愛と哀しみのボレロのレビュー・感想・評価
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音楽とバレエ
いくつもの糸が絡み合い大河を流れていく
私のなかでは史上最高の映画でした。戦争と民族と愛と慈愛の大河をたくさんの家族や個人を登場させて人生そのものの糸が触れ合い、すれ違い、時には絡み合いながら時代を象徴する群像として描かれていく。主な4つの一家の他にもユダヤ人を救う女教師と息子、線路で拾った赤ん坊を捨てた男と子供を探す母親の出会い、散り散りになったパリの劇団員が、ある者たちは合流、男性ダンサーは米国でダンサーとなり、劇団長とその息子は女をめぐる泥仕合へと、4つの糸以外にもたくさんの糸が周りに流れていることに気がつき、時代に翻弄されながら生をつないでいく人々と、混乱の時代を自ら繰り返しつくっている人間のおろかさ、あわれさ。
この映画はそうした人間の哀しみ喜びを、おろかな人間たちの性(さが)の上に群像として描ききった大作です。ロシア、ドイツ、フランス、アメリカという言語の通じない家族たちを象徴的に主役にして、聖書でバベルの塔を築いて神が言葉を通じさせなくなった人間たちの末裔を描いている愛と哀しみの糸の物語。長く語り継がれる傑作だと思います。
クロード・ルルーシュ渾身の舞曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー、ルドルフ・ヌレエフ、...
ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー、ルドルフ・ヌレエフ、エディット・ピアフの四人の音楽家たちをモデルに、戦前から戦後の半生を描いている。
登場人物が親子2世代同一人物だったりと、一度ではかなりわかりずらい。
芸術家を通して映る戦争の悲劇もまた悲しくも切ない。
2014.5.12
実はクロードルルーシュの半生記
才人ルルーシュ本領発揮
ルドルフ・ヌレエフ(ジョルジュ・ドン)、エディット・ピアフ(エブリーヌ・ブイックス)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(ダニエル・オルブリフスキ)、グレン・ミラー(ジェームズ・カーン)をモデルにし、パリ、モスクワ、ベルリン、ニューヨークを舞台に50年間のドラマを壮大に描く。
才人クロード・ルルーシュ監督、音楽はミシェル・ルグランとフランシス・レイ。
終盤のボレロをバックに踊るジョルジュ・ドンは圧巻。
ジョルジュ・ドンの思い出
京都にジョルジュ・ドンが来たとき、これは是非にと行ってきた。
映画の彼が、目の前で生で踊るボレロ。長い長いクレッシェンドで、繰り返し繰り返しの高揚していくボレロのリズム。
客席の僕はあの映画のストーリーが、それこそ走馬灯のように思い出されて、自分までがステージの渦に巻き込まれてしまって
・・・音楽とダンスが終わった瞬間の、絶叫と嵐のような歓声の中、大勢の観客と一緒に両手を上げたままステージのたもとまで殺到してしまった。
あんな客席は後にも先にも見たことがない。
ジョルジユ・ドンはときを置かずして急逝。
映画と彼は、僕にとっては一つのものです。
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感慨深いのは、主人公たちが一堂に会するラストなわけだが、
まるでプラズマがぶつかり合い激しいショートの火花が散るようなこのエンディングにして
しかし、主役の四人は目の前の共演者が何者であるかを知らないのだ。
絡み合いつつニアミスしつつも、人間の歴史はその人において固有のものなのだと映画は語るのだろう。
凱旋門でのこの夜が終われば、彼らは再びバラバラに帰途につく。
つまり個人主義の讃歌、
そのことがまた面白い。
映画の他のシーンについては、何度か観て友人と不明点を解明し合うのも楽しい。
なんせ同じ役者が親子の設定で再度登場しているし。絡み合い巡り合うヨーロッパの歴史。
で、まだよく分からないのは戦地から復員して駅に降り立った若者たちのうち1人だけ出迎えがなかったのは何故だろう。どなたか教えて。
またレンタルだな。
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バレエもののDVDはたくさんあるがドラマ仕立てよりドキュメントが良。
草刈民代の「ダンシング・チャップリン」などオススメ。
実は僕もバレエ踊っていたのです。
これはフランス映画なんだ
フランスの凋落
観終わってみると怒り>感動
巧みで濃密。実感2時間のち脳疲労。
入場時に窓口で人物相関図をもらったけど開演ギリギリだったので予習できず。でも集中すれば追いつけます。
4家族の45年間を3時間にまとめた作品だから展開のスピードが凄い。シーンを味わってる暇なんかない。それでいて4家族それぞれが関わりあってストーリーが複雑な上に、世代代わりも合って登場人物が多い。しかし意外なほど不自然さはなくて現実のヨーロッパで非常に有り得る話。それだけに変に気持ちがそれず、最後まで集中できました。3時間があっと言う間。
特定の主人公を持たないから、それぞれの展開を理解して記憶しておく必要がある。説明的表現が非常に少ないのは35年前の映画らしく想像力を試される。いろんなところにヒントが散りばめられているから目を話せない。
読後感?は、まさに愛と哀しみが入り交じる複雑な印象が残る。哀しい過去を乗り越えて、EUとして統一通貨を持つところまで発展したのは尊敬に値する。表向きでは明るいヨーロッパ人も暗い過去を背負って踏ん張って生きているひとが多いのかもしれない。レスペクト。
プラス見逃したところがないか、きちんと理解しているか不安が残ったかな?鑑賞後にカフェで人物相関図を見ながら映画を思い返したら、二度美味しかった。つぎはDVDでじっくり見てみたい。
巧みに計算された作品。カンヌ映画祭フランス映画高等技術委員会グランプリ受賞は伊達じゃない。脳のエクササイズにオススメです。
映画と関係ないけど、第二次大戦でヨーロッパは大混乱したのは事実。隣国と殺し合った間柄になったのに、戦後は隣国と友好関係を築かないとやっていけなくなった。心の平穏は与えられるものではなく、自分で切り開かないといけない危機。簡単に信用しなくても話し合いはフラットかつ濃密。日本の会話は非常に冗長で、内容よりも感情重視。猜疑心を露骨に人を勘ぐるのは平和ボケだな。
今観るべき映画
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