「改めて名作と感じました」愛と哀しみのボレロ greensさんの映画レビュー(感想・評価)
改めて名作と感じました
「午前10時の映画祭」で久しぶりに鑑賞しました。以前観たのは25歳くらいの時だったのですが、スクリーンで観るのは今回が初めてなので、感激でした。
特にジュルジュ•ドンがオペラ座で踊るシーン(キービジュアルのシーン)は美しく、シビれました。亡命のため、飛行機の搭乗口でゲートを飛び越える姿も本当に美しいです。
この映画は、今回鑑賞して改めて名作だと感じました。今の中•高校生や大学生にぜひ観てもらいたいな。
戦争というものがどれほど、勝った側(この映画ではフランス、アメリカ、ロシア)にも、負けた側(ドイツ)にも、1人1人の人生に影を落とすか(それも、戦争に関わった世代だけではなく、その子供の世代にまで影を落とす)について考えさせられます。物語は、その影を乗り越えて明るい未来に向かおうとする人たちの姿を描いているので、救いの光がさすエンディングになっています。それでも、やはりこの映画が描く、戦争というものが人間に落とす残酷な影については、真実だと思います(現実は映画よりもっともっと残酷かと思います)
戦争は、その原因が実は自分たち1人1人の心の中にある限り、今のウクライナでの戦いのように、この世から完全に無くすことは出来ないかもしれない。もし自分がウクライナ人だったとしたら、戦うべきか否か、どちらが正解なのか、2つの選択肢の間で揺れてしまい、初めてこの映画を観た時から随分時を経た今の自分でも、迷いしかありません。
この映画は、ただ、人が人と戦うことで、人間の魂が深く傷つき、残酷な形で人生に影を落とすことを教えてくれます。そのことを知っておくことが未来の戦争を防ぐことにつながるのでは、と祈る気持ちを強くしながら、久しぶりの鑑賞をした私でした。
戦争に関する映画は、どうしても「観ておかなければ、知っておかなければ」という気持ちにつき動かされる部分があります。
(それでも「地獄の黙示録」は、耐え難いキツさしか記憶に残っていません。あ、戦争映画ではないけれど、血を血で洗う抗争を描いた「ゴッドファーザー」も自分にはキツいかな。俳優さんの演技がカッコイイ、とかそういう視点で観られないんですよね。なぜだろう?観ていて、苦しすぎるというか。地獄の黙示録もマーロンブランドの名演技が光る作品、と言われますが、もう一度観るとなったら相当覚悟が要りそう、、、否、やはり無理かも。
因みにオッペンハイマーは観る予定であります!)
追加コメント:
この映画は、2世代にわたって描くので、一人二役が多く(一人の役者さんが、親とその子供と両方を演じる)、それも見どころです。
これに関して今回自分の勘違いに気付いたのですが、、。ナチスの収容所に送られたユダヤ人夫婦の夫役は、作品を通して一人一役なのに(一人の役者さんが、その男性の大戦終結までと、戦後 - 特にアルジェリア戦争後 - を演じている)、自分の記憶の中では何故か一人二役をしているように勘違いしていました!ショック!(以前、この勘違いをしたまま、人にこの映画を薦めてしまった気が、、、会った時に訂正して謝らないと、、泣)。言い訳を探すとしたら、この人物が戦後、収容所で生き別れた奥さんと子供のことを思い起こすシーンが全然ないから?、、、いやいや、それでも普通に観ていれば、描かれている人物は一人だと分かるはずなんですが、何故か勘違いしていたみたいで恥ずかしい。映画をきちんと理解し切れないお間抜けな私が、この掲示板に映画の感想を載せるのはいかがかと思いますが、以後、正確に作品を理解するよう、注意しようと思いますっ!(大反省)