「「西部戦線異状なし」のラストシーンに重なったが…」愛する時と死する時 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「西部戦線異状なし」のラストシーンに重なったが…
「悲しみは空の彼方に」の
ダグラス・サーク監督作品の中でも
評価が高いとの情報から鑑賞したが、
原作が「西部戦線異状なし」の
エーリヒ・マリア・レマルクと知って
期待が更に高まった。
ロシアの侵略戦争のタイミングだったので、
ウクライナの悲惨な国土と国民の姿に
重なって見えてしまった。
しかし、この作品は第二次世界大戦末期の
劣勢なドイツの話なので、
アメリカ目線ではあるが、加害者と被害者の
両面が見え隠れするところに違いを感じる。
この作品で優れていたのは、
戦争で追い詰められる側の街や人々が
どんなに悲惨な状況に陥るかが
繰り返し描写されていることだろう。
タイトルや話の展開上、
予測されるラストの理不尽な主人公の死は、
劇的で戦争への皮肉に溢れていて
「西部戦線異状なし」に酷似している。
しかし、ストーリー展開は総じて凡庸で、
時代に抗うことも出来ずに流されていく
主人公との前提の影響でもあるだろうが、
全体的にメリハリが弱い平板な演出と
感じる印象だ。
さて、原作者のレマルクの映画化作品では
「凱旋門」が未見だが、
鑑賞出来るチャンスはあるだろうか。
コメントする