イルカの日

劇場公開日:

解説

最も知能指数が高いといわれるイルカの生態を利用した政治的陰謀を阻止せんとする海洋学者の戦いを描く。製作総指揮はジョセフ・E・レビン、製作はロバート・E・レリア、監督は「キャッチ22」のマイク・ニコルズ、原作はロベール・メルルの同名小説、脚本はバック・ヘンリー、撮影はウィリアム・A・フレイカー、音楽はジョルジュ・ドルリューが各々担当。出演はジョージ・C・スコット、トリッシュ・ヴァン・デヴァー、ポール・ソルボノ、フリッツ・ウェーバー、ジョン・コークス、エドワード・ハーマン、レスリー・チャールソン、ジョン・デビッドなど。

1974年製作/アメリカ
原題または英題:The Day of the Dolphin
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1974年6月8日

ストーリー

海洋動物学者として世界的に著名なジェイク・テリル博士(ジョージ・C・スコット)は、フロリダの沖合い遠くの小島にイルカを研究するための研究所を持っていた。現代科学の粋を集めて建設された施設で、6人の助手たちと共に、1頭のイルカに簡単な英語を教えていたが聡明なテリルは自分の研究が、政治の力によって悪用される危険性を充分知っており、スポンサーである財団にも報告していなかった。だが、政府の調査機関では早くもそのことをかぎつけて、テリルの研究に対する調査を開始していた。テリルが母親代わりになって育てたイルカはファー(アルファー)と名づけられ、彼を「パー(パパ)」と、呼吸孔から出す可愛い声で呼ぶほどに成長していた。いってみれば、ファーはテリルと彼の妻マギー(トリシュ・ヴァン・デベール)の1人息子のような存在だったのだ。テリルはそんなファーに花嫁を与えることにした。この牝イルカはビー(ベータ)と名づけられた。プールで楽しそうに遊び廻る2頭のイルカは幸福そうだった。ファーがビーにイルカの言葉を教わったため、一時テリルとの英語による会話に応じなくなるという問題が起こったが、それが解決すると学習はどんどん進むようになり単語をいうだけだったファーが構文も覚えるようになった。ビーもファーから教わって、人間との会話ができるようにまで成長した。財団がテリルの研究に介入し始めたのは、その頃だった。水上飛行機で島にやってきた財団管理官デマイロ(フリッツ・ウェーバー)は、研究の具体的成果をこれ以上秘密にするなら、援助を打ち切ると通告してきた。やむなくテリルは彼に研究所の中を案内し、そして政府の調査機関員マホニー(ポール・ソルビノ)の訪問を許してしまった。マホニーはデマイロの弱点を握り、圧力をかけていたのだ。翌日、島を訪れたマホニーはテリルの非協力的な態度を感じ取り一通りの研究施設とイルカを見ると去っていったがすぐにまた1人の部下を連れ密かに引き返してきて、テリルたちに悟られないように島のジャングルの中にひそんだ。次にやってきたのは財団の理事5人だった。一同はテリルと会話を交わすファーに眼を見はり、テリルとマギーを財団事務局に招待した。だが、異様な雰囲気に気づいたテリルは急いで島に戻ったが、すでにファーとビーは研究助手のデビッド(ジョン・コークス)に連れ去られていた。デビッドは財団のまわし者だったのだ。頭をかかえるテリルたちの前に、突然マホニーが姿を現わし、部屋の中に仕掛けられた盗聴マイクをあばき、一同を庭に連れ出して事の真相を語って聞かせた。財団の理事の1人は元CIAの高官である。マホニーが属しているのは同じ政府でもまた別の機関で、彼は財団理事たちの企んでいるらしい陰謀を探りだすために調査を続けていたのだ。その頃、ファーとビーはカリブ海のある場所で、デビッドから特殊な訓練を受けていた。それは時限装置と磁石のついた機雷を、大統領の乗ったヨットの船底につけようという陰謀だったのだ。敵のスキを見て逃げ帰ったきたファーからその様子を聞いたテリルとマホニーは急いでモーターボートで出発したが、途中で燃料が切れてしまい、、最後の手段としてテリルは、ファーにビーを探し出して止めるように命じた。ファーは間一髪でそれに成功し、おまけに機雷を理事たちの乗った船につけたのだ。テリルは研究施設をすべて放棄して逃げる決心をする。過去の自分の研究が、純真なイルカの心を傷つける結果になったことを後悔したからだ。ファーとビーを海に放し、外海へでるよう命じる彼の心ははり裂けんばかりに痛んだが、すぐやってくるであろう組織の復讐を考えると、こうするより他に方法がなかった。「パー」といつまでも海岸で呼びつづけるファーの声が彼ら夫婦の耳にはつらかった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 アカデミー賞(1974年)

ノミネート

作曲賞(ドラマ) ジョルジュ・ドルリュー
音響賞  
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映画レビュー

4.0ファー・ラブ・パー

2020年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 『イルカの日』、『ジョーズ』、『オルカ』と、70年代は海洋生物映画が多く作られてきた映画界。この中に『テンタクルズ』を入れてもいいのかどうかはわかりませんが、人間に近い知能を持つ生物には愛着がわいたり、恐怖パニックに陥れたりと愛とスリルが交錯する。  この作品はどちらかというと、音楽に泣かされる動物愛もの。しかも裏では陰謀が渦巻き、大統領専用船を爆発するという事態にまでイルカが利用されるのだ。人間とイルカ。イルカは哺乳類であることは知られているが、かつては陸上で生活し、数百万年前に海に戻っていったとされる生物。その過去への哀愁を感じさせるほど、ラストは名シーンだし、本来なら共存関係であったはずのイルカ。でも、映画を観てもTVアニメ『海のトリトン』を思い出さずにはいられない。  そしてこの映画を観れば映画『ザ・コーブ』によってイルカ漁がバッシングを受けたことも理解できる。『フリー・ウィリー』や『イルカと少年』など多くのイルカ映画が作られたのも事実。やはりイルカはともだちだ!

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kossy

5.0若きころから好きな映画

2013年2月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

悲しい

楽しい

幸せ

アルファ が可愛いくて、ストーリーの展開も良いです。 人間の浅はかで愚かな悪い考えが、博士夫妻につらい決断をさせ イルカ達との哀しい結末に、、、 ラストシーンが重いです。 でも、私が一番好きな映画です ^_^

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kawaebi99