理由のレビュー・感想・評価
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インタビュー形式という表現スタイル以外の面白さが見当たらない
事件の当事者たちにインタビューするという形式でストーリーの全貌が明かされていく。その原作を巧く映像化している独特な表現スタイルは面白いが、如何せん、それ以外にエンタメ作品としての面白さが何も見当たらない。
また、内容は本格ミステリーではなく、あくまで社会派サスペンス。「空洞化した家族像」とか、「浮遊する不安定な個人」といった現代社会の問題に焦点を絞っているようだが、そういうテーマ自体ありがちな上に、特に目新しい切り口も無し。作品を通しての具体的代案があるわけでもないから、「現代は人間関係が希薄なんですよ~」以外ほとんど何も言っていないも同然。
物語の進行はバラバラで整理されていない関係各位の背景事情を、関係者の口から視聴者に対して説明していくだけなので非常に作業的な展開で退屈。単に事件の関係者が多いために全体像が複雑になっているだけで、新たな謎が浮上したり、後から伏線が利いてきたりといった展開が少ないため、全体の因果関係や動機といった文字通りの「理由」が明らかになるにつれ、ストーリー的にはどんどん盛り下がっていくのが難点。
また、時間的に長すぎるのもネック。いくら何でも160分は長すぎる。この程度の内容なら2時間以内に収めて、謎と伏線の提示と回収による「テンポの良さ」で一気に見せるべき。
結局、ワイドショーに出てくるような事件を分割して謎めかしてあるだけのことで、本格ミステリーのようなロジカルな謎解きが出て来るわけでもないので、その辺の娯楽性や意外性を期待すると肩透かしを喰らいますのでご注意を。
追悼 峰岸さん
峰岸徹さんはよく見かけてる気がしていたが主にテレビのほうだった。
亡くなられて、映画の出演作をチェックしてみたら自分が観たもので出演されてるのはこの映画とおくりびとだけであった。
でも何年も顔を見てきた気がする。ご冥福をお祈りいたします。目にする画面をたくさん彩ってくださった。ありがとうございます。
さて、肝心のこの映画。原作は映画化前に読んでいた。監督がほれ込んでほぼ原作どおりに作られた。確かに。
残念なのは、原作はおもしろいが、いかんせん登場人物、それもそんなに重要でもない人物にも詳細に枚数を割いてるために冗漫だなあと感じてしまうこと。
で、映画もまさにその通りになってしまった。
しかし全体的にくら~い映像といい、引き起こされる事件への予感とも言うべき
不安が常にまとわりついててものすごく肌感覚的に原作にぴったりなのだ。
ここまで映像で表現してるのも凄いと思う。
あなたは自分の隣人を知ってますか?
自分も何かの歯車がくるってしまったら。
事件はべつにしても、関わった人々と似たような状況に置かれるかもしれないと思うと、なんともおぞましい汗が背中を伝う…。
映画化するには中々難しいつくりだったけど。
原作既読。放送後に劇場公開されたので、大喜びで観に行った、チョロい私。
原作は『火車』の延長線上にあり、そのための形式なんだろうと捉えているが、映画版も特異な構成や手法を取ることで、見えにくくなっている(あるいは見ないふりをしているのか)澱のようなものを、浮かび上がらせようとしているのだろう、と思った。
成功。
原作は最高の小説 映画もそこまで悪くはない
宮部みゆきの小説は映画に向いてない
「模倣犯」の映画もそうだったけど本当にそう思う
とはいえ、原作は600ページ以上で登場人物も100人以上と言われる超大作なので
そもそも2時間の映画には向いていない
誰が作ってもぎゅうぎゅう詰めになる
この映画の主役は誰なのか? 主役と言える人はいないと思う。 サスペンスミステリーというだけでなく、 人情モノの一面もあった。 個人的には赤座美代子、南田洋子のシブい演技が好き。
動画配信で映画「理由」を見た。
劇場公開日:2004年12月18日
2004年製作/160分/日本
配給:アスミック・エース
村田雄浩
寺島咲
岸部一徳
大和田伸也
久本雅美
宝生舞
松田美由紀
赤座美代子
風吹ジュン
山田辰夫
渡辺裕之
柄本明
渡辺えり
菅井きん
小林聡美
古手川祐子
加瀬亮
厚木拓郎
左時枝
細山田隆人
ベンガル
伊藤歩
立川談志
南田洋子
石橋蓮司
麿赤兒
小林稔侍
宮崎将
宮崎あおい
永六輔
勝野洋
片岡鶴太郎
根岸季衣
峰岸徹
裕木奈江
中江有里
宮部みゆきが直木賞を受賞した同名小説が原作。
宮部みゆきといえば「ソロモンの偽証」も見たことがある。
監督は大林宣彦。
100人以上の出演者。
160分の長い作品なので見る前に覚悟が必要かも。
東京都荒川区の超高級マンションで、
一家4人の惨殺事件が発生する。
実際は亡くなったのは報道された一家4人ではなくて、
血縁関係のない4人だった。
この映画はサスペンスミステリーである。
物語は関係者に対するインタビュー形式で進んでいく。
この映画の主役は誰なのか?
主役と言える人はいないと思う。
サスペンスミステリーというだけでなく、
人情モノの一面もあった。
個人的には赤座美代子、南田洋子のシブい演技が好き。
160分は長いとは感じず、
見応えがあった。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
好き。疑問がひとつ。
意外と評価して低いんですね。
わたしはすごく面白かった。
原作の力がそもそもあり、そこに演出を加えること、さすが巨匠。
「大林監督のトレードマーク」のように空飛ぶシーン出てきたのはご愛嬌。
疑問がひとつ。
「姉弟」で話しながら歩いてるシーン、
『なんかイマジナリーおかしいな』と思って見ていて、
姉の方がカメラに向かって話しているのに気づいた。
この2人のシーンは家族や世間には秘密な会話ばかりのはずなので、他のシーンが「インタビュー風」「取材風」「リポ風」なのに対し、客観的な撮り方をされていると思っていたのに、、
後の映画化バラシの伏線、、?
うーん、、
役者は要らぬ、人間が欲しいのだ
「役者は要らぬ、人間が欲しいのだ」という大林監督のこだわりに集まった107人のノーメイクの役者たち。途中までは名前がわかる役者を数えていたが、混乱しそうになったのでやめた。
百人を超える証言者の語りで構成される内容は“映画化が不可能”と言われ続けてきたらしいが、果敢にも大林監督が映画化にチャレンジしたものだ。バブル経済が衰退し始めた辺りの投機目的のマンション購入といった、本来の住居としての家や家族の絆を蔑ろにした社会の歪みを鋭く抉ったような背景も描いている。
いくつもの家族のエピソードが紹介され、家族の絆の対比と殺された4人は何者なのかという謎を追いかける展開は面白く、切り貼りした空の模様(『ねらわれた学園』や『時をかける少女』をも思い出した)が大林監督らしい。
しかし、残念なことに、原作は知らないのだが、殺人の動機や競売・占有といった経緯がつかめないままで進み、消化不良を起こしかねないと感じました。また、監督が最後に登場したり、人物名の字幕の挿入など、賛否両論になるようなところは気になった。インタビュー形式で進むことを表現するためにマイクが見えてしまうなどといった小技を使ってきたことが一気に台無しになってしまうのです。
大林監督はこれまで殺人事件というものを描いてこなかったが、9.11以降方向転換を考えたとのことだ。殺人事件というものが日常的になりすぎて、そのことと関わりを持たない方が不自然となってくる。そんな考えもあって、人との繋がりを重視したこの『理由』を選んだのだろう。
【2005年1月映画館にて】
殺人事件が結んだ絆
大林宣彦監督が宮部みゆきの大長篇ミステリー小説を映像化した2004年の作品。
元々はWOWOWで放送されたTVドラマで、後に劇場公開された。
雷雨のある夜。東京都荒川区にある高級高層マンションの一室で、居住者の死亡事件が発生。
一人は転落死、他3人は惨殺体となって。
一見、4人家族の殺人事件のように思えるが…、実は居住者は3人家族。
さらに、4人は赤の他人である事も分かり…!
実にミステリー心をくすぐる。
謎と犯人捜し。事件の真相は…!?
…と、普通にやればこうだろう。
しかし…
映像化不可能と言われた原作小説。と言うのも、
100人近い登場人物。その関係者らへのインタビュー形式のドキュメンタリータッチ。章仕立て。事件当時~数ヶ月前~数十年前が複雑に交錯。
確かに映像化は難しそう。原作小説になぞらえてやれば単調になるかもしれないし、普通にミステリー劇としてやればヘタすれば凡作になってしまう。
が、今は亡き異才が選んだ演出は、前者だった。
本当に先述の通り展開。
100人近い登場人物。ゆかり、ベテラン、実力派、17年も前の作品なので今は売れっ子人気者となった新人、贅沢なゲスト出演…大林監督ならではの超豪華キャスト。
ドキュメンタリータッチなのでキャストがカメラ目線で喋ったり、インタビュー形式なので時々マイクが画面に現れたり、演出もユニーク。
いつもながら原作は未読。が、章仕立てや時系列が交錯する展開が、作品を“見ている”のに小説を“読んでいる”ような錯覚にすら感じる。
そこにお馴染みのスタイルも勿論で、天晴れ!
宮部ミステリーは単に犯人捜しのミステリーではない。人や社会の暗部に切り込む。
隣人の顔も知らないマンション暮らし。ご近所付き合いが面倒。が、今では一戸建てでもご近所付き合いがほぼ薄れ…。皮肉を感じる。
さながら、隣の人は誰…? それ故起こり、法の目を掻い潜った事件。
占有屋。競売物件を落札した人に対し、居座りながら膨大な立ち退き料を要求する悪質な手口。暴力団絡み。
彼らが関わりつつ、事件には加害者がいて、被害者もいる。
皆、この事件に関わった事で人生の歯車が狂い…。
当時の社会問題、バブル崩壊後、もっと時を遡って夢を抱いて上京して来て…。
各々の苦悩、社会背景、それらが絡み合う。
エンディングの歌の一節じゃないが、“殺人事件が結んだ絆”としか言い様がない。(この歌がとても不気味…)
OPで荒川区の成り立ちが紹介される。
人と人が触れ合う活気溢れる下町だったという。
それがいつの頃からか、時の流れと町の様子が激変すると共に…。
もし…もしもだが、昔のような人情満ち溢れる下町風情だったら…?
こんな孤独で悲しい事件は起きなかったかもしれない…。
何もこれは荒川区だけしゃなく、現代日本全てに言える。
現代社会への警鐘を鳴らしつつ、
謎、謎、謎…。
証言者、目撃者、失踪者、重要参考人…。
複雑に絡んでいた人間関係や背景が少しずつ紐解かれていく。
そして明かされた真相。
ミステリーとしての醍醐味も充分!
あちこちの映画サイトやレビューでは何だか低評価みたいだが、
大林作品が好きで、ミステリーも好きで、しっかりとした内容や独特の作風も面白く、個人的には楽しませて貰った。
元はTVドラマとは言え、“映画作品”で本作のような本格ミステリーは意外にも少ない。と言うか、本作のみ…?
大林×本格ミステリー、もっと見たかったなぁ…。
見所はキャストぐらい
大林宣彦監督作。原作宮部みゆき。2004年。
小説は読んでたが憶えておらず見ているうちに思い出した。じっくり緻密な構成で読ませるミステリ。現代日本ならではの視点あり。それを大林監督が撮るってミスマッチでは?とたぶん誰しも感じたと思う。
順番に登場人物が語りかけてくるという特異な作り(確か原作通り)そこに映画ならではの仕掛けを挿入。監督がよくやる普通じゃない編集や色彩がミステリには合ってない…。
真相がわかってくるというドライブ感が弱いのは長すぎてシンドくなるせいかな。ラストもどうかと思う(歌も)
正攻法で撮った方が面白くなったと思いました。ミステリ好きにはオススメできません。
誰も観た事のない空前絶後の映画
空前絶後とはこのこと
誰も観た事のない映画、そして恐らく今後も誰もこのような映画を撮ることはないと断言できる映画です
いや撮れないというべきです
それでいて、明らかに大林宣彦監督作品らしさが濃厚にあるのです
確かに一見、尾道を舞台にした作品群とは雰囲気が異なります
しかし大林宣彦監督作品らしい叙情性、少女の目を通した未来への希望、望みと言ったものが濃厚にあるのです
大林宣彦監督デビュー作品のHouse ハウスと同じような革新があります
正に直接で結ばれるべき斬新さだと思います
DVDの特典映像に理由を撮った理由と言うタイトルの大林宣彦監督自らが語るメイキング映像があります
まるで生前葬のように感じました
メイキングの後半は本作にかかわった美術、持ち小道具、照明などの助手を務めた若い女性達へのエールでした
そしてこれを観る後進の映画人、映像ファンへの映画作りの特別授業でもありました
2020年4月10日大林宣彦監督は永眠なされました
しかし、監督の作品は永遠の生命をもって次の世代の映画人にバトンを渡そうとしています
私達映画ファンにもバトンは渡されています
良い映画を視て、良い映画を楽しむ
そうなさいと監督に言われたような気がしました
宮部みゆきの心の奥底をのぞいてみた。
大林宜彦があまり好きではない。
しかし、宮部みゆきの物語が好きなんだ。
監督か原作か?
迷うところだが、観始めた。過去の殺人事件の解明をレポーターという下賤な職業の人間に語らせるところが宮部みゆきらしい。
面白いのは殺人者が最初からハッキリさせてあること。そして、まさしく本の題名の「理由」を克明に語るところだ。映像以外ではこうである。しかし、映画にするとどうなんだろう。まるで違うものになってしまう。岸部一徳の演技に委ねられてしまい、ふざけたお涙頂戴的語りになってしまう。映画には「やくざぽさ」が必要なのだ。観客が求めるものが「安心」だと勘違いしてしまっている。
人は愚かでどうしようもない生き物なのだ。殺す奴にも、殺される奴にも、そこに訳があって回避できぬことばかりだけれど避けようと思えば避けられることばかりなのだろう。そんなシンプルな原因に気づかぬままに人生は終わってしまうようだ。
この映画にはこの悔やみきれなさが豆粒ほども現れていなかった。
あまりにも宮部が可哀そうだ。
な、長い・・・
事件関係者への取材のていで進行していくのだが、これが長い。事件に関係ないセリフを削ぎ落としてしまうと不自然でリアリティが無くなるとは思うのだが、それにしても整理のしようはあったはず。話が長い事が構成上なにかに活きてくるなら許せるが、犯人の心情を掘り下げるでも社会の問題点を掘り下げるでもなく、長く待った甲斐のある結末でもない。
インタビューを受けている演技というのは難しいため、演者によってバラバラなのが気になって仕方がなかった。それと最後にインタビュアーがカメラに入り、映画の撮影スタッフが映り込む演出はいったい何を表現したかったのだろうか。
序盤のカット割り、カメラワークにものすごい違和感。 ど素人が撮って...
序盤のカット割り、カメラワークにものすごい違和感。
ど素人が撮ってんのかと思うくらい謎の演出。
物語が進むにつれ何故かましにはなっていくけどそれでも斜め下からのカメラアングルは不動。
とにかく話が長い。
7割インタビューで3割回想。いや8:2かもしれん。
ずーっとダラダラ話を聞かなきゃいけないのに、やたら登場人物多いわ、名前は覚えられないわ、婆さんの話は長くて退屈で聞いてられないわで眠くなるし訳分からんし。
主要なのは一握りなんだからもうちょっと絞ってもよかったんじゃないか。
すごく細かく作られてはいたけど細かく作りすぎて助長してる。
色んな人が複雑に絡み合ってる群像が好きな人にはいいかもしれない。
150分はとにかく長かった。
「勉強なんて嫌いです学校なんて地獄のクソツボみたいなところです」と...
「勉強なんて嫌いです学校なんて地獄のクソツボみたいなところです」というのが強烈に残った。
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