「今の自分には解読できないが、キューブリック監督による重要なメッセージが隠されている様に感じた」アイズ ワイド シャット Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
今の自分には解読できないが、キューブリック監督による重要なメッセージが隠されている様に感じた
スタンリー・キューブリック 監督による1999年製作(159分)のアメリカ映画。原題:Eyes Wide Shut、配給:ワーナー・ブラザース映画。
表面的には、倦怠期の夫婦の再生を描いていたのはまあ理解できたが、キューブリック監督作品である。本当のところ、何を描いた映画か大きな謎が、自分には残ったままである。
夫婦で行ったパーティにおいて、八芒星(五芒星も一箇所あった)が、バック映像でやたらと強調されていた。妻を誘惑しようとしてたのがハンガリー人であったことを含めて、分かる方には分かるある秘密の組織?の関与を暗示しようとしている様にも思えた。
女性2人(ヌアラ)に連れて行かれそうになった場所、「虹のふもと」(where the rainbow ends)とは?やばそうなイメージだが、何を表現してしているのか?NUALAというスペルも強調されている様に感じた。アイルランド系の名前の様だが、何かを伝えたい様に感じた。
トム・クルーズが仮面等を借りた貸衣装屋Rainbow、あの経営者と幼く見える娘(リーリー・ソビエスキー)、前日のまともな言動とは異なり、翌日には売春業に手を染めてしまった様に思えたが、これは何を象徴しているのか?
妄想的なイメージとしては、「Over the rainbow」 に出演しスターとして大人たちから搾取されたジュディ・ガーランド の姿、即ち金になると分かった途端少女をハードに稼がせるハリウッド映画界そのもののアコギな姿を糾弾している様に思えてしまった。
カラフルなクリスマスツリーが、クルーズ宅だけでなく、招かれたパーティ会場や娼婦(ビネッサ・ショウ)宅を含めてあちこちで登場する。翌日の娼婦宅(彼女の友人がいた)では、ツリーは半分しか写っていなかったが、何かの象徴なのか。そして、秘密の儀式が行われていたお屋敷にはクリスマス・ツリーは全く無し。これは、非キリスト教の宗教的集まりを示している?
クルーズが家に帰った時、ベッド上で妻ニコール・キッドマンの横に置かれた仮面、それは誰が置いたのか?自分には全く謎なのだが、出だしに行方不明の夫の財布のありかを妻がきちんと分かっていたことや、娼婦宅での電話のタイミングの良さもあり、隠したつもりの場所からキッドマンが仮面だけを抜き出して置いたのか?
そして、最後、クルーズ家の一人娘ヘレナはおもちゃ売り場で、老紳士2人に連れ去られてしまった様に、どうしても見えてしまう。驚かされたのだが、あの儀式を行なっていた組織の関与を暗示している様に見えてしまう。
キューブリック監督は医者の家庭に生まれたと聞く。自分には三度見でも解読不能だけれど、感覚的には、キューブリック監督が自身の体験に基づき、この映画を通して幼児誘拐も行う様な危険な組織の存在に警告を発している様に感じられた。
家の中の多くの絵や家具類等、隠れたメッセージが多くありそうで、また、数年経ったら、是非もう一度見直して見たい。
監督スタンリー・キューブリック、製作スタンリー・キューブリック、製作総指揮ヤン・ハーラン、原作アルトゥール・シュニッツラー、脚本スタンリー・キューブリック、 フレデリック・ラファエル、撮影ラリー・スミス、美術レスリー・トムキンス 、ロイ・ウォーカー、衣装マリ・アレン、編集ナイジェル・ゴルト、音楽ジョスリン・プーク。
出演
トム・クルーズ: ウィリアム・ハートフォード、ニコール・キッドマン: アリス・ハートフォー、シドニー・ポラック、マリー・リチャードソン、ラデ・シェルベッジア、トッド・フィールド、ビネッサ・ショウ:ドミノ、アラン・カミング、スカイ・ダモント、フェイ・マスターソン、リーリー・ソビエスキー、トーマス・ギブソン、マディソン・エジントン。
スチュワート・ソーンダイク:Nuala