劇場公開日 1919年3月

「一般教養必須科目」イントレランス 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0一般教養必須科目

2024年11月30日
PCから投稿

この作品の評価には気を付けなくてはいけません。

そもそもこの作品を観ようというような人間はそこそこの映画マニアに限られ、且つそういう人たちは私も含めて観る前にあちこちで「映画史に燦然と輝く不朽の名作」といった評価や記事を目にしているので、点数はかなり上げ底になっています。

全く予備知識のない人にとっては「何だかよくわからなくて、やたら長い罰ゲーム無声映画」というのが公平でまっとうな評価です。

四つの独立したお話が「不寛容=許さない」という主題で並行的に進んでゆく点は初めの字幕で示され、そこは良心的です。

しかし、それぞれのエピソードは「本筋」の話に「脇道」の話が絡んで進んでゆくわけですが、「脇道」についての説明が不十分、且つ「本筋」にどう関係してゆくのかわかりにくく、更に無声映画全般にいえることですが、無声であるが故に登場人物や場所を特定しづらく、主題がどうこういう以前にあらすじがよくわかりません。とりあえず、あらすじの記載されたブログなどを横に置い観ることをお薦めします。

音楽についても「国民の創生」と同様に、戦闘シーンだろうが恋愛シーンだろうが、場面の雰囲気に関係なく、初めから終わりまで有名なクラシック音楽を、ただひたすら「かけっぱなし」で、音響効果も何もあったもんじゃありません。まあ、大正時代はこんなもんなんですかね?

映画史的には極めて重要な作品ではあるので、映画ファンなら一度は観ておくべき必須科目ではありますが「風と共に去りぬ」「七人の侍」「ゴッドファーザー」などの時代を超えた不朽の名作ではありません。

越後屋