アンドロメダ…

劇場公開日:

解説

現実に起こりうるという点で、恐怖を感じさせるサイエンス・フィクション。製作・監督は「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ、マイケル・クライトンの原作をネルソン・ギディングが脚色、撮影はリチャード・クライン、音楽はジル・メレがそれぞれ担当。出演はアーサー・ヒル、デイヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド、ポーラ・ケリーなど。

1971年製作/アメリカ
原題または英題:The Andromeda Strain
配給:CIC
劇場公開日:1971年8月28日

ストーリー

ニュー・メキシコの小さな村に落下した衛星を回収にいった陸軍の兵士たちは、村にふみ込んで一瞬息を呑んだ。あたり一面に住民の死体が転がっているのだ。一方、本部では、村の異常を伝える兵士の声が突然悲鳴に変わり、電話が切れてしまったため、急遽、非常体制をとり、待機していた4人の科学者を動員してワールドファイア計画を発動させた。4人はストーン博士(アーサー・ヒル)、ダットン博士(デイヴィッド・ウェイン)、ホール博士(ジェームズ・オルソン)の3人に、女性のルース・レービット博士(ケイト・レイド)を加えた、アメリカの最高権威であった。現地に飛んだストーンとホール博士は、住民たちの急死は、衛星の中の微生物が住民たちを襲ったためと断定したが、死者の血液を粉末状にするほど凝固させてしまう生物の正体は、見当もつかなかった。さらに不可解なのは、住民たちの中の2人だけが生存していたことである。地酒の好きな老人ジャクソンと、乳飲み児の2人だった。超近代的な研究所で、衛星と2人の生存者を研究資料に、博士たちの必死の研究が始まった。科学者はその微生物を“アンドロメダ・ストレイン”と名づけ、コンピューターを主にした各種装置を駆使して、アンドロメダの分析研究は着々と進められたが、依然、撲滅のための手掛かりは何もつかめなかった。ホール博士が医学研究員のミス・カレン(ポーラ・ケリー)と乳飲み児の反応検査をしていたとき、突然ランプがつき、けたたましい“汚染”のアナウンスが所内を流れた。汚染したのはダットン博士の研究室で、ダットンはガラス越しにストーン博士に励まされながら真青な顔をしていた。ホールは、今までの研究結果から、地酒を浴びるほど飲んでいた老人の酸性と、1日中泣きづめの乳飲み児のアルカリ性の相反する2つが、彼らをアンドロメダの魔手から救ったと直感していた。彼はダットン博士の研究室の酸素供給をとめ、ダットンに激しく呼吸させるようにした。ホールの博打は成功し、ダットンは一命をとりとめた。しかし、直後に今度は研究所の自爆装置が作動し始めた。汚染が規定以上に達すると、自動スイッチがはいり、5分後には研究所が核爆発で吹っ飛ぶように設計されていた。地下1階にある自爆装置を解除するため、ホールはキーを持って向かった。しかし作動と同時に各階のドアが自動的に閉まり、ホールは管制室にいるストーン博士の指示に従いながら、中央室空洞(コア)を登って任務を果たさねばならなかった。困難な作業であったが、ホールはレーザー光線に頬を焼かれながらも、やっとのことで辿りつき、間一髪で自爆装置を解除した。

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映画レビュー

4.0謎の地球外生命体の恐怖がスリリングに展開する、ワイズ監督の映画職人的手腕

2023年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

音響効果技師のスタートから名作「市民ケーン」の編集で評価されたロバート・ワイズ監督は、名匠としては異色のキャリアの持ち主だ。1950年代のSF映画の代表作「地球の静止する日」、ギリシャ史劇の「トロイのヘレン」、ジェームズ・ディーンが主演するはずだったがポール・ニューマンの出世作になったボクサーの青春物語「傷だらけの栄光」、スーザン・ヘイワードにオスカーをもたらした告発社会派映画「私は死にたくない」、そして映画史に遺るミュージカル映画の金字塔「ウエスト・サイド物語」と「サウンド・オブ・ミュージック」、更にスティーブ・マックイーンの名演が光る「砲艦サンパブロ」と、監督として50年の長きに渡って活躍した。B級映画からジャンルを問わず色んな題材を高水準の作品に仕上げている。この作品も面白さと丁寧な作りでは「地球の静止する日」に劣らないのに、公開当時は余り話題にならなかった。 謎の地球外生命体の恐怖を扱ったこの題材は、目に見えない微生物の人体への侵略という点で今日の人類に課せられた新しい国際問題の病苦になっている。その関心から見ると、とても分かり易く、緊張感を持って鑑賞出来るのではないだろうか。制作されて50年経った科学の進化は、高度なコンピューターシステムを構築し、医療技術も細菌学も発展していると思われる。それでも描かれた1970年代を思い起こすと、地下研究所のシステムや機能の高さの斬新さは特筆に値するし、原作の先鋭性とワイズ監督の演出の見せ方の巧さがある。想定された軍用細菌兵器研究の秘密事項から、拡散防止の最終手段の自爆システムまでが、リアルに描かれている。プロローグの謎の恐怖から、解析が進むほど恐怖が増す映画的な緊張感の持続も優れている。ただ初見時はクライマックスが007映画のように感じたものだが、見直して不満に感じたのは結末の物足りなさである。老人と赤ちゃんのその後が知りたいし、基地内の微生物をどう始末したのかも分からない。 制作費の殆どは地下秘密基地の建設費に使われたのだろうか。実験用動物の描写も無駄なく丁寧で素晴らしい。高額な有名俳優をキャスティング出来なかったことは、作品の出来が良かっただけに惜しまれる。しかし、4人の科学者の中の唯一女性のルース博士を演じたケイト・レイドが良い味を出していて、存在感のある個性的な科学者を見事に演じている。ワイズ監督の的を外さず、映画的な手腕が手堅さになって、最後まで見せる醍醐味は充分あります。題材の普遍性と演出の巧みさが合致したSF映画の隠れた秀作と思います。

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Gustav

2.5睡魔に襲われ・・・

2023年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「サウンド・オブ・ミュージック」(65)のロバート・ワイズ監督は、もともとホラーやSFから様々なジャンルへと広がっていたのですね。オープニングの緊迫した雰囲気がとてもよくて面白かったのですが、謎の物資を丹念に調べている過程で自身が睡魔に襲われてしまいました…(汗;)。

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赤ヒゲ

5.0冷静な展開で盛り上げるSFパニック

2021年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 久しぶりに、DVDで再鑑賞。 改めて良くできた作品だと感心した。  宇宙から来た未知の病原体から人間社会を守るため、科学者チームが奮闘する物語だ。 ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」のような、高い職業意識を持った医者が英雄的に活躍するエンターテイメント性の高い作品ではない。  登場人物の個性の演出は、最低限に抑えられている。 科学者同士の立場や思惑の違いによる意見の衝突もあるが、それをメインにドラマを構成しているわけでもない。 選ばれた科学者4人が、最先端の研究所内で病原体の実態を一つひとつ解明していく。 そのプロセス自体が、緊迫感を高めていく作りだ。  当時としては最先端と思われる科学設備が要所で使われており、リアリティは十分。 また、画面を分割して状況を説明するようなカットが使われ、ちょっと科学論文を見るような雰囲気の演出も施されている。  科学者ならではの冷静かつ果敢な行動が重大な危機を回避していく展開には説得力があり、 それがこの作品ならではの盛り上がりを生み出している。  原作は、マイケル・クライトン。 この作品で描かれているのは、現代科学では想定し得ない完全なフィクションの世界だ。 しかし、絶対に起こり得ない事態とは言えないだろう。 我々が、SF映画の設定の矛盾点を突っ込むのは、「現実と架空の物語とは違う」と思いたいだけだからだ。  コロナ禍もそうだが、 実際に起こった問題の対策には、SF映画以上に突っ込み処が満載なのである。

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Garu