笑の大学のレビュー・感想・評価
全23件中、1~20件目を表示
笑いと悲しみ
...............................................................................................................................................
戦時中。喜劇の脚本家・稲垣が、検閲官の役所に上映許可をもらいに行く。
役所は上映中止に持って行こうと無理難題を押し付ける。
が、そのたびに稲垣は注文通り直しながらもより面白く仕上げて行く。
役所は堅物でほとんど笑った事のないような人間だったが、
一緒に脚本を作って行くような形になる中で次第にハマって行き、
色々な案を出したり、リハーサル的に実演してみたりするようになる。
しかし劇団のアホ座長や三文役者、モギリやスタッフらは、
お上の言いなりになってなかなか許可を取れない稲垣に対し、
裏切り者のレッテルを貼り、殴ったりしていた。
役所は興味がわいて密かに劇団の上演を見に行き、情報収集した事で、
その事実を知ると共に改めて稲垣の苦労が伝わって来た。
そしてついに自分の負けを認め、上映許可を出す。
しかし稲垣は役所を信用していらん事をベラベラしゃべってもた。
何故喜劇の上映にお上の許可がいるのか、何故無理難題をふっかけるのか、
それらに沿いながらもより高い質のものを作るのが自分の戦いなのだ、と。
堅物な役所のこと、さすがに立場上これは聞き流せなかった。
そして許可を取り消し、最後の難題を出す。
それは一切笑いの要素のない喜劇の脚本を書くということ。
しかし後日修正提出された脚本は、役所が見たこともないほど面白くなっていた。
役所は何度も爆笑しながら何度も読み返し、
その出来の良さに感服する反面、許可は出せないという状態になった。
実は稲垣はその前夜に赤紙を受け取っていた。
そして失意の中、最高に面白い脚本を書いたのだった。
役所は稲垣の才能を認め、稲垣を徴兵しないように国に届けを出していた。
しかし行き違いになったのだった。
役所は立場を忘れ、国のため等に絶対に死ぬな、生きて戻って来いと言う。
そしてその後は俳優を見つけ、見つからなかったら自分自身が俳優になってでも、
この最高の芝居を上映しようと言う。
...............................................................................................................................................
昨日ステキな金縛りを見て、三谷作品の中でNo1って感想書いたが、
さっそく記録更新した。いやあ、面白かった。
まず登場人物が少なくシンプルなのが良い。
そして画面とにらめっこしなくてもセリフだけで筋がわかる。
それにしても、面白い喜劇の台本を作って行くシーン自体が喜劇で、
その喜劇の台本を作るわけやから、相当に内容が練られている。
そして最高の喜劇の先に待っていたのは悲劇だった。
そういう運命のいたずらに翻弄される、不幸な時代の真っ直ぐに人達。
役所の立場も稲垣の立場もわかる。その中で最大限の努力をする。
今よりも自由が無い時代の中で。感動的やったなあ。
検閲よりも作る側と見る側に問題があると思う
客観的に見て、その台本の検閲される前と後、面白さは全く変わらない。 つまり、大衆演劇なんてそんなもの何でしょう。 昔の話だから、それで良いですが、今の笑いもあまり変わらないと感じる。 今も同じ様な検閲があるのか無いのか、それは分からないのだが。 さるまた失敬 と似たような ギャグは今のお笑いには沢山ある。主流と言える。お肉の為に死ねるなんて、オヤジギャグ以下。 検閲と言うよりも作る側と見る側に問題があると僕は思う。 舞台で見た事がある。会話劇なので、映画にする様な内容では無いと思うが。 ピグマリオン効果とか言うのだと思う。
前半の勢いがなぜ?
前半のテンポが良くて、役所と稲垣君の掛け合いは、初回ほどの爆笑はしなかったが十分面白い。検閲官の役所が急に怒鳴り始める転換が良いね。ほぼ二人だけというシチュエーションも僕的にはかなり新鮮。
中盤、なぜかとてもテンポダウンする。なんかかったるく、ランニングで坂道を転げるように降りきってとてもだるい。
ナゾのまま終盤へ。この召集令状で急転直下。相反する二人なのに、打ち解けて。
若い頃の役所広司は、最近のなんだか重苦しいだけの役作りと違って、柔和な表情に華があったな。
既視感があった舞台は、名古屋市役所でした。見慣れているからか、役所もののロケ地として定着したからか。検索したら、この作品がロケ地初作とあった。
映画化とは
舞台版を先に観ていた。 舞台版の感動に勝るものはなかった。 コメディから徐々にダークさを 帯びていくところがすき それと、 「ニューシネマパラダイス」と 「ライフイズビューティフル」のサントラらしき 曲を使用していて、 本当にこの人は映画が好きなんだなあと思った。
ほぼ二人芝居、ラスト泣ける
ほぼ検閲官と脚本家の二人のやり取りがメイン。
役所さんの検閲官の発言など刺々しさが丸みを帯びたり戻ったり、、複雑な内面のある役が、はまってました。最後、脚本家に赤紙が届いたと伝えるシーンは、号泣もの。
お肉のために。
笑に対する真摯で熱い思い
検閲官向坂(役所広司さん)の怒りが沸点に達する度、何故か笑いが込み上げてきました。
そんな熱い演技の役所広司さんに対峙する実直な喜劇作家椿一を、稲垣吾郎さんが柔らかな表情で好演。
お二人がキラキラした瞳で熱く語り合うシーンに、三谷幸喜さんの笑いに対する真摯な思いを感じました。
-チャーチルの握った寿司が食えますか!!
-何がお國ちゃんだ!!不謹慎だ!!
NHK-BSを録画にて鑑賞
さすがの役所広司と踏ん張る稲垣吾郎
昭和15年、役所広司扮する検閲官向坂睦夫は、ひたすら不許可の印鑑を劇団の台本に押して台本を一部削除して許可していた。稲垣吾郎扮する笑の大学の座付き作家の椿一も検閲を受けていた。向坂は、非常時に浮かれている場合では無いと言い切って上演許可は出せないと言った。 役所広司がひたすら稲垣吾郎相手に話し続けるスタイルで展開されていく。如何に統制が厳しくて、西洋物が和物になるなど検閲官の思惑に従わないと上演出来ないと言う。笑いに興味が無い検閲官からアドバイスを受けてどんどん台本が膨らんでいく。警察署長まで実名で登場させて、そして上演を観に行った向坂。さすがの役所広司と踏ん張る稲垣吾郎。笑いの無い喜劇とは? 三谷作品で初めて満足できたね。なかなか楽しませてもらったよ。
映画としての重厚感には欠けるものの、安定感ある面白いストーリーでし...
映画としての重厚感には欠けるものの、安定感ある面白いストーリーでした。重点を置いてはいないのだと思うけど、その時代を生きてる人のリアリティがもっとあったら良かったなとは思いました。
やり取り
ほぼ、ふたり芝居 やり取りが絶妙でした。 途中から恋人同士みたいなやり取りで観ててニヤリ😃 人間として惹かれてしまった検閲官がどんどん別人になっていく姿が滑稽でもありキュート。 稲垣吾郎が人たらしっぷりを存分に披露。 あんなに潤んだ瞳でお願いされたら(>_<) 捨てられてる子犬みたいでした🐶 ほぼ検閲されてない今の日本が続きます様に✨
『ホテルビーナス』『茶の味』『NIN×NIN』『2046』(ハウルの動く城)・・・そしてこの作品。2004年はSMAPのメンバー出演映画が出揃いましたね
映画はほとんどが検閲官の取調室という個室の中で繰り広げられる舞台劇。それもそのはず、元々はラジオドラマ、舞台劇と演じられてきたのだ。が、そういうことは全く知らないで鑑賞したため、純粋に映画として楽しんできました。 「ジュリオとロミエット」「お肉のため」・・・この辺りで、もうハートはすっかり掴まれてしまいましたが、次から次へと堅物検閲官が無理難題をふっかける面白さ。真面目に、誠実に駄洒落を解説する面白さ。最近の日本コメディ映画に多いオバカでポップなノリとは全く異質であり、毒の無い古き良き邦画黄金時代をも彷彿させる(と言っても、その頃は生まれてません・・・)。ひょっとすると、若い人がこの映画を観ても「オヤジギャグ」としか受け止められないところもあるだろう。実際、映画館でも大笑いしていたのは年配の人が多かった。 しかし、忘れかけていた本格的な日本コメディー映画。対象年齢は若干上の方だと思うが、笑いと涙と感動をプレゼントしてくれたよ。ゴローちゃんはSMAPの中で一番の正統派俳優になりましたね。 本日、『トリコロールに燃えて』も観たのですが、同じような時期、日本ではこの映画のように表現の自由が許されない世の中であり、フランスでは自由を謳歌する世の中。日本と海外を比較するのも面白い。
笑いのロールプレイングゲーム
初めて見たのは舞台中継だった、セリフのインベーダーゲーム、ああいえばこういうやり取りの軽妙さに舌を巻いた。三谷さんはラジオ、舞台、映画とメディアと役者が変るたびに脚本はすべて書き直したという、コメディというとコント芸や顔芸なぞ一過性の笑いに流す安直な監督も多い中、喜劇への真摯な取り組みは頭が下がる。作家と検閲官、二人の笑いに対するこだわりに説得力があり、喜劇とはどうあるべきかを釣られて考えてしまう、まさに笑の大学、喜劇を通じて喜劇の本質に迫るシチュエーションは秀逸だ。本作はフジテレビの亀山プロデューサーの熱烈なラブコールで実現したが星監督は完成度の高さから随分固辞したようだ。慧眼あたらずとも遠からず、星監督は三谷さんのような奇人ではない分、灰汁が抜け綺麗に纏まりすぎた気がしないでもない。
全23件中、1~20件目を表示