劇場公開日:1988年12月9日
1953年製作/83分/イタリア
原題または英題:Viaggio in Italia
配給:大映
劇場公開日:1988年12月9日
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロベルト・ロッセリーニ
- 脚本
- ビタリアーノ・ブランカーティ
- ロベルト・ロッセリーニ
- 撮影
- エンツォ・セラフィン
- 音楽
- レンツォ・ロッセリーニ
劇場公開日:1988年12月9日
1953年製作/83分/イタリア
原題または英題:Viaggio in Italia
配給:大映
劇場公開日:1988年12月9日
製作・公開当時、本国のイタリアでは批評家から「イタリアのネオリアリズモから後退した」と評価を得られなかったロベルト・ロッセリーニ監督の「イタリア旅行」(1953)ですが、その後の世界の監督に影響を与えた映画史の中でひとつの原点とも言える映画です。
当時、フランス・パリでは成功を収め、映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」の初代編集長アンドレ・バザンや若い批評家たちはこの作品に熱狂しました。若い批評家たちとは、1950年代末に始まったフランスにおける映画運動“ヌーヴェルヴァーグ”(新しい波)の中心的な映画監督となるジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーらで、そのためロッセリーニは「フランスのヌーヴェルヴァーグの父」と呼ばれています。
主人公である倦怠期の夫婦を演じたのはイングリッド・バーグマンとジョージ・サンダースで、当時結婚していたロッセリーニ監督とバーグマンとの関係が反映されていると言われています。物語は淡々と進んでいくように見えますが、ロッセリーニ監督は二人に即興的な演技を求めたとされていて、バーグマンの美しくも繊細な演技が夫婦の微妙な心理を浮き彫りにしていきます。劇的な展開はありませんが、小さな出来事が積み重なっていくことで、夫婦の心に甦る変化を観客も一緒になって体験し、ラストにはなんとも言えないカタルシスを味わえる映画です。
ベルナルド・ベルトルッチやマーティン・スコセッシら多くの監督に影響を与えたと言われる映画なので、この作品から映画史的な系譜を辿って見ていくと、また新たな視点で映画を楽しむことができると思います。
映画館で久々に再見(三百人劇場以来?)。亡くなった伯父の遺産を処分するため、イギリスからナポリ近郊の地に訪れた夫婦が、旅先での夫婦喧嘩(嫌味と皮肉による揚げ足取り)により一時は離婚の決定にまで至った関係を、イタリアという地ならではの「奇跡」によって修復する、というお話。批評家時代のJ=L・ゴダールが称賛したことでも有名な作品で、一組のカップル(男と女でなくてもよい)、自動車と道を横切る牛や人々、遠くに見える鉄道や船、歴史の記憶を宿す街や遺跡、そして海と光さえあれば、映画が成立すること、傑作さえ生み出すことができるということを、見事に証明してくれる
互いに心が離れてしまった夫婦がイタリアを旅するだけの話なのだが、なぜか引き込まれてしまう。
イタリアのモノクロ映画独特の硬い画質。アントニオーニ作品でも感じた突き放すような冷たい空気感。
ナポリの観光案内さながらにバーグマン扮するキャサリンが名所を回る。博物館の古代彫刻に圧倒され、洞窟観光ではガイドに隠れて悪態をついたりする。カタコンベでは頭蓋骨の山に気分を乱され、夫への冷めた愛情や嫉妬、かつて好きだった亡き詩人の友人への思慕など複雑な心模様を絡めて描いていく。
夫の方はいけすかない人物で、カプリ島で浮気や買春を試みるが不発に終わる。「友達が死んだの」と言う娼婦のいきなりの台詞には、さすがにドン引きしてしまう。
そんな冷め切った夫婦がポンペイ観光の後、お祭りの列に巻き込まれて愛を取り戻すことになるのだが、これがあまりに唐突過ぎる。それともロッセリーニのこの力業を「奇跡」と呼ぶべきなのだろうか。やっぱり最後まで引き込まれてしまった。
想像していたイタリア観光の楽しいロードムービーではなくて、ナポリ近郊に滞在したイギリス人夫婦の夫婦生活の危機を描いている結構スリリングなお話しです。
二人だけの旅行中だからこそ顕在化してしまう気持ちのすれ違い。
夫婦のわだかまりを克明に描写しているので、折角のナポリやカプリでの美しく楽しいはずの場面が、ちっとも盛り上がらない。フレッシュで美味しいはずのイタリア料理も、ちっとも美味しそうに見えてこない。
でも、旅行でのそういうことって有りがちだと思う。この主人公達も、遂には離婚を決意します。
イタリア映画なのに、主人公2人は英語しか喋れない設定。その上、主要な登場人物(ほとんどイギリス人)が、やたらとイタリア人を侮蔑するという変なイタリア映画。
エンディングで、夫婦は突然に和解してしまうのだけれど、まあ、これで上手く復縁出来る訳がないでしょ、としか思えないハッピーエンド的なバッドエンド。
こういうリアルさ、私は好きです。