愛すれど心さびしく

劇場公開日:

解説

「禁じられた情事の森」のカーソン・マッカラーズの同名小説をトーマス・C・ライアンが脚色、「今宵限りの恋」のロバート・エリス・ミラーが監督した文芸篇。撮影は「八ッド」のジェームズ・ウォン・ホウ、音楽はデーヴ・グルーシンが担当した。出演は「暗くなるまで待って」のアラン・アーキン、新人ソンドラ・ロック、「間違えられた男」のローリンダ・バレット、ステイシー・キーチ、チャック・マッカンほか。製作は、脚色のトーマス・C・ライアンとマーク・マーソン。

1968年製作/アメリカ
原題または英題:The Heart is a Lonely Hunter
配給:ワーナー・セブン・アーツ
劇場公開日:1969年4月29日

ストーリー

口もきけなければ、耳も聞こえない2人の若者が、アメリカの西部の町に住んでいた。シンガー(アラン・アーキン)は彫版師、アントナパウロス(チャック・マッカン)は、いとこの食品店を手伝っている。2人は薄幸な身の上をかばい合い、このうえもない親友であった。しかし、精神薄弱気味のアントナパウロスは病状がこうじ、いとこの手で病院に送られてしまった。この日からである、シンガーに本当の孤独がやってきたのは。彼は町を去り、前よりは少し大きな町に引っ越し、ケリー夫妻の家に下宿した。夫妻にはミック(リンドラ・ロック)という14歳の娘がいる。彼女は、骨折した父の治療費を払うため下宿人をおいた、という家庭の事情を知ってはいたが、やはり不満だった。そのために自分の部屋を、空けなければならなかったから。そして下宿人のシンガーを憎みさえした。やがてシンガーは新しい町で2人の友人を得た。その1人は、黒人の医師コープランドである。娘にそむかれ、白人にはいわれのない憎しみを持っている男。彼もまた、心は淋しい人間だった。2人は徐々にではあるが心の窓を開いていった。そしてミックも、音楽をかけ橋にして、シンガーに親しみをおぼえていった。けれども彼女は少しずつ大人に成長しはじめる年頃。シンガーを意識しながらも、家庭の経済状態から学校を退めなければならなくなり自暴自棄の行動に出てしまった。ほかの男に体を与え、シンガーを避けるようになったのだ。そのうえ、コープランドも、ある事件をきかっけに再び娘と和解するようになった。またもやシンガーは1人ぼっちになってしまった。かつての親友アントナパウロスは、彼の努力にもかかわらず、精神病院から出ることができず、そこで淋しく死んでいった。その知らせを聞いたときである、シンガーが自殺を決意したのは。それから数ヵ月後、シンガーの墓の前で泣いているミックの姿がみられた。「知ってほしいの、心からあなたを愛していました」--同じ言葉を何度も何度もくり返すミック。彼女もまた、心は淋しい人間の1人なのであろう。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第26回 ゴールデングローブ賞(1969年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) アラン・アーキン
最優秀助演女優賞 ソンドラ・ロック
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3.5救いのない男の孤独

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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Gustav