劇場公開日 2004年7月31日

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「軽やかな会話に宿る怒りと絶望」父と暮せば La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 軽やかな会話に宿る怒りと絶望

2025年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 原爆の惨禍を生き残った後ろめたさと見捨てた人への罪の意識で「自分は幸せになってはいけない」と恋心を封じようとする娘を案じて、亡父が幽霊となって甦るという井上ひさしさん戯曲の映画化作です。地元の上映会で鑑賞。

 舞台作らしく、宮沢りえさんと原田芳雄さんの実質的二人芝居なのですが、本作は演劇ではなく紛れもなく映画でした。軽やかな会話の遣り取りに思わずクスッとさせながらも、原爆への怒りと悲しみ、遣り場のない不安が渦巻いています。

 宮沢りえさんは、役者としてならば現在の方が円熟しているのでしょうが、あの贖罪の思いを表すには本作での若さと可憐さが必須だったに違いありません。また、重いテーマを決して暗くしない原田芳雄さんの軽みはさすがです。

 それにしても、戦争への怒りをこんな形で昇華できる井上ひさしさんはやっぱり凄い人だったんだと感じ入りました。戦争を生き抜いた人の腹の括り方を思い知らされます。

 米原子力空母の艦上ではしゃぎ、日本の非核三原則の変更を淡々と述べる政治家にも是非観て欲しい作品です。いや、「このような戦争の惨禍を繰り返さない為にも防衛力を高め」と気持ち悪い笑顔できっと会見するんだろうな。

La Strada
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