モンド
劇場公開日:1997年7月26日
解説
陽光きらめく南仏ニースを舞台に、純粋無垢な少年と人々の交流を瑞々しく描いた一編。マイノリティや傷ついた人々、社会から疎外された人々へ注ぐ心優しい眼差しが感動的。現代フランス文学を代表する作家ル・クレジオの第2短編小説集『海を見たことがなかった少年モンドほか子供たちの物語』(邦訳・集英社文庫)の中の一編を、「ガスパール/君と過ごした季節」のトニー・ガトリフが監督。製作は映画監督コスタ・ガヴラス夫人のミシェル・レイ・ガヴラスで、助監督は彼らの実子アレクサンドル・ガヴラス。撮影はエリック・ギシャール、美術はドゥニ・メルスィエ、編集はニコル・D=V・ベルクマン。主人公役のオヴィデュー・バランはパリ郊外のジプシー地区に住む少年で、ほかにも本物の庭師やホームレス、世界的に有名な綱渡り芸人のフィリップ・プティなど演技経験のないアマチュアを起用している。
1995年製作/80分/フランス
原題または英題:Mondo
配給:日活配給(協賛*アユーラ ラボラトリーズ)
劇場公開日:1997年7月26日
ストーリー
モンド(オヴィデュー・バラン)は遙か山の向こうか、海の彼方からやって来て、人々が気づいた時にはニースの町に住み着いていた。自然と共に暮らすモンドは、草いきれの中でまどろむのが好きだった。モンドは野良犬たちを収容する制服の男たちを恐れ、彼らはただ世の子供たちと違うというだけで、モンドを施設に入れようとしていた。だが、そんな時は犬のようにすばしこく身を隠し、決して捕まらなかった。モンドは、気に入った人がいると「僕を養子にしてくれる?」と尋ねたが、大抵の大人たちは驚いて応答ができない。モンドを好きな人々が少しずつ増え、彼らはまるで家族や優しい先生のようにモンドを可愛がった。船を持たない船乗りのジョルダン(モーリス・モラン)は、石に刻んだ文字で字を教えてくれた。モンドはホームレスの老人を“ダディ”と呼んで親しむ。ダディ(ジェリー・スミス)とその友人の魔術師(フィリップ・プティ)と連れ立って埠頭に行き、魔術を皆に見せて優雅な素振りでモンドはチップをもらい集める。ある日、モンドは熱を出し、高台の屋敷にたどり着き、庭の草の上で眠ってしまった。目が覚めると優しい顔をしたベトナム人の老女ティ・シン(ピエレット・フェシュ)が心配そうに見下ろしていた。モンドは金色の光に溢れた屋敷で、初めて自分の居場所を見つけたような気がした。ティ・シンは夜、モンドと庭に座って星空を眺めていると、突然悲しみがこみ上げてきた。やがて、役人たちの手によって、モンドは姿を消した。そして、人々は何か大切なものを失ったことに気づくのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- トニー・ガトリフ
- 脚本
- トニー・ガトリフ
- 原作
- ル・クレジオ
- 製作
- ミシェル・レイ・ガヴラス
- 撮影
- エリック・ギシャール
- 美術
- デニス・マーシアー
- 編集
- ニコル・ディヴィ・ベルクマン
- 字幕
- 山崎剛太郎
-
Mondoオビデュー・バラン
-
Le Magicienフィリップ・プティ
-
Thi-Chinピエレット・フェシュ
-
Compagne du Magicienスカラ・アーラム
-
Dadiジェリー・スミス
-
Giordanモーリス・モラン
-
Femme Ascenseurキャサリン・ブラン
-
Le Facteurアンジェ・ゴビ
-
Le Commissaireジャン・フェリエ