雲のむこう、約束の場所のレビュー・感想・評価
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日本が分断されやがて戦争に突き進んでいく暗い展開とも取れる映画だけ...
日本が分断されやがて戦争に突き進んでいく暗い展開とも取れる映画だけれど
「少年時代にできなかったことを果たしに行く」「世界よりも好きな人の方を選ぶ」そんな清々しいメッセージが伝わってきました。
夢と現実が交差してちょっと展開がややこしいかもしれませんが
「並行世界は宇宙の見ている夢じゃないか」という登場人物のセリフを表しているようだった。
観念的で変に難しい
雲のむこうに彼女との約束の場所があった。
巨大な塔が昔から見えてれば、そりゃあいつかは行きたいと思うだろうね。でも初っぱなからちょっと取っ付きが悪い感じで、分かりにくそうだなと感じたよ。そんなに中学生時代の事なんか大人になったら覚えてないけどな。新海監督作品は君の名はを別にしてちょっと合わない気がする。独りよがりで言いたい事がはっきりしないんだよね。いきなり戦闘モードになったりして観念的で変に難しいしさ。
とてつもなく「難解なこと」であった
新海誠監督作品を意識するようになったのは、『君の名は。』(2016年)を超満員の映画館で観てから。あれから8年も経った。
新海誠監督ご自身が「『君の名は。』は、この『雲のむこう、約束の場所』の語り直しという気持ちが強いんです」(2016年9月発売された雑誌“Fevri”より)と、コメントを残している。
今作は配信(Hulu)で視聴しました。空の広さを感じた。ところどころに既視感(庵野秀明監督アニメ作品『エヴァンゲリオン』のワンシーンのような場面)があり、吉岡秀隆さんと萩原聖人さんがメインキャラの声を担当していて独特な世界観。
戦時下での三角関係
戦時下での男女の三角関係を描きたかったのだろうが、政治的要素がいまいち曖昧で、互いの国の目的がいまいち分からなかった。
もちろん、あの三人の話に直接政治的な要素は必要ないのかもしれないが、ヒロインが眠った理由が戦争とどう関わるものなのか、それが軍事利用されたものなのか、その辺がもっと描かれれば、スカイ・クロラのような儚い要素がプラスされて、物語に深みが出る気がした。
【並行世界、そして分断された日本の中での若き男女の切ない恋物語。SF要素を盛り込みつつ、美しい空を始めとした自然描写に、後年の新海誠作品群の萌芽を感じる作品。】
◆感想
・今作では、日本はユニオンが支配する北海道(蝦夷)と、アメリカの傘下にある青森以南が分断した形で描かれる。
第二次世界大戦、終戦前にロシアが樺太を奪還しそのまま北海道まで進軍していたら、日本も朝鮮半島と同じ運命を辿っていた事は、良く言われる事である。
今作では、その”もしも”を取り入れている。
並行世界として。
・理論物理学を基調としたSF用語が頻繁に台詞に入ってくるし、中学生のヒロキとタクヤとサユリの交流シーンから、イキナリ3年後の世界に物語は飛び、ヒロキとタクヤは別々の道を歩んでおり、且つサユリが眠り続けているという設定は、ナカナカに分かりにくい。
・だが、徐々に北海道(蝦夷)に聳える塔と、サユリが眠り続ける理由が開示されて行く様や、ユニオンとアメリカが交戦を始めた隙に、ヒロキは眠り続けるサユリをヴェラシーラに乗せて、”雲の向こうの約束の場所”に連れて行こうとするが・・。
<今作は、SF要素をふんだんに盛り込みながらも、若き男女の切ない恋を、美しい空を代表とした自然を背景に描いた作品である。
テーマ的に、新海誠監督のその後の大ヒットを重ねる諸作品の萌芽を感じる作品でもある。>
君の名。へと続く道を見た
監督20周年のリバイバル上映を機に初鑑賞。
観たことなかったけどメロディがきれいなテーマ曲が以前からずっと好きだった作品。
観終わって思ったのは「「君の名は。」はこの作品のアップデート版だったのか!!」ということ。
(君の名は。を先に観てしまったのでところどころのシーンや演出に君の名は。を感じながら観た。)
公開当時流行していた?セカイ系作品の空気バリバリで私は好きだった。
新海監督初期作品に特有の主人公のモノローグも私は好き。そしてきれいな風景と天門さんの美しい劇伴を劇場で感じれて良かった。
ずっと観たくて機を逸し続けてた作品だったのでリバイバル上映嬉しかった。ありがとうございました!
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 『君の名は』のプロトタイプ? でも物語世界はこちらの方がスケールがデカイ。本作の舞台も実はパラレルワールドの一つだったかも?
①こういう話だとは思っていなかったのが先ずは驚き。
新海作品の源流とも言える
南北に分断された日本を舞台にしたSF青春劇。
新海誠監督の長編初作品でもあります。
まずこの作品を再びスクリーンで観れたことが本当に嬉しい。
Filmarksさん、本当にありがとうございます。
「ほしのこえ」で度肝を抜かれ、この「雲のむこう」で心を掴まれたのを覚えています。
その美術に音楽がとにかく美しい。
こうしてみると、やはり天門サウンドの方がしっくりきますね。
座組的に難しいかとも思いますが、やはりもう一度タッグを組んだ作品が観たいものです。
アートボードもですが細かい演出が好きなんですよね。
今もなんですが電車内の描写がすごくて、ここで観た金属を泳ぐような光の粒は本当驚きました。
キャストも役者である吉岡秀隆と萩原聖人の声がすごい自然でした。
個人的に吉岡秀隆の声質好きなんですよね。
脇を固めるのも石塚運昇と井上和彦が良い仕事してます。
その二人が一献傾けるシーンも大好き。
モデルの酒場も好きなので、とても印象深いんですよ。
またあくまで自分の中でですが、「君の名は」以前の新海作品では唯一のハッピーエンドだと思っています。
それと公開当時も思いましたが、本作を再構築したものが「君の名は」に繋がっているのでしょう。
同じパーツがいくつもあるし、夢の中での再開ではその光の形も同じでした。
そうして迎える静かなラスト。
エンドロールとともに流れる川嶋あいの声もすごいフィットしてました。
やはり初期の頃にある、なんとも言えない儚さや切なさも良いんですよね。
新海作品の源流とも言える、大好きな作品です。
楽しい面白いより、良いものを観たという感想
『君の名は。』から新海作品に触れた人と、以前から知っている人とでは監督の作風に持つイメージがだいぶ違うのではないかと思っている
一貫して芸術ではなくエンタメを作り続けている監督ではあるが、『君の名は。』以前の作品群は「楽しい・面白い」よりも「良いものを観た」という感想のほうがしっくりくる
しかし監督の好むエッセンスには今にも昔にも通ずるものがある
今作を再観賞して改めてそう感じた
舞台は北海道(エゾと呼ばれている)とそれ以外で国が分断されたifの日本
メインになるのは青森の中学生三人組
彼らはエゾにそびえ立つ謎の巨大な塔に行くことを目標に自力で小型飛行機を組み立てている
ifやSF設定でセカイ系とくくられる今作だが大事なのはそこではない
あくまでも「見えるけれど届かない目的」であったり「失いたくないのにどうしようもない大切なもの」を具現化するための設定である
話題になったから見てみたけどしっくり来なかったというあなた。過去の作品にも触れてみるのはいかがだろうか?
「良い」ものが見られるかもしれないですよ
壮大な話なのにどこか閉じた作風、この時代に流行ったいわゆるセカイ系...
壮大な話なのにどこか閉じた作風、この時代に流行ったいわゆるセカイ系といった感じで、今だと懐かしさを感じる作りの本作
キャラデザは流石に古さを感じるものの、画の美しさは十二分に現代でも通用する新海節が炸裂しています
世界設定を楽しみながら、内向きな恋愛模様を観ていく作品でしたが、新海誠感バリバリで堪らない人には堪らないですね
新海誠監督の「好き」が本当に詰まっている作品
言葉を選ばずに、レビューします。
私が思ったことを書くので、実際とは異なるかもしれません。
この映画は監督の「好き」が詰まっているように感じました。それがセリフやカット、演出に色濃く現れている気がします。
ただ、少しくさすぎるセリフや仕草が個人的には…でした。
映画の世界観の演出や引き込まれるような美しい絵は、本当に本当に大好きです。他の点を無視できるくらい素敵だと思っています。
この作品の世界観は表面的なものを楽しむ感じだと思うので、細かい設定のことを考えてしまうと、あれ?あれ?となって作品を楽しめないかもしれません。
映像の中のエフェクトも割と雑ではあるのですが、個人的にはどのシーンも綺麗だなと思いますし、好きです。
新海誠監督を感じるならこの作品は本当にオススメです。監督作品というなら、「君の名は」「天気の子」よりはるかにこの作品の方が色が出ている気がします。
ここまで一人の監督の色が濃く出てる作品は、最近あまり見てなかったので、全身で浴びました。
映画館で見れて良かったです。ありがとうございます。
作品の一貫性がある
天気の子とか君の名は。の先駆けを感じる。
さゆりとまた会おうとすると世界が壊れるとかそんな感じ。
新海誠って作品の系統変わらないんだね
内容としてはローマの休日に少し似てるつくりだと思った
澄んだ空に舞う回転する翼 切ない青春の日々 遠い日の約束
「ほしのこえ」に続く、新海誠監督、劇場用アニメーション映画第2弾。
もう一つの戦後の世界、1996年、南北に分断されていた日本が舞台。
かつて北海道と呼ばれていた島の中央に高くそびえたつ塔。
その場所まで、自作の飛行機でとぶことを約束した一人の少女と2人の少年たちの夏。
3年後の1999年、違う道を歩んだ3人が、意外な形で再びその夢に向きあう。
新海誠特有の世界観、美しい地方都市の自然の風景、青春の想い出。
並行世界の歴史を舞台に繰り広げられる物語は、今回も切ない。
音楽による感動も健在。
声優には、吉岡秀隆、萩原聖人という二人の有名俳優を起用。
変わらない朴訥で抑揚を抑えたセリフの吉岡秀隆は、自分は役柄に会っていると感じた。
独特の流線型のデザインと回転翼をもった飛行機が、澄み切った空に、翼を回転させながら優雅に飛ぶ様子が印象に残る。
新海誠作品の原点を感じたが娯楽作としては・・・
2024年劇場鑑賞113本目。
リバイバルなのでパンフレットないけど普通の映画より高いし、最近は他のリバイバルでもパンフレット作られているので減点。
新海誠作品を初めて観たのが「君の名は。」で、それからの新作は全部映画館で鑑賞しているのですが、昔から知っている人は昔の作品の方が好きだったという人が多い印象です。
天気の子やすずめの戸締まりでもあった世界か愛する人一人かというテーマはもう今作から描かれているのですが、設定がなんか小難しくってよく分からないし、今の新海誠作品のキャラクターデザインやラッドウィンプスの曲に慣れていると今作はあれ?これもしかして幸福の科学?と思ってしまいました。特に最後の曲が大川隆法作詞作曲っぽかった・・・。
吉岡秀隆も表情込みの役者さんだと思うので、主役でだらだらモノローグさせるとひたすら睡魔が。
新海誠監督がやりたかったことの原型
秒速5センチメートルや君の名はなど、新海誠監督がこの後送り出す名作の原型が詰め合わされた作品。20年前とは思えない綺麗な絵と、吉岡秀隆のなんとも言えないナレーションが合わさる大好きな1本。
新海誠らしいファンタジー
日本は津軽海峡を挟んで南北に分断され、北のエゾはユニオン領で、南は米軍統治下の日本となっていた。青森に暮らす中学生の藤沢浩紀と白川拓也は、ユニオン領エゾの中央にそびえ立つ巨大な塔に憧れ、いつかその塔を目指そうとひそかに飛行機の製作を行っていた。2人は憧れの同級生・沢渡佐由理に飛行機の秘密を打ち明け、3人は一緒に塔を目指す夢を共有した。しかし、中学3年の夏、佐由理は行き先を言わず、黙って転校してしまった。飛行機で塔を目指す夢も頓挫して3年後、東京の高校に進学した浩紀と青森にいた拓也だったが、アメリカがユニオンに宣戦布告をするとの情報から2人は再会し、入院中の佐由理を連れ出し、飛行機を完成させ、塔に向かうが・・・さてどうなる、という話。
北海道がロシアに侵略され占領されたらこんな事になるのかな、なんて観てた。
中学生が飛行機を作れる時代ってどんなんだ、なんて時代を考えてたが、ま、ファンタジーとしてみたら良いのだろう。20年くらい前の古い作品らしいが、そんな感じは無く、なかなか面白かった。
東京からも見える塔の高さってどれだけ高いんだ?なんて考えてた。富士山くらいじゃ地球の丸さで見えないだろうから、1万m以上かも?今度計算してみるか。
主題歌を歌った♡川嶋あいの声が透き通ってて美しかった。
追記
見通し計算サイトが有ったので北海道・旭川と東京の直線距離920kmと仮定して計算してみたら、6万mの高さが必要みたい。世界一高い山エベレストの7倍の高さ・・・やはりファンタジーだなぁ。
すでに描きたいものをはっきりと見通していた新海誠の、卓越した作家性が実感できる一作
空模様(というか雲)といった自然描写に対する尋常じゃない観察眼と描きこみ、極端なクロースアップやアングルを多用した、フォトリアリズム的な絵作りなど、長編初監督作品にしてすでに、後の傑作に連なる要素が詰め込まれた本作を観ると、新海監督は自分自身が何を描きたいのか徹底的に追及していたんだな、ということが体感できます。
もちろん新海誠のファンでなくとも、パラレルワールド的な現代日本を舞台にしたジュブナイルSF作品として十分に見ごたえがある作品です。いくらなんでも主人公二人が天才的すぎるだろう、とか彼らと世界の危機が直結してるのはなぜか、ちょっと分かりにくい…、といった気になる部分も確かになくもないですが、そんな細かい描写説明を省いても描きたいものを描き切った爽快感が、確かにこの作品にはあります。
制作順でいえば本作の次が『秒速5センチメートル』(2007)となる訳ですが、人物描写の筆致にやや時代感のある本作と比較すると、『秒速~』の方はオムニバス作品で、上映時間も短いとはいえ、映像の品質が大幅に向上していることに驚きを隠せません。確かスタッフの人数も絞り込んでいるはずなのに!
ジュブナイル映画としても、また新海作品を辿る貴重な資料としても、可能であれば今回の特別上映のようにできるだけ映画館で鑑賞したい作品です!
全79件中、1~20件目を表示