きしそうになりました。。。
レタスの冷凍保存に失敗した父アダムを何とか助けようとするキャルが...
レタスの冷凍保存に失敗した父アダムを何とか助けようとするキャルが素晴らしかった。日頃、兄と比較され問題児扱いされていたのだが、嫌われていた理由が母と似ていることだったとわかったときの何とも言えない表情もよかったです。 戦争の色が濃くなってきてからの父の苦悩も見事に表現されていたし、兄の戦争反対という言葉にも感動!この時代の映画にはストレートに反戦の言葉があってわかりやすいですね。ラスト近くで父のためと思ってやったことが裏目に出てしまうときのやるせなさも素敵でした。 しかし、何故だか兄の婚約者に恋してしまうといったことが小さく感じられて、原作を詰め込みすぎた感は否定できない。 映像では大豆畑に寝そべるジェームズ・ディーンが気持ち良さそうで清清しかった。
何十年ぶりかの再見、いい作品ですね。 綺麗事ばかりをふりかざす、今...
何十年ぶりかの再見、いい作品ですね。 綺麗事ばかりをふりかざす、今でもたくさんいますよね、そんな人。敬虔な宗教家に多い気がします。正しいと信じることは大切かとは思いますが、それよりもっと大事にしなければならないことが…そんなことを考えさせる作品です。若くして急逝したジェームス・ディーンの主演ということもあり、見逃せない一本。 節操のない女、アブラにちょっと腹が立ちます。しかし、この女、コントロールは名投手並み(笑) 兄よ!君は一体どうなった?かわいそすぎます。
何時観ても
何時観ても若い頃のもどかしさや怒りをおもいださせられる作品。ジェームスディーンにはやはり苦悩の演技が良く似合う。 久し振りに観て驚いたのは、父親と母親に感情移入するようになった自分に気がついた事であった。まさかこの映画でそんな事を感じるように成ろうとは
新・午前十時の映画祭
壮大な自然の風景に花畑など色が綺麗で映像に目が奪われてしまう。 50年代の作品である大袈裟なメソッド演技が気になったりならなかったりJ・ディーンやM・ブランドにP・ニューマンが存在していなければA・パチーノもデ・ニーロもましてやJ・ニコルソンにD・ホフマンも出て来ていない訳で。 キャルの八の字眉毛の苦悩する表情が印象的でやはり兄貴が可哀想な設定。
初めて観た時はジェームズ・ディーンの寂しげな表情だけが心に深く残っ...
初めて観た時はジェームズ・ディーンの寂しげな表情だけが心に深く残った。しかし何度か繰り返し観てみると、そのたびに忘れられないシーンがどんどん増えていく。ジェームズ・ディーンの素晴らしい演技の詰まった、クォリティの高い見事な名作。
ジェームズディーンが見たければ。
第1次大戦頃のアメリカの農場一家の物語。 父と、父に似ている兄と、父に似ない弟を中心に描いたドラマ。 親子の愛憎、兄弟間での三角関係、キリスト教や戦争観等が描かれている。 古い映画だから仕方ないのだが道徳観が現代とは違いすぎて、 古典としての意義はあっても、ドラマとして感情移入出来る場面は多くない。 ただ、周囲が言うこの映画の見どころは、ジェームズディーンなので、 つまりシンボリックな不良少年像なので、そこが見たい人には刺さるかもしれない。
評価が難しい映画。
この映画は、僕にとって批評しにくいです。なぜなら、ジェームス・ディーンの出演作というだけで、なにかあるのだろうと思ってしまうからです。そのなにかを見つけることができなければ、それは僕が馬鹿なんだと思ってしまうのです。また作品のテーマも現在では使い古されたようなもので、さほど衝撃を受けませんでした。また、ジェームス・ディーンの芝居が少しぎこちないように感じ、うーん僕の目が駄目なのかなー?って鑑賞後に考えてました。 あれこれ悩んでも、自己卑下しちゃいそうなので、この映画については深く考えないようにしました。名作だから!っていう頭で臨むと、僕のような憤りを感じてしまう方もいらっしゃるのでは?と思います。
J.ディーンが出演したというだけの古典
総合50点 ( ストーリー:50点|キャスト:70点|演出:55点|ビジュアル:70点|音楽:75点 ) 現代社会に生きていると、現在とあまりに違うこのような古いキリスト教的な堅苦しい倫理観と家庭の価値観に辟易してしまう。それはとりあえず置いておいて、ジェームズ・ディーン演じるキャルもこの堅苦しさに圧迫され苦しむ。愛に飢えた彼の葛藤と振る舞いが自分と周囲を傷つけてしまう。その苦しみもがく様が彼を永遠の名優にした。せつなく美しく流れる音楽も名作にふさわしい。 ただし映画としては物語が古い。映画の自然な演出というより舞台劇のような演出も古い。面白かったかと聞かれれば、残念ながら面白くはないと答える。この時代を飾った名作だが、この時代ならではという作品で、今となっては過去にあった一つの古典作品に過ぎない。
圧倒的な心情描写
親と子、兄弟の愛と確執を繊細な心情描写で描いた社会派リアリズムのある作品。 ストーリーや映像は緻密さに欠けるものの、俳優の演技やセリフから伝わってくる繊細な感情表現は素晴らしい。 その早すぎる死によって神格化されているジェームス・ディーンたが、その実力も一級品であることを見せつけてくれる。 生きていたらどんな俳優になっていただろうか…。
全37件中、21~37件目を表示