イル・ポスティーノのレビュー・感想・評価
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Head-Spin out of Modern Chaos
A quiet film on a postman who finds an unlikely friendship with an exiled poet. Conversations inspire him to pursue a romance with borrowed words. It's an interestingly imaginative tale on cosmically inconsequential romance. It ends with unanticipated political turmoil reminsicent of Z. A cross-continental production that earned five Oscar nods. Old-fashioned indie unlike contemporary films.
詩的美
四半世紀ほど前に観たときは、実に退屈な映画だと思いました。「どこで盛り上がるんだろうと思ってるうちに終わってしまい、眠くなっちゃったよ」と当時、一緒に観た妻に話した覚えがあります。「どうしてこれが名作なのか?」以来、ずっと心の片隅にあって、いつかもう一度観ようと思いながら、ついつい先延ばしにしてきました。今回、意を決して注意深く観てみれば、無駄なシーンなどどこにもなく、すべてのシーンに登場人物たちの苦悩や熱い思いが描かれていて、すっかり魅入ってしまいました。漁師になりたくない主人公マリオ(マッシモ・トロイージ)が郵便局の仕事に就き、チリから亡命してきた偉大な詩人パブロ・ネルーダ(フィリップ・ノワレ)と交流することで詩を書くことを覚えるそのやりとりが人生におけるかけがえのない美しい時間であり、その詩で島一番美しいと噂される女性ベアトリーチェ(マリア・グラツィア・クチノッタ)を口説いてしまう展開はまるでお伽噺のようです。結婚披露宴では無口な父親が嬉しそうに長~いスピーチをするシーンにはクスッと笑いながら、熱いものが込み上げてきました。島人たちの暮しや美しい風景など、全編が美しい詩のようで見所に溢れていました。詩の意味について説明を求めるマリオに対するパブロの解釈も本当にすばらしく、よく練られた台詞が素敵でした。今観ると、やはりマリオ役のマッシモ・トロイージの素朴な雰囲気がこの作品のベースになっていて、彼の思いを受け止める偉大な詩人パブロに扮するフィリップ・ノワレの存在感が非常に重要かつ難しい役どころのように思えました。重い心臓病を煩いながら撮影を続けたマッシモ・トロイージが撮影終了後すぐに亡くなったこと、フィリップ・ノワレが「ニュー・シネマ・パラダイス」(88)のアルフレードであることなども、見終えたあとの感動をさらに深めてくれたように思います。「今度はすごく感動した!」と涙ながらに妻に言ったら、「当時、何故つまらないと言ってるかがわからなかった」と笑ってました(苦笑)。
余計な情報が作品性を損なう
主演の、配達人役のマッシモ・トロイージはこれが遺作になったということを聞き、感動のハードルが上がってしまった。
知らずに見ていたら気にならないレベルだったと思いますが、とにかくしんどそうに動くんですよ。マッシモ・トロイージが。
恋人役の女優さんも、無駄にエロチックで、感動の方向性とは、やや違った方向に作品の評価は行ってしまったと思いました。
ことさらに「泣ける」を強調されると、こういう結果になりがちですね。
2017.5.4
タイトルなし
期待していたがそれほど感動せず。主人公にそれほど魅力を感じなかった。もっと若い人が演じれば違ったかもしれない。偉大な詩人を通して青年?が成長していくストーリー。ラストには亡くなっている。
美しいイタリアの島
大昔に観てなんとなくよかった映画、を再確認するべく再鑑賞。
良かった。
美しいイタリアの島に、突如降り立った偉大なる詩人ドン・パブロ。
仕事もなくパッとしないマリオの人生を、詩人が大きく変えることとなる。
詩人がチリに帰国して数年、残念ながら2人の再会は叶わなかったけれども、詩人は島を、マリオを、忘れてはおらず、マリオもそうと信じてた。2人の間にあった絆の深さと、素朴で美しい島の風景がじんわり絡み、心に残ります。
普段、詩にはあまり触れることもなかったけれども、ドン・パブロのわかりやすいレクチャーのおかげで、ちょっと興味が湧いてきました。なんか読んでみよう。
詩人と郵便配達人の友情を美しい自然と共鳴させた繊細なイタリア映画
南イタリアの寂れた漁村に祖国チリを追われた詩人が訪れることから始まる、詩人と郵便配達人の詩作を通して結ばれる友情の物語。マッシモ・トロイージの素人らしい飾り気のない素の演技とフィリップ・ノワレの老練な演技のアンバランスな趣が、二人の立場を返って浮き上がらせて面白い。予測しにくいストーリー展開で進む物語の新鮮さもあり、最後まで興味深く観ることが出来る。ただ、脚本が意図する部分の多くが、主人公ふたりの共産主義に起因するものであり、主人公の死を共産党大会の詩の朗読に持っていく結末は、政治色が強すぎる。それだけ孤独な若者の純真さや可笑しさに親しみを覚えただけに、そこに政治思想的判断が介入する必要性を感じなかった。
恋人の叔母が詩の解釈をめぐり詩人ノワレと対等に会話するエピソードは可笑しく、詩人と主人公の師弟関係の会話の内容も分かり易くて面白い。そして、ラストの自然の音を録音するシーンの繊細な映画タッチなど特筆すべきものがある。無教養な田舎の若者が、村一番の美女と結婚し子供まで儲ける幸せな人生。妻になる女性が何故惚れてしまったのか説明不足かも知れないが、主人公の純真さは一際溢れていた。ラストシーンのノワレの表情は、観る者の思いを代弁して余りある。
イタリア映画のあたたかさと残酷さ
まさにイタリア映画。雰囲気、景色、なんとも言えないあたたかさと残酷さ。
純粋なマリオが愛おしいキャラクター。ネルーダに影響を受けつつ、彼が去ったあとも彼に心酔するというわけではなく、忘れられたように思えても彼に感謝し続ける姿が良かった。
波の音や教会の鐘、夜空、お腹の子供の音など、島のきれいなものを録音するのが素敵だった。
涙が止まらない・・・
まずは地中海に面した島の風光明媚なところに心奪われる。漁業メインの小島。水道すら引いてなく、月1回くる給水船が頼り。そんな静かな村だから若者も少ないのだろうか・・・
映画館のニュースで見たパブロ・ネルーダ。彼が女性に人気だということも気になるマリオは憧れてしまう。パブロも共産党員、郵便局長も共産党員、いつしかマリオも共産党を名乗っているほどだけど、政治色はほとんどない。
一軒だけの郵便配達。週に1回映画が観れる程度の給料じゃ大変だろうに・・・と思いつつも、毎日配達し、詩について学んだことはかけがいのない財産。隠喩という言葉がそのままコミカルに使われているところも面白い。
島で一番美しいのは・・・ベアトリーチェ・ルッソ!君の笑顔は蝶のように広がる。印象に残る台詞ば多いけど、映画全体に渡ってそのまま詩だったようにも感じてしまう。
マリオとベアトリーチェの結婚後、島を去ったパブロ。どの記事を読んでも島の人のことに触れてない。寂しい思いもあったけど、第二の故郷のように感じていたことは間違いないのだろう。
残された録音されたマリオの詩。そして、自然をそのまま音で表現しようと集めた苦労も伝わってくる・・・個人的な思い出もあるし、なぜかこのエピソードが一番好きだ。
エンドロールに亡きマッシモに捧ぐ・・・などと書かれると涙が止まらなくなる。病気に蝕まれながらも製作にこぎつけたという執念はすごい。
憧れと裏切りの狭間で揺れる男心。
詩の力は偉大ですね…。
憧れの詩人、パブロの為に郵便配達するマリオの健気な姿がとても素敵でした。
パブロの生き方に憧れるマリオは、彼とどうにか友達になりたいと必死です。
なかなか打ち解けられずにいる中、ちよっとした事件によって、二人の中は急接近(笑)
そんな、マリオの憧れの人にお近づきなりたい気持ちに共感してしまいました。
目標とする人の姿を追いかけたくなりますよね。
だからこそ、突然故郷に帰ってしまったパブロに、ショックなマルコの姿が切なかったです。
二人のなんとも言えない関係性が、この作品の良さを引き出しているように思いました。
笑いと感動!という決まり文句に相応しい
当時見たときの印象からすると、映像に古さを感じたけれど、物語の感動性は色あせてはいない。分かっていても涙が流れる。
決して鮮明な映像とかきれいな映像ではないけれど、名シーンや感動的なカットは随所に見られる。
主演のこの演技もまさに奇跡。
いつ見ても名作!!純真と友情と愛は永遠です
大学生の時に劇場でみて、すっかりお気に入りに。DVDも買って、最近思い立ってまた見てみました。
本当にいつ見ても名作です。「
人は良いけど、無教養で怠惰な生活を送るマリオが郵便配達の仕事に就き、パブロネルーダへの配達を始めることが物語の始まりです。
マリオはネルーダと交流を深め、詩に触れることで豊かな感受性を持つようになり、成長を遂げていきます。
ネルーダが浜辺で隠喩について語るシーン、郵便物を届けに島を自転車でこいでいくシーン、とにかくすべてが島の美しさと映像の美しさに彩られていて、不思議な詩的な感覚すら覚える映像もとてもよかったです。
マリオはネルーダの詩に見せられつつ、島のレストランのウェイトレスのベアトリーチェに恋に落ちながらも、ベアトリーチェに愛を伝える言葉をしらない、ネルーダに愛を伝える詩を書いてほしいとせがむのですが、このだめっぷりも本当によいですね。
さらには、ネルーダが妻に送った愛の詩をベアトリーチェにささげてしまうほどのだめっぷり。
ネルーダが人の書いた詩をあたかも自分のもののように使うなんて…的な非難をマリオに浴びせますが、マリオは「詩は書いた人間のものではなく、必要としている人間のものだ」と言い返し、ネルーダは閉口。このシーンを最初に見たときは、「本当にだめな人だなぁ…」とがっかりしましたが、クライマックスへの伏線だったことも、とてもすばらしいな…と。
やがて、別れがきてネルーダは母国に帰ります。
ここでも、マリオはネルーダが自分との友情だったりを何か母国で話すのでは…それがニュースとして聞こえてくるのでは…手紙とかくるのでは…と期待を寄せつつ、きたのは「荷物をおくってくれ」という手紙。マリオはここでがっかりして、ネルーダとの友情について考えてしまいます。本当に、子供みたいに純粋で絵に描いたようなだめっぷりが本当に憎めなくて好きです。
ネルーダの家にいったマリオはネルーダの残したテープを聞くや否や、島の素敵な場所の音を集め、それを歌った詩を録音し始めます。
自分こそネルーダに感謝をしなくてはならないことに気づいた瞬間でしょうね。純粋だからこそ素敵です。
最後は労働者の集会で命を落とすわけですが、ここでマリオはひとつの詩を読むはずでした。
「詩は書いた人間のものではなく、必要としている人間のものだ」ということがここにつながっていたのでしょう。
ネルーダとの出会いによって、成長し、家庭を持つことができただけでなく、言葉を必要としている人のために詩を読むまでにいたったマリオがここで命を落とすというのが、なんとも悲しい終わりだなぁと何回見てもエンドロールでないてしまいます…
純粋な心と素敵な島の風景、詩的な映像、どれをとっても名作で、本当に最近こういう話ってでてこないよなぁ…と感じてしまいます。
映画ファン度チェック映画
この映画は、映画が好きで、いっぱい見ている人ほど、いいと思うかもしれない。
私が名作の条件と思っているのは、貧乏と、共産主義と、恋愛ですが、ちゃんと少しづつではあるが、盛り込んでいます。(例えばですが、チャップリンの映画は、さらに「笑い」をプラスしていて、超名作ぞろい。)
それに加えて、この映画では、イタリア映画の名作を思い出させるシーンがふんだんに盛り込まれている。
でも、あんまりあれもこれもと盛り込みすぎて、全体的な印象が薄くなってしまった感じは否めないです。
うけねらいで、いろいろ盛り込みすぎて、わけがわからなくなってしまっている感じもする。
映画ファンうけをねらって、器用にまとめてある映画のような気がします。
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