「シリーズ最大のアクションと危機(批判)の果てに見つけた宝」インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ最大のアクションと危機(批判)の果てに見つけた宝
最新作前に、シリーズ再見。
1984年の2作目。
2作目と言っても、前作の後の次なる冒険ではない。
時系列的には、前作の1年前。
ルーカスは『SW EP4~6』の後に『EP1~3』を作ったりと、時を遡るのがお好きなようで。
幾多の冒険をしてきたインディだが、今回はシリーズ史上最大の危機!危機!危機!…の連続。
初っぱなから上海のナイトクラブでマフィアと大揉め。毒を飲まされて大ピンチ!
相棒の少年ショーティと不運にも同行する事になったクラブの歌姫ウィリーと共に、輸送機に乗って難を去る。が、その輸送機は敵の物で、操縦士は先に脱出。あわや山に衝突寸前、インディらも脱出。
インディらが辿り着いたのは、インドの山奥。とある村で、秘宝“サンカラ・ストーン”が奪われ、子供たちが次々拐われていた。
元凶は奥地に構える宮殿。邪悪な宗教集団…。
インディらは秘宝と子供たちの奪還に向かうも、敵に捕まる。インディは鞭打たれ、謎の液体で洗脳され、呪いの人形で痛め付けられる。ショーティは拐われた子供たちと奴隷として働かされ、ウィリーは恐ろしい儀式の生け贄に…!
突破口を見出だし、反撃。そしてクライマックス。落ちたら人喰いワニの餌食。吊り橋危機一髪!
『マリオ』さながら『2』の冒険が最難関。命が幾つあっても足りない。
インディはこれで鍛えられ、その後のナチス相手なんてへっちゃら!…なんてね。
本当にテンポやピンチやアクションは前作以上。
何と言っても本作の目玉は、クライマックスのトロッコ・アクション。
猛スピードで突っ走るトロッコ上で、敵と攻防。
疾走感、手に汗握るハラハラドキドキは、まるでアトラクション。
“ジェットコースター・ムービー”と言われるその興奮を是非とも体感!
激しさを増したスリルやアクション、インディ×ショーティ×ウィリーのコミカル掛け合いなど非常に楽しく飽きさせないが、本作は賛否両論や批判も。
インドに昔実在していたとは言え、邪悪な宗教集団を敵に据えた事。
本作で最も有名かもしれない“ゲテモノ料理”。ヘビの姿焼きを切り裂くと、ヌメヌメした巨大ナメクジ。虫の姿焼き。目玉のスープ。猿の脳ミソシャーベット…!
インド人は本当にこんなのを食べているのか…?
インド人は皆、野蛮な奴らなのか…?
そんなヘンなイメージが付くと、インド側は猛抗議。
それでなくとも心臓を抉り出すなど残酷描写も多い。
個人的には、大量の虫の隠れ洞窟が…。子供の頃見て残酷な儀式やゲテモノ料理より、こちらの方が強烈であった。
ゲテモノ料理なんかはとにかくヘンなものを作ろう!…と、ルーカスとスピルバーグの悪戯心が暴走して、一瞬の笑い所ではあるが、ちょっと悪趣味オイタが過ぎちゃったかな…?
非の打ち所がない完璧な作品と自負した前作から一転、シリーズ最低の出来と、スピルバーグも反省。
いやでも、充分面白いですよ、スピルバーグさん!
そんな今回の冒険で、二つの宝を見つけた。
ヒロインのケイト・キャプショー。前作のカレン・アレンはタフなヒロインだったのに確かに終始ギャーギャーうるさいが、本作がきっかけでスピルバーグは彼女と結婚。
そして、キー・ホイ・クァン。インディの相棒として一緒に冒険出来るなんて、世界中の子供たちの憧れ。ちょっと生意気な所がまた可愛らしい。
インディも彼の事を“相棒”とし、インディのピンチを幾度も救う。
洗脳されたインディの正気を取り戻させる。その際の、相棒/男同士の絆の抱擁。
その抱擁が約40年の時を経て、今年のアカデミー賞で見れようとは。何て感慨深い…。