「時代の申し子のような作品だったのだろうか…」いちご白書 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
時代の申し子のような作品だったのだろうか…
主題歌の「サークル・ゲーム」も有名、
また、「勇気ある追跡」等でも売り出しの
キム・ダービーが出演していたり、
更には、バンバンの元歌になった話題の映画
でもあったものの、
何故かこれまで鑑賞することはなかったが、
TV放映を機に初鑑賞。
パリ五月革命や、
作品の中でも印象付けられる
兄に続くロバート・ケネディの暗殺や
ニクソン政権の登場の直後の公開だから、
西欧諸国はその経済成長にも関わらず、
その裏にあるキナ臭さも
60年代後半から庶民が感じ始めた時代を
象徴する映画なのかも知れない。
だから、画面と各挿入歌からは、
“反体制=正義”の時代の雰囲気が
プンプン漂ってくるようだった。
そして、ラストの警察による長々と続く
学生の暴力的排除シーンは、
西部開拓史における先住民の虐殺を描いた
「ソルジャー・ブルー」が
何故かオーバーラップした。
また、そんな中でも驚いたのが、
半世紀以上も前の学生運動のスローガンに、
反権力と共に
人口過剰や地球環境への視点が
既に含まれていたことだった。
この年のキネマ旬報では、
第1位が「イージー・ライダー」
第4位が、「明日に向って撃て!」
第5位が「M★A★S★H」
と、反体制的作品が映画界をも凌駕したが、
この作品も第12位に選出された
時代の申し子のような作品だったのかも
知れない。
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