劇場公開日 1958年10月4日

「「西部戦線異状なし」のラストシーンに重なったが…」愛する時と死する時 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「西部戦線異状なし」のラストシーンに重なったが…

2022年4月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「悲しみは空の彼方に」の
ダグラス・サーク監督作品の中でも
評価が高いとの情報から鑑賞したが、
原作が「西部戦線異状なし」の
エーリヒ・マリア・レマルクと知って
期待が更に高まった。

ロシアの侵略戦争のタイミングだったので、
ウクライナの悲惨な国土と国民の姿に
重なって見えてしまった。

しかし、この作品は第二次世界大戦末期の
劣勢なドイツの話なので、
アメリカ目線ではあるが、加害者と被害者の
両面が見え隠れするところに違いを感じる。

この作品で優れていたのは、
戦争で追い詰められる側の街や人々が
どんなに悲惨な状況に陥るかが
繰り返し描写されていることだろう。

タイトルや話の展開上、
予測されるラストの理不尽な主人公の死は、
劇的で戦争への皮肉に溢れていて
「西部戦線異状なし」に酷似している。

しかし、ストーリー展開は総じて凡庸で、
時代に抗うことも出来ずに流されていく
主人公との前提の影響でもあるだろうが、
全体的にメリハリが弱い平板な演出と
感じる印象だ。

さて、原作者のレマルクの映画化作品では
「凱旋門」が未見だが、
鑑賞出来るチャンスはあるだろうか。

KENZO一級建築士事務所