「不倫問題の是非は置いといて良い映画でした。」イングリッシュ・ペイシェント てけとさんの映画レビュー(感想・評価)
不倫問題の是非は置いといて良い映画でした。
クリックして本文を読む
過去と今を行き来する物語の構成が素晴らしく、その導入の仕方がめちゃくちゃ上手い。
話の中で常に国、人種、男女、敵味方等の境についての考えさせられる台詞が度々出てくるのですが、これが映画の大きなテーマとなって流れていて第二次大戦中といった境界線が大きく揺らいだ時代を舞台に展開されていきます。
私が好きなのは、音楽や映像の美しさももちろんだけれど出てくる登場人物のちょっとした会話やシーンが戦時下に流れる日々の時間を見せてくれるところなのですが、こういった合間の時間を登場人物の背景が感じ取れるように丁寧に見せてくれる作品は中々無いように思います。
2つの時間軸と場所を跨いだ話にこれだけの要素を違和感も詰め込んだ感もなく織り交ぜて物語に厚みを持たせているところは凄い。
テーマが色々なところに現れていて、主人公達の地図をつくる仕事も戦争によりせめぎ合う国境線や開かれ知覚されて行く未知の世界への理解に通じるところがあり、主人公は国を捨てた事で顔を無くし誰でもない男になっているしキャサリンやハナの境界を越えられる女性像もそういった意味で面白くそれぞれもとても魅力的でした。
恋愛が入る事で感情を引き込み更に人のぶつかりと因果でドラマが生まれているので不倫賛歌とは別物として見ることが出来るしアカデミー賞納得の大作です。
コメントする