愛と哀しみのボレロのレビュー・感想・評価
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人生は同じ物語の繰り返し
第二次世界大戦を挟んだ1930年代から80年代に掛けての、フランス・ドイツ・ロシア・アメリカを舞台にした音楽にまつわる大叙事詩です。
僕は公開時に観たのに、ラスト15分以外は何も覚えていませんでした。今回、40年ぶりに観てその謎が解けました。中盤以降、時空を隔てた人間関係が複雑になって頭が(今回も)こんがらがったからでした。でも、最後の15分のジョルジュ・ドンによる圧巻のバレェには、やはり感動がジワジワせり上がって来ました。ボレロとは、人生は同じ物語の繰り返しというテーマの象徴だったんだな。
やっと見ることができました
アカウントが二つできちゃった問題は解決しました。三か月間の新アカウントの間に見た映画のレビューも従来アカウントに引っ越ししましたが、取りこぼしがあったみたいです。この映画レビューもそのようなので書き直してます。
ボレロ、私がライブで見たのはシュトットガルト・バレエ団のマルシア・ハイデだけです。同じ大きな赤テーブルのセット、全て同じ。彼女も本当に素晴らしかった。真っ暗な中、両手が上がりそこに照明が当たりますが、スポットライトが探るんでなくて、ピタ!と光の中にもう手があるんです、日本公演の時の照明さんは!劇光社という、バレエやオペラがメインの照明会社のスタッフの皆さんです。本当に彼らの技術は素晴らしい。
そしてこの映画で初めて全貌を見たジョルジュ・ドンのボレロ、素晴らしい。ベジャールはジョルジュのために振り付けしたのか?と思いこまされるほど、力強くしなやかで美しい。
世代に渡るドラマがついていることはこの映画で初めて知りました。戦争を挟んだ壮大なドラマでした。誰も自分でどこに誰のもとに生まれるのか自分で決めた訳でないのに、いろんなことに翻弄される。極めてアクチュアルで悲しくやるせなくなります。
やはり冗長な感じは否めなかった
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
音楽と舞台芸術の世界を中心として、時代に翻弄される人々を描いた超大作。
「いや~、これは今こそ見るべき作品ではないか」と思いながらスクリーンを見つめていた。途中までは。
そう、中盤まではなんとか集中力を保てた。でも終戦からあとのお話が長かった。ダラダラという感じはしなかったが、さすがに長々となにをやってるんだろうという気がしてきた。いっこうに終わる気配がないので、ちょっと不安にさえなりました。
作品の力はじゅうぶんに感じたし、これくらいのボリュームにしないと表現できない内容なのかもしれないなとは思う。
でも、大しておもしろい話でもないので、やはり冗長な感じは否めなかった。
けっきょく、「なんなんだ、この映画は?」という印象を残したままエンド・ロールが流れはじめた。
ひょっとして、赤十字の宣伝映画なのかな?
追記
今期も「午前十時の映画祭」で数々の素晴らしい作品を鑑賞することができました。
関係各位に深く感謝いたします。ありがとうございました。
来期もよろしくね😊
全部邦題のせいだ
「愛と○○の」シリーズは基本避けてきたので本作も初見。81年公開だそうだから40年以上経っている。原題には愛や哀しみはもちろん、ボレロすら登場しない。
僕の中でクロードルルーシュは、少ない登場人物で男女間の機微を描くのが得意な監督だったので、こんな大河ドラマのような作品は意外。4家族の、2代、3代に渡る物語で、親と子を同じ俳優が演じてたりもするので、登場人物の関係性を把握するのに必死になってしまったが、あまり気にしなくても良かったかも。「切ねえなぁ」と思いながら眺めて、「でもラストは盛り上がったなぁ」「まぁでも人生はこれからも続いていくんだよなぁ」って感想で十分かと思うのですがどうでしょう?
長い、わかりにくい
題名だけは昔から知っていた。
なんの予備知識もなく、バレエを中心にした作品かと初めて鑑賞。
全く違う、もっと深い内容だった。
あの時代の混沌とした暗い社会背景を描きたかったのだけはわかるが、それにしても登場人物が多く、話が乱立している。途中から人の顔の見分けも出来なくなったのは当方の問題だとは思うが。それに時間の経過も加わって、もうなにがなんやら。見ているあいだじゅう、この作品のあらすじや概要を知りたくて仕方なかった。
音楽だけは印象的で繰り返し頭の中を流れているが、もっと感動したかった。
初めて見るので
四家族の壮大なドラマ。
人生は数種類しかなく、繰り返されるだけ。
それがラヴェルのボレロのリズムにあって最後は圧巻でした。
途中ブラームスやベートーヴェンのシンフォニーも使われて音楽とバレエのドラマみたいな映画だが、まだちゃんと監督が言いたかったことを理解したとは思えないのも確か。
官能的な音楽が心を揺さぶる。懐かしい映画音楽全盛期の作品
原題の「Les uns et les autres」は難しい。全く関係のない邦題をつけてしまうはずだ。「自分は自分、ひとはひと」という慣用句でもあるし、反対に「ご一緒に」という意味に使われたりするようで文脈によって異なってくる。でもパリ、ベルリン、モスクワ、ニューヨークの4都市が出てくるものの、主な舞台はフランスで、フランス人が自分たちを中心としてパリにやってくる他の国の人々と一緒に芸術文化を成熟させていく話にもみえる。で、私の原題訳は「私たちと、あの人たち」
大河ドラマである。モスクワのバレリーナ、ベルリンの指揮者、パリのバイオリン奏者、ニューヨークのバンドリーダーの4人が主な登場人物でその配偶者、子供などが入り混じりった三世代、40年以上に渡る大長編。
これをいちいちセリフや状況説明で繋いでいくのは大変だし精緻な脚本と突出した演出力を要する。クロード・ルルーシュはそこまで構成力がある監督ではない。
大長編の成立を可能にしたのはひとえに音楽の力である。ラヴェルの「ボレロ」はもちろん、その他の音楽もこの映画ではとても官能的である。
それが我々の心の奥底を揺さぶり共鳴化させることによりドラマに対する説得力を高めている。
音楽の官能性を上手く活用していたのは「男と女」と同様である。
3時間の作品なので全てがうまく行っているわけではない。アルジェリアからの帰還兵がたびたび出てくるあたりからドラマは冗長になり音楽の出番も少なくなるためちょっと退屈だった。
この映画はミシェル・ルグランとフランシス・レイによる「映画音楽」映画であるといっても良いかもしれない。「ボヘミアン・ラプソディ」や「ホイットニー・ヒューストンI wanna dance sombody」のようないわゆる音楽映画とはちょっと異なる気がする。上手く説明できないが。
ミシェル・ルグランとフランシス・レイは既に亡くなった。「海の上のピアニスト」のレビューでも書いたけど、エンリオ・モリコーネとバート・バカラックも既に亡い。映画音楽の時代は既に終わったのかもしれない。
出会いは『交渉人 真下』でした
レビューの皆さんのように、この作品やダンサーを見たくて観たわけではないです。
映画を観たくて出掛けたら、これが待ち時間が一番少なかった。
なんか聞いたことあるタイトルだなって少し考えて、『あーっ!交渉人 真下正義で出てきたやつー!』と1人心の中で盛り上がり、選びました。
まさか3時間越えとも知らずに。
冒頭に出てきた言葉の通りの映画でした。
“人の営みは同じような2、3の出来事を初めてのように残酷に繰り返す”みたいなあの言葉。
繰り返されるボレロのリズムのように、愛と哀しみがかわるがわるやってきて、その中で人は生を踊り、命を燃やしていました。
身構えずに見せられるホロコーストのシーンは心をえぐり、辛く暗い気持ちにさせられましたが、人はそれでも笑い、酒を飲み、恋をして、そして戦争以外の場所でも人を憎んでいた。
なんという【いまと変わらなさ】であろうか。
登場人物が多く1人何役も世代を超えて演じていたので、一回では分からなかった人やシーンもあり、3時間超えの覚悟を持って、いつかまたみかえそう。
とりあえずその前に、出会わせてくれた交渉人を、久しぶりに観ようかな。
あの映画もラストが好きで、何度も観てしまうんだよな。
パリの空の下
「なぜ人間は同じことを繰り返すのだろう?なぜ運命はいつも同じ装いをしているのだろう?」
午前十時の映画祭13の大トリとして鑑賞。観たのは12年ぶりで、スクリーンでは初鑑賞。モスクワ、ニューヨーク、ベルリン、そしてパリ。セルゲイ・ヌレエフ、グレン・ミラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、エディット・ピアフをモチーフに、 1930年代〜1980年代にわたり数奇な運命に翻弄された4家族の物語が同時進行する。
有史以来、人類は数多くの音楽を生み出してきた。その中でもとりわけ奇妙な存在感を放つのがモーリス・ラヴェル「ボレロ」である。同じリズムを保ちながら2種類の旋律を繰り返し、その間徐々に楽器が加わっていく。その様子は音楽というよりは呪術と表現した方がふさわしい。この曲を根底に置きながら、本作では4つの家族の物語が展開され、パリを交差点としてクロスオーバーするのである。メインキャストは親子2役兼任という、曲に負けず劣らず特異な映画と言っていい。
ただ、その性質上難しい立場に置かれた作品かもしれない。本来この手の作品は「考える」よりも「没頭する」ことを求められるが、本作はクロスオーバーで物語が進行するため、頭の中で状況を切り替えながら観なければならない。よって考えることに神経を割かれてしまい没頭しにくい一面がある。複数回観た方が恐らく整理はしやすい。緻密過ぎて観る側の整理がなかなか難しい。
とはいえフランスが底力を示したような出来で、監督クロード・ルルーシュ、音楽フランシス・レイ&ミシェル・ルグランというまさにフランス映画界最高戦力を惜しげもなくぶっ込んだ本作。音楽映画にも関わらず劇中ではT-34/85戦車やクレマンソー級空母が当たり前のように登場し、一体製作費にいくら注ぎ込んだのか気になってしまった。キャストでいうとアンヌ役のニコール・ガルシアの飾らない美しさに魅せられた。
人生には2,3の物語しかない。しかしそれは何度も繰り返される。そしてその度にまるで初めてであるかのような劇的さを伴う。そういえばラヴェル「ボレロ」は、指揮者にとっては「手腕を問われる曲」らしい。音というものは、楽器が重なり厚みが増すと同じテンポでも遅く聴こえるため、指揮者はテンポを維持するために演奏中徐々にテンポを上げる必要があるのだそうだ。人生も恐らくそうで、同じことの繰り返しの中で少しずつ生きるスピードを上げていく必要があるのだろう。そこにその人の手腕が問われるのが人生らしい。
今日もパリの空の下セーヌは流れ、日々の営みの中で新しい物語が紡がれる。
あゝマロニエに 歌を口ずさみ…
戦争と言う舞台で踊らされた人々
約10年振り、2回目の鑑賞。
前回は入り組んだ内容と1人二役の俳優陣が頭の中でゴチャゴチャになってしまい、理解に苦しんだが、今回は違った。
第二次大戦開戦前の1936年からストーリーが始まる。4組の幸せ一杯のカップルが戦火に煽られ、予想だにしていなかった人生を歩むことに。
戦後35年を迎え、パリ・シャイヨー宮に設営されたステージでボレロを舞うセルゲイがとても大きく感じた。最初は小さな動きだけど、徐々に周囲を巻き込んで大きく力強く。
世界では、今も戦争や侵攻が続き、収束される目処がたっていない。彼らのように自分では抗うことのできない現実に振り廻されている人達が大勢いるんだろうなあ。
物語は繰り返される、喜びも哀しみも、ボレロの旋律のように。
時代の波に翻弄される人々を描いた群像劇、大河ドラマが好きなのは、多分40年前に観たこの映画で感動したからだろう。
年老いた母に会いに行くところ、髪を切られて晒されるところ、この二つのシーンは40年経っても鮮明に覚えている。
戦後のパートがこんなに長かったんだ。それだけ戦争中の悲劇が強く印象に残っていたんだろう。
哀しみに満ちた物語が待ち受けているのがわかっているので、最初の四組の男女の幸せそうなところでもう泣けてしまう。
解説、紹介文にあるように4組の男女とモデルになった人物にとらわれると、それ以外にもたくさんの人たちの人生が絡んでいるからかえって分かりにくいかもしれない。
同じ俳優が親と子を同じように演じているので混乱しそうだが、物語は繰り返すというテーマなので敢えてそうしているのだろう。
物語はいつも繰り返される、喜びも、哀しみも、まるでボレロの旋律のように。
(ブレーク・エドワーズ監督の「テン」のせいで、ボレロを聴くとダドリー・ムーア(ボー・デレクじゃなくて)のエッチな顔が浮かんできていやらしいこと想像しちゃうから困るんだなぁ。)
午前十時の映画祭。さすが名古屋、平日にもかかわらずたくさんの観客。
いつも行く津のイオンシネマは大抵5、6人。もったいない。
40年前は、県の文化会館で月に一度の名作映画上映で鑑賞。今、こういう企画なくなりましたね。
国境を超えたいくつものストーリーが、運命に翻弄されながら圧巻のラス...
国境を超えたいくつものストーリーが、運命に翻弄されながら圧巻のラストに向かって複雑に絡み合う、壮大な人間ドラマ。ただ、登場人物が多く場所や時系列もコロコロ変わるので、白人の顔が同じに見えてしまう日本人としては、誰が誰だったかちょっと混乱してしまうかも。ミシェル・ルグランとフランシス・レイの音楽、そしてラヴェルのボレロとジョルジュ・ドンのダンスが素晴らしい。
最後の
“ボレロ”が終わると、奇妙な興奮。184分見せられたPVの睡魔に耐えた自分を褒めたいのか、戦中・戦後が最後融合したのに感動したのか? ちょっと「ボヘミアンラプソディ」を思い出した。
人物相関を追うのは早々に放棄した。ルルーシュ監督はPV上がりでドキュメントも撮る、その部分がくっきり出たんでしょう。
愛も哀しみも背負って生きていく
午前十時の映画祭にて鑑賞。
国籍の違う4組の男女の視点から、第二次世界大戦を生きる過酷さと被害、そして音楽の持つエネルギーを感じる。
クライマックスのボレロは観客だからこそ感慨深い。
しかしいつ見ても凱旋門周辺は運転できる自信がない。
4つの家族のドラマです。 が、中盤辺りから話がわかりにくい。 しか...
4つの家族のドラマです。
が、中盤辺りから話がわかりにくい。
しかし音楽とバレエは圧巻です。
何度も見れる。見る度に理解出来る映画です。
音楽とバレエ
ジョルジュ・ドンのボレロが見たくて。舞台の場所や演出などが完璧。これがあるから長時間耐えられた。
戦争に翻弄された4家族の物語は、重い歴史ではあるが、淡々と語られる。しかし同一人物が親子を演じたりするので、ちょっと混乱した。そして長い。でも、重厚なドラマで見応えはあった。
バレエやる人は、どうして細くて首が長いのだろうか。先天的にそういう体型の人が集約されていくのか?それとも、バレエを根詰めてやると後天的にそうなるのか?素朴な疑問。
いくつもの糸が絡み合い大河を流れていく
私のなかでは史上最高の映画でした。戦争と民族と愛と慈愛の大河をたくさんの家族や個人を登場させて人生そのものの糸が触れ合い、すれ違い、時には絡み合いながら時代を象徴する群像として描かれていく。主な4つの一家の他にもユダヤ人を救う女教師と息子、線路で拾った赤ん坊を捨てた男と子供を探す母親の出会い、散り散りになったパリの劇団員が、ある者たちは合流、男性ダンサーは米国でダンサーとなり、劇団長とその息子は女をめぐる泥仕合へと、4つの糸以外にもたくさんの糸が周りに流れていることに気がつき、時代に翻弄されながら生をつないでいく人々と、混乱の時代を自ら繰り返しつくっている人間のおろかさ、あわれさ。
この映画はそうした人間の哀しみ喜びを、おろかな人間たちの性(さが)の上に群像として描ききった大作です。ロシア、ドイツ、フランス、アメリカという言語の通じない家族たちを象徴的に主役にして、聖書でバベルの塔を築いて神が言葉を通じさせなくなった人間たちの末裔を描いている愛と哀しみの糸の物語。長く語り継がれる傑作だと思います。
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