「今時珍しいクラシックなメロドラマ大作」イングリッシュ・ペイシェント シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
今時珍しいクラシックなメロドラマ大作
第二次世界大戦下の激動の時代を背景にした、文芸メロドラマ大作です。何よりも映像が素晴らしく、オープニングの複葉機で飛ぶ砂漠の美しさはどこか艶かしく官能的ですらあります。泳ぐ人の洞窟やカイロの上流階級の様子等、過去の映像は美しく魅力的なのに対して、現在の修道院のシーンが殺風景なのも、主人公の心象風景を表しているようです。お話しは、開戦間際のカイロと終戦間近の北イタリアの二つの時代を行き来しながら、主人公二人の道ならぬ恋と『英国人の患者』の秘密が明かされる過程が上手く描かれています。とは言え、ジュリエット・ビノシュ演じる従軍看護婦が英国人の患者に献身的な理由がイマイチあいまいだし、彼女とインド人将校とのロマンスも本筋とは関係なく、後半は間延びした感じですっきりしませんでした。役者では、レイフ・ファインズが身勝手でありながら情熱的な男を熱演していて、特に現在のパートでは寝たきりの状態だけの演技と言うのがすごいです。相手役のクリスティン・スコット・トーマスもクラシックな美しさが際立っていたのとは、裏腹にジュリエット・ビノシュは地味な印象。
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