運命じゃない人

劇場公開日:

解説

2005年カンヌ国際映画祭 批評家週間正式出品作品。サスペンスなのに、ハートフル、まったく新しいニッポン的エンターテインメントムービー。監督は本作が劇場用長編デビュー作となる内田けんじ。「WEEKEND BLUES」がPFFアワード2002にて企画賞(TBS)とブリリアント賞(日活)をダブル受賞。第14回PFFスカラシップの権利を獲得し、本作を制作した。出演は、「ジョゼと虎と魚たち」「花とアリス」など多くの日本映画に出演している中村靖日、テレビを中心に活躍中の霧島れいか、「ハッシュ!」「火火」の山中聡、ベテランの山下規介、テレビ、モデル、ラジオと幅広く活躍中の板谷由夏ら。

2004年製作/98分/日本
配給:クロックワークス
劇場公開日:2005年7月16日

ストーリー

この日、ボクの家のドアは3回開いた…17:00。勤務中のサラリーマン宮田武(中村靖日)。パソコンで別れた彼女・あゆみ(板谷由夏)の写真を見ては、ため息をついている。20:00。宮田がマンションに帰宅した途端、携帯が鳴った。親友で私立探偵の神田(山中聡)からだ。飯を食おうと神田が言うが、疲れている宮田は外出するのを渋っている。しかし神田から「大事な話がある。あゆみちゃんのことだ」と言われた途端、勢いよく家を飛び出していった。21:00。婚約破棄となり、二人で住む家を出てきた桑田真紀(霧島れいか)。婚約指輪を質屋に持って行ったが3500円にしかならず、一人入ったレストランはカップル、家族、友達同士でにぎわっている。寂しさがこみ上げて今に泣きそうだ。同じレストランの中。宮田が待っていると神田が遅れてやってきた。「あゆみのことって?」と切り出す宮田。すると神田は「街で偶然会った。近々結婚するらしい」と告げる。あゆみはある日、結婚前提で購入したマンションから突然姿を消してしまったままだった。宮田は、そんなひどい仕打ちをされたのに、あゆみが気がかりで仕方がない様子だ。いつまでも女々しい宮田に神田は、あゆみのことは忘れて新しい出会いを探すようにと言い、急に後ろのテーブルで一人座っている女(すなわち、真紀)に声をかける。3人は一緒に食事をすることになった。自己紹介が終わり、神田がトイレに立つが、なかなか戻ってこない。宮田が心配して探しに行くと神田の姿はどこにもなく、携帯に電話をすると「急に仕事が入った」と切られてしまう。初対面の真紀との会話に緊張しながらもなんとか食事を終え、店を出て、真紀を送ろうとするが、真紀は、一緒に暮らしていた恋人との婚約が破棄になり家を出たため、帰るところがないという。宮田はそんな真紀を放っておくことができず、自分の家に泊まってはどうかと提案する。人の良さそうな宮田に安心した真紀はその申し出を受け入れ、二人は宮田の家に向かった。01:00。マンションに到着し、宮田は真紀を寝室へ案内する。部屋の隅にあるダンボールを真紀が不思議そうに眺めていると、宮田がそれは前の彼女・あゆみのものだと説明する。そして、あゆみとのこれまでの経緯を真紀に話す。宮田に同情し、思わず彼を抱きしめてしまう真紀。ぎこちない空気が流れるところへ、玄関のチャイムが鳴った。やってきたのはなんと行方知れずだったあゆみが現われる。戸惑う宮田に、あゆみは悪びれもせず、荷物を取りに来ただけと言い、ズカズカと上がりこむ。そんな自分勝手なあゆみの態度に、真紀はたまらず宮田の家を出て行ってしまう。宮田はすぐに後を追いかけ家に戻るように説得するが、それでも真紀はタクシーに乗ってしまう。しかし宮田は走り出したタクシーを全速力で追いかけ、勇気を振り絞り、真紀に電話番号を教えてほしいとお願いする。当惑する真紀だったが、真剣な宮田の表情に根負けし、電話番号を書いた紙を差し出す。宮田にとってはちょっと勇気を出した一晩。しかし実は彼を取り巻く人々、真紀、神田、あゆみ、そして、あゆみの現在の恋人である浅井(山下規介)の視点から見た一晩はまったく違う夜だった。複雑な人間関係に、浅井の金2000万円が加わり、事態は誰も予想がつかない方向へと転がっていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

(C)PFFパートナーズ

映画レビュー

1.5「鍵泥棒のメソッド」途中退場のリベンジは・・・

2012年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
しんざん

3.5中村さん追悼

2024年12月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

もともと面白いとは聞いていたので、追悼の意を込めて鑑賞。うんうん、面白い。宮藤官九郎的な時空トリック。⭕️時間前、など時間は表示せず、鑑賞側に気付かせていく。見事です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いつこ

4.0ほうほう

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

そうつながるかって感じで面白い。気軽に見てみたけど良かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
symi

5.0面白い!

2024年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

面白かった。
すべてに意味がありつながりがある。
登場人物の動機とそれによって行動する様子を交錯するように表現することで、スリリングさと納得感と新たな疑問と次の展開が頭の中で交錯する。
現代の貧乏ヤクザと見栄
組事務所の台所事情に見栄を張りたい組長が仕込んだ紙束で作った札束。
これがすべての始まり。
詐欺師のアユミがした仕事 ヤクザの金を窃盗
桑田マキ
マキが偶然発見した段ボールの中の大金
それは宮田も知らないことで、マキは夜中に突然やってきた元カノの目的がそれだと一瞬で察知した。
だからそれを盗んで逃げたのだ。
彼女はついさっきまで途方に暮れていた。
マキのが宮田に言った言葉は的確で、それに対する宮田の返答もまた的確だ。
視点が宮田なので、視聴者は騙されてしまう。
マキのカバンの中に、宮田の部屋の段ボールにあった大金が持ち逃げされたとは夢にも思わない。
そしてそれがわずか数時間のうちに出現し、消えてしまうという技。
マキの表情からは、そんなことなど想像もつかないが、改めて当時の状況が映し出されると彼女の心理状態が良くわかる。
同時に彼女の良心の呵責も発生しているのだ。
この偽の札束
そもそもがヤクザの台所事情を惑わすために作ったもの。
わずか3500円の婚約指輪
男から金を巻き上げる詐欺師のアユミ
アユミが神田に尋ねたように、神田はなぜアユミを調査したのだろう?
そして作り上げたあのプロファイル
彼の探偵としての腕は見事でしかない。
アユミも神田を苦手としていたようで、この直感は一級品だろう。
さて、
最後にマキはお金をもって訪ねた場所は、おそらく宮田の部屋だと思われる。
お金を返しに来たのだ。
しかし、
一緒に宮田を訪ねてきた男は何者だろう?
彼は宮田の同僚だ。
彼に「明日」部屋を貸してほしいと依頼した人物だ。
つまりそのシーンは、この物語が一晩の出来事だったことを意味する。
マキは一晩考えた末、おそらく調布駅だと思われる場所で婚約指輪を外して売却を決意した同じ場所で、もう一度考え抜いてやってきたのだろう。
同僚の印象が薄すぎて判断するのに時間がかかった。
でも、
このタイトル
出会いがあって運命じゃない人は、いないんじゃないかと思ってしまう。
この物語のヤクザがいい仕事をしていた。
この作品作りにはいくつかの条件があったのではないかと思う。
ひとつは製作費だ。
これを抑えて作る作品の面白さを監督は考えたのだろう。
そして驚きの展開。
それが同時進行している時間的概念。
たった一晩の出来事。
それが見せる圧巻さ。
見事でしかない。

コメントする 1件)
共感した! 8件)
R41