「今、見ることができてよかった」暗殺の森 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
今、見ることができてよかった
この映画は自分は見ることはないだろうと勝手に思っていたが見てよかった。すごく面白かった!映画(構成、照明、映像、衣装、配役)としてもちろん、そしてメッセージが重くて大きかった。
「普通」ってよくつかう言葉でこの映画でもnormale, Normalita`が主人公の口から何度も出る。でも「普通」という抽象概念を具現化する事は誰にも出来ない。その代わりに勝手に人間は思い込む:隣の人、他の人、大勢の人達がやってることに倣えばいいんだ、みんなと同じことしていればいいんだ、それが多分「普通」なんだ。その「普通」ができれば安心だし目だたない。なんだかすごく日本的!めんどうくさい、疲れる、だから思考停止、だからみんなと一緒で付和雷同。それが脳みそにとっても一番楽で心地よい。でもそれが駄目なことは歴史が教えてくれている。大変でもまずは、個人個人が自分の頭と心を使って考えることだ。誰かに何かに安易に頼ってはいけない。個人は素晴らしい、それが大衆になるとおかしくなる。
自分自分に捕らわれて「普通」になるためだけにファシストになって、愛し尊敬していた人を殺すことも助けることも何もできない体制順応者、マルチェッロ!「女性」の柔軟さと賢さと自由を、体制順応者になりやすい「男性」に身に付けて欲しい。
おまけ
マルチェッロの見張り役マガニエッロを演じていたのはガストーネ・モスキン❗️「ゴッド・ファーザーPart Ⅱ」で若きヴィトー(デニーロ)に殺される、白スーツのドン・ファヌッチを演じ、お色気コメディ「黄金の7人」や「続・黄金の7人 レインボー作戦」でも大活躍してました。再会できて嬉しかった!
talismanさんのレビュー読んでて、マルチェロってマリア・ブラウンのヘルマンなのかなーって思いました。一種の男女論になっちゃうんだけど、男性の方が体勢に順応しやすい反面、その体制が崩壊した時に茫然自失しやすく、女性はリアリストなんでクールなのかも。そーんな感じで、第二次大戦の敗戦国のドイツとイタリアの監督が男女の違いはあっても同じ視点かもしれないって思うと、なかなか楽しい比較論ですね。
コメントありがとうございます。
町山智浩さんの格好の意味はまったくわかりませんでした。
オッペンハイマーからでしたか❗️
楽しみがまたまた増えました。
現代イタリア人でもなお、古代ローマ時代のピラトが決定したイエスの十字架刑への抜き難い後ろめたさが、カトリック総本山の国なのに(だからこそ?)潜在的にあるそうです。我々には想像し難い歴史の重みと複雑さですね。
あれ?町山さんが言ってたのかな?
なんだかもう記憶が曖昧…😅
そうですね。男と女としてこの映画見るべきなのかなぁ?
ヴィシー政権は1940年ですから、まだですね。でも、言うまでもなく、カトリックの国。ユダヤ人に対する迫害はひどかったと思います。
『サラの鍵』とか見ると良くわかります。
また、イタリアって、ヨーロッパの他の国から見て歴史が古い様で若い国だと思います。