劇場公開日 1982年12月4日

「少年と異星人との心の交流」E.T. 細谷久行さんの映画レビュー(感想・評価)

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3.0少年と異星人との心の交流

2015年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

わたしはあまりSF映画を観ないので大きなことは言えないが、この「E.T.」については他のSF映画とは少し違った感想をもった。わたしはこれをむしろ荒唐無稽で現実離れした映画というよりは実のある人と異星人との心と心の交感をテーマにしたヒューマンドラマとでもいうべき側面を強く感じた。この映画の目玉は何といっても、頭でっかちで目がパッチリしていて何ともいじらしく憐れみと、いとおしさでわれわれを惹きつける異星人(E.T)ではなかろうか。

カリフォルニアの森に夕暮れ時、探索のため降り立った宇宙船から多くの異星人が出てきて地質調査を始めた。しかしヒト気を感じたため彼らは急いで宇宙船に戻りもとの星へと再発進した。だが高台から街の灯に見とれていた異星人が一人乗りはぐれて取り残されてしまう。

森近くの人家の物置に身を隠すが少年に見つかりひと騒動となる。初めのうちこそ強く警戒されていたが発見者のエリオットは少しずつ警戒心を解きこの心やさしき闖入者に親しみを持つようになる。やがて兄や妹も知るところとなりエリオットは彼を守ってやらなければと思うようになる。異星人には家の中を自由にすることも許される。彼は少しずつ言葉を覚え「ホーム」つまり自分の生まれた星のことをしきりに口にするようになった。エリオットはこれを察し彼を星に返してやらなければならないと思うようになった。そのため彼を自転車の前かごに乗せて森に連れて行く。そこで星に向けての手製のレーダーさえ共に作った。森に来る手前で、感動的な出来事が起こる。道を誤ったエリオットは異星人とともに崖っぷちから天空へ鳥のように飛んだのである。そしてシルエットとして月をよぎる。このとき背景に流れる音楽が場面にマッチして印象深い。
この日はちょうどハローウィンの日。エリオットは「鐘つき男」に扮していた。エリオットが森に目覚めたとき異星人は行方が分からなくなっていた。兄マイケルが必至の思いで探し瀕死状態の異星人を発見する。そして彼をNASAの大人たちが治療のため連れてゆく。だが必至の看病にもかかわらず異星人は死んだかにみえた。否、確かにみまかった。悲しむエリオットだが鉢の花が蘇るのを見て彼がまだ生きているのを確認する。

エリオットは異星人をそこから連れ出して彼の友人とともに仲間の待つ丘に連れてゆき星に返そうと必死に自転車をこぐ。警察が彼らをこれまた必至に追跡する。これまでと思われた時また予期せぬ事が起こる。彼らは自転車のまま天空を飛翔し宇宙船の待つ丘へと向かう。前述のようにここでも音楽が効果的に使われて忘れ難い。

やがて別れの時がやってくる。今となって総てを知った母親も別れに涙する。異星人はエリオットの肩に例の細長い指をかけて抱擁し別れを惜しむ。宇宙船は飛び立ってゆく、秋の日の思い出を残して…。

このSF映画は今までの常識を覆した斬新な発想によっていると思う。ただやみくもに気をてらわず新機軸を打ち出したSF映画の金字塔とも言えるのではないか。

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細谷久行
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