青いドレスの女のレビュー・感想・評価
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映画の効用
ここのところぽっかり時間が空いたこともあり、久しぶりに続けて映画をみている。日に3本みるのは学生のころ以来かと思う。して、改めて、何につけても量なき質はあり得ないのだと思う。
初日の3本目にみた映画がこの映画だった。今度ロサンゼルスとサンディエゴに行く予定があるから、アメリカ西海岸が舞台の映画を見続けていた。先の2本は特筆すべきことはなにもなかったし、み終えて何か書きたいとも思わなかった。ただ、映画のいいところは例えそれが自分に刺さらない映画でも時間を無駄にしたという感がないことだと思う。それは本についても言えると思う。何が言いたいかと言えば、何かしら学ぶことがあるのだ。文化なり、時代なり、そんなふうなふわっとしたものだ。映画を見てビールが飲みたくなるとか、煙草が吸いたくなるとか、コーヒーうまそうだなとか、そういう何かしらの憧れだったりの積み重ねが日々の生活の中で自己満足の良い時間を作っていくのだ。
この映画は特にそんな風に憧れるシーンが多くあった様に思う。色がとてもよかった。質感とでも言うべきなのか。衣装もとてもかっこよい。埠頭でジャケットの襟を立てるだとか、開け襟のシャツだとか、クッションなしの丈のワークパンツだとか。今でも(というか今だからなのか)全然かっこいいと思う。
あと、若い頃のデンゼルワシントンはエイサップロッキーみたいやなと思った。
映画の最後にも繰り返されるギャングがデンゼルワシントンに言う台詞が耳に残った。
「ドアを出ればトラブルだらけ。大物を巻き込めば勝つ」
ドン・チードル
カリフォルニアでひっそり金を貯めて家を買ったイージー。しかし職を失っていたので、どんな仕事でも飛びつきたかった。ダフネの情報を簡単に仕入れたのに、それを教えてくれたコレッタという黒人女性は何者かに殺されたのだ。その友人の恋人コレッタを寝取るというデンゼル・ワシントンがなんとも言えない。
ハードボイルド小説を戦後直後の黒人社会に当てはめたという奇抜さもあり、私立探偵ではないため簡単に殺人容疑者とされ、まだまだ差別社会だったアメリカを描いてある。話がややこしくなった上に、強力な助っ人(?)ドン・チードルの登場だ。簡単に人を殺してしまう彼のコミカルな演技によってハードボイルドさよりもクライムコメディの様相を帯びてしまう。
ストーリー的には雇われたと思っていたカーターが実は雇い主ではなく、対抗馬の黒人市長候補だったというところが面白いはず・・・なのに、最後は散漫な展開となり、殺人容疑で捕まる前に犯人を挙げると宣言し、逆に人を殺しまくるってのもなんだかなぁ・・・
差別があって当たり前の時代背景の娯楽作品
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
事件に加えてこの時代の社会と黒人たちを描いた娯楽作品。1948年が舞台ということで黒人差別が普通に出てくるのだが、それにたいして特に差別撤廃を叫んだりするわけでもなくて普通にそれがあって当然という社会の中で人が生活している。だからといって別に差別撤廃を声高に叫んだりどろどろとした雰囲気があるのではなくて、差別も陰謀も裏切りも殺人もさらっと物語に取り込まれている。だからのめり込むのではなくてちょっと距離を置いてこの時代の雰囲気と事件の展開を楽しむことが出来た。主人公を演じたデンゼル・ワシントン、彼の悪友マウス、謎の女を演じたジェニファー・ビールス、ギャングに政治家と登場人物も個性的で描き分けされていたのも気に入った。
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