イタリア旅行

ALLTIME BEST

劇場公開日:1988年12月9日

映画評論

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写真:Photofest/AFLO

映画レビュー

4.0 世界の監督たちに影響を与えたイタリア映画

2020年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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和田隆

5.0 イタリアという土地が生む奇跡

2025年11月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

映画館で久々に再見(三百人劇場以来?)。亡くなった伯父の遺産を処分するため、イギリスからナポリ近郊の地に訪れた夫婦が、旅先での夫婦喧嘩(嫌味と皮肉による揚げ足取り)により一時は離婚の決定にまで至った関係を、イタリアという地ならではの「奇跡」によって修復する、というお話。批評家時代のJ=L・ゴダールが称賛したことでも有名な作品で、一組のカップル(男と女でなくてもよい)、自動車と道を横切る牛や人々、遠くに見える鉄道や船、歴史の記憶を宿す街や遺跡、そして海と光さえあれば、映画が成立すること、傑作さえ生み出すことができるということを、見事に証明してくれる

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WEEKEND

3.5 ナポリの観光地を巡る愛の彷徨

2025年11月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

互いに心が離れてしまった夫婦がイタリアを旅するだけの話なのだが、なぜか引き込まれてしまう。
イタリアのモノクロ映画独特の硬い画質。アントニオーニ作品でも感じた突き放すような冷たい空気感。

ナポリの観光案内さながらにバーグマン扮するキャサリンが名所を回る。博物館の古代彫刻に圧倒され、洞窟観光ではガイドに隠れて悪態をついたりする。カタコンベでは頭蓋骨の山に気分を乱され、夫への冷めた愛情や嫉妬、かつて好きだった亡き詩人の友人への思慕など複雑な心模様を絡めて描いていく。

夫の方はいけすかない人物で、カプリ島で浮気や買春を試みるが不発に終わる。「友達が死んだの」と言う娼婦のいきなりの台詞には、さすがにドン引きしてしまう。

そんな冷め切った夫婦がポンペイ観光の後、お祭りの列に巻き込まれて愛を取り戻すことになるのだが、これがあまりに唐突過ぎる。それともロッセリーニのこの力業を「奇跡」と呼ぶべきなのだろうか。やっぱり最後まで引き込まれてしまった。

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sugar bread

4.0 旅行は苦々し

2025年11月3日
iPhoneアプリから投稿

「男と女と車があれば映画はできる」というゴダールの有名な言葉の由来は本作。そのせいで過度に神格化されている向きがあることは確か。

煙を吹きかけると「イオン化(マジ?)」によって勢いよく烟る硫黄泉や、圧倒的な群衆が押し寄せる村祭りなど、ロケーション的要素に助けられている部分は大きい。しかし男女の間に渦巻く引力と斥力、そしてそれらの心理的運動を物理化する変換ツールとしての車があったからこそ、それらのロケーションに辿り着くことができたともいえる。

それにしても終盤の畳み掛けるような離婚キャンセルには笑ってしまう。明らかに雰囲気が悪い夫婦に対して「ポンペイで生き埋めにされた遺体の石膏を見に行こう!」と笑顔で誘いかける案内人は一周回って一番心がない。しかも土の中から姿を現した石膏が夫婦の遺体。「ワオ!夫婦だね!」じゃねえんだよな。

村祭りの群衆に揉まれるという描写を通じて夫婦間に蟠っていた悪感情が次第に絆されていく一連のシーンは見事なもの。そのあまりのご都合主義ぶりを、群衆の誰かが隊列の中の聖者に向かって放った「奇跡だ!」の一言が強引に説明づける。手癖程度の力加減でこういうことができるロッセリーニはやはりすごい。

ただ、物語的なところでいうとイングリッド・バーグマンがあまりにも不憫だ。彼女のいじらしさに対して夫の無味恬淡ぶりは何なんだ。お前カッコつけてんじゃねえぞ、と思ってしまった。最後も「愛してると言って」と言われて「それを利用しないと誓うか?」とわざわざ確認を取る冷酷さ。バーグマンさん、やっぱ離婚したほうがいいっすよ。

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因果