「総てのテロはノンである」アルジェの戦い kthykさんの映画レビュー(感想・評価)
総てのテロはノンである
もう、50年も前となる1967年、 まだ子供だったが、 ヌーベルバーグやイタリア映画は好きでたくさん観ている。しかしこの年、ヴェネツィア映画祭金獅子賞が「アルジェの戦い」であったことは全く知らなかった。「気狂いピエロ」や「欲望」を押さえ受賞したこの映画を映画美学校で、今日はじめて観たが、映画の50年間のギャップはどこにもない。映像も内容もまるで昨日のニュースを観ている体験、まさに今の我々の日常世界が2時間に渡ってリアリスティック展開されている。
どのような主義主張がなされるとしても、先ずは人命尊重、双方にとって総てのテロはノン、爆撃と銃撃を直ぐに止めなければならい。このテロと戦争は歴史的には撤退を決意したドゴール大統領のOASによる暗殺未遂事件が記録されてはいるが、植民地支配したフランスがまずは爆破・銃撃を止め、さらにアルジェリア臨時政府を支援し被害者、難民の救済にあたったことで集結した。アルジェリア生まれのフランス人、アルベール・カミュの不条理を理解するなら、双方総てのテロはノンである。このことこそ、この映画のメッセージ。50年前のアルジェリア人とフランス人の悲惨と困難を克服した勇気を、今こそ思い出さなければならない。
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