劇場公開日 1989年7月23日

「不気味の国のアリス」アリス(1988) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不気味の国のアリス

2014年9月4日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

実写にアート・アニメを融合し、星の数の映画監督の中でも特に独特の作風で知られるチェコの鬼才、ヤン・シュヴァンクマイエルの1988年の作品。

題材はルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」。
ウサギを追って不思議な国に迷い込むのは同じだが、それ以外は新解釈と言うか独自解釈。
ディズニーのアニメ版ともティム・バートンの実写版とも違う、文字通りの異色ファンタジー。

アリス以外、キャラもセットもほとんど人形アニメ。アリス役の女の子も人形になったりする。
その緻密な表現だけでも一見の価値はある。

作風は極めてシュール。グロテスクでもある。
間違っても子供に見せられる作品じゃない。

しかし、この異色の作風が、妙に「不思議の国のアリス」という作品に合っているような気がする。
音楽は流れず、台詞も極力カット。
本当に、見る者も不思議の国に迷い込んだ錯覚を感じさせてくれる。

好き嫌いはハッキリ分かれる。
と言うより、シュヴァンクマイエルの作品自体がそう。
でも本作は、題材のお陰か、シュヴァンクマイエルの作品の中でも初めてまともに見れた。

近大