奇談 キダン

劇場公開日:

解説

数多くの熱狂的なファンを持つ漫画家、諸星大二郎の最高傑作との呼び声も高い『生命の木』が、完全映画化。プロデュースは「リング」「呪怨」で世界的にJホラー・ブームを巻き起こした一瀬隆重。主演は、NHK朝のテレビ小説『天花』で注目され、これが映画デビューとなる藤澤恵麻。諸星漫画の人気キャラ・稗田礼二郎を演じるのは「トリック」シリーズの阿部寛。

2005年製作/88分/日本
配給:ザナドゥー
劇場公開日:2005年11月19日

ストーリー

1972年。民俗学を専攻している大学院生・佐伯里美(藤澤恵麻)は最近、巨大な穴と幼い少年が現れる奇妙な夢を見るようになっていた。小学一年生の夏休み、東北の隠れキリシタンの里として知られる渡戸村に住む親戚の家に預けられていた里美は、一緒に遊んでいた少年と共に神隠しに遭い、その前後の記憶がなかった。当時の記憶の断片にも思えるその不思議な夢に誘われるように、幼い頃の失われた記憶を求めて、里美は渡戸村へと向かった。渡戸村は徳川幕府の弾圧から逃れたキリスト教徒が作った隠れ里だが、その村の一部にある「はなれ」という集落の住人たちは、村ができる遥か以前から全員がキリシタンだった。近親婚を繰り返した彼らは7歳程度の知能しかなく、そのうえ不死だと噂されていた。渡戸村の住人たちは「はなれ」を村八分にし、村の恥部として外部に知られることを嫌っていた。村の教会に立ち寄った里美は、村に伝わる聖書異伝『世界開始の科の御伝え』を調べるためにやってきていた考古学者・稗田礼二郎(阿部寛)に出会う。翌日、かつて隠れキリシタンの大量処刑が行われた山で、「はなれ」の住人・善次が磔の刑に処せられたかのような遺体となって発見された。里美と稗田は長老や寺の住職から村に伝わる話を聞き出し調査を続け、渡戸村では昔から子供たちの神隠しが頻発していたことを知る。やがて、16年前に里美と共に行方不明となった新吉が当時のままの姿で発見された。彼は人々の問いに何一つ答えず、『世界開始の科の御伝え』をつぶやき続け、そして忽然と姿を消してしまう。里美と稗田は、すべての謎の根源ともいうべき「はなれ」に向かう。だが、「はなれ」には重太以外、誰一人住人は見当たらなかった。「『いんへるの』行っただ。それから、『ぱらいそ』さいくだ」。そう話す重太から、彼らはさらに、「はなれ」の住人たち全員で善次を殺したという衝撃の事実を聞かされる。一方、その頃、教会に安置されていた善次が甦り、「はなれ」に向かっていた。それはイエス・キリストが復活したのと同じ、死後三日目のことだった。稗田は「はなれ」の住人たちの行動が『世界開始の科の御伝え』に書かれていることに合致することに気づく。そして、かつてキリシタン弾圧のさなか、多くの宣教師が殉教覚悟で日本に渡来した背景に、日本に『生命の木』が生えているという伝説が当時のヨーロッパにあったことを思い出していた。やがて、稗田は集落の外れに洞窟の入り口を見つけると、ある確信を持ってその中へと歩を進め、里美もその後に続く。里美の失われた記憶はしだいに鮮明に呼び覚まされ、すべての謎が解き明かされようとしていた。しかし、その穴の奥で彼らを待ち受けていたのは、彼らの想像を遥かに超える衝撃的な光景だった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0トンでも改変のようで割と原作通りに映画化!

2024年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

怖い

興奮

つまり原作がそもそもトンでもない内容なのですが…
いやいや、東北の寒村を舞台に2000年以上の歴史を誇る聖書の物語の大胆なもう一つの可能性をシレっと描いてみせる。これこそが諸星大二郎の魅力なのです。

この映画の、布に液体が一滴づつ滲んでいくようなヒタヒタと広がる恐怖の一歩手前の感覚。その“えも言われぬ”雰囲気を維持したまま唐突に迎える、あの強烈なラストは、原作の雰囲気を見事に再現しています。

その再現度は前作の、と言っても原作が諸星大二郎の「妖怪ハンター」だという事以外に制作上の繋がりはたぶん何もないのですが、91年の「ヒルコ/妖怪ハンター」と比べるとかなりのものです。

今作の原作は妖怪ハンターの「生命の木」というエピソードです。
原作には登場しないキャラクターやエピソードが加味されていますが、それでも大筋はそのままです。もっと言えば原作はこれよりよっぽどアッサリしていますし、映画の中で幾つかあるドッキリポイントも原作にはありません!
しかも映画で加味された要素も、結局それ何だったんだよ?という具合に消化不良なのですが、別に大筋のお話を邪魔しませんし、雰囲気も壊していない奇跡のバランスです!
一番雰囲気を邪魔するのが稗田役の阿部寛の存在感なのですが、阿部寛がこの役をやっていること自体が何か面白いので許せてしまいます!

そして諸星大二郎作品の中にはこれをも凌ぐスケール感で描かれる作品もありますが、たとえそのスケールが太古の神話時代へ至ったとしても、はたまた遥か遠い宇宙の彼方へ至ったとしても、常に現代を生きる我々と繋がった、薄皮一枚隔てた所にその異質な世界は存在し、何かの拍子にソチラとコチラの世界が混ざりあってしまうような危うさをとても身近な事の様に感じさせる、そんな不思議な魅力があるのです。

正直「え?なにコレ?」となる人も多いと思いますし、思わず笑ってしまう人もいるかもしれません。それこそバカ映画と薄皮一枚隔てた危うい作品なのですが、それでも鑑賞後もなお「これは一体何だったのだろう?」という感覚が抜けないのであれば是非、諸星大二郎の漫画を手に取ってみてください。

ホラー系創作物の持つ、恐怖におののく感覚や人の業に感じ入る感覚とはまた別の感覚を抱かせてくれるのが諸星大二郎作品だと思います。
結局上手くその魅力を説明する事が出来ず不甲斐ないのですが、百聞は一見に如かずということで、先ずはこの映画をどう感じるか?是非一度試してみてください。

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モアイ

2.0まさに奇談

2023年10月15日
iPhoneアプリから投稿

 隠れキリシタン。宗教と村八分と神隠し。
 キリスト教に詳しくないからなかなか気持ちがついていけない。アダムとイブ、2本の木、どちらのリンゴを食べるか、、、そういう話があるのかもよく知らないので、うーんついていけない。
 神隠しにあった子供が、大人にならずに子供のまま帰ってきたり、殺人事件があったり、死人が蘇ったりホラーでもあり、地獄で人がひしめき合いながら、空に上がっていく様子などファンタジーなのかミステリーなのか???
 なんにしてもキリスト教やこういう不思議な話を、元は漫画のようだが、映像化するのは日本はあまり上手じゃない。かなり無理があった。
 失礼ながら主役の女優さんも初見で全く知りませんでした。

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アンディぴっと

3.0村ホラー

2023年10月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWで鑑賞。
前半面白く話しが進んでいくが、
ラスト近くなると個人的にはトーンダウン。
オチで外してしまって最後が残念。

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TZW

3.5ほぼ”上田次郎”のどんとこい村調査

2023年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

村ホラー系で気になったので視聴。

”隠れキリシタン”の住む村という何ともキャッチーなお話。

最初の不穏な雰囲気、文献を調べながら村の隠したい歴史と対峙していく段階がなんとも言えないホラーアドエンチャ―。

幼少期に神隠しに合った女性が故郷に戻るという単純な始まりから、ラストにかけて大きく”キリスト教”の教えを表現していく難解でファンタジーな仕上がり。

終始、阿部寛が「TRICK」の上田にしか見えないww

ヴィジュアルに見合わず血なまぐさいシーンも多く、「湯殿山麓呪い村」のミイラ調査をする過程に似ている。

ちなみに神隠しが起こった理由等は分かりません。

恐らくもう少しキリスト教について詳しく知っていればもっと楽しめたろうにな~と自分の知見のなさに_| ̄|○ガクリ

原作小説の方が面白いらしいので、時間があれば読みたいな。

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二ノ前