チルソクの夏のレビュー・感想・評価
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高校生のピュアな恋
水谷妃里扮する遠藤郁子たち下関の 高校生らは1977年釜山に渡りスポーツ交流を行った。夜、郁子に釜山高校2年の安君がわざわざ会いに来た。高校生のピュアな恋はときめいていいね。チルソクって七夕なんだってさ。文通も趣があって思い出が残るよ。そりゃあハングルも覚えようと言う気にもなるさ。ただ親はいい気にはならないようだ。戦争の傷跡は深いね。 若い頃の上野樹里も出演していて新鮮で飛んでる娘役だったね。劇中に出て来たツイストのあんたのバラードも懐かしかったし、郁子のお父さんが流しの山本譲二だったり先生がイルカってのも意外だったわ。まあ青春だね。
カルメン77
「来年のチルソク(七夕)に会う」ことだけが彼女たちの願い。携帯もメールもない、今から見れば不便な時代に、これだけ純粋に高校生活を送った彼女たちに乾杯。「S・O・S」「あんたのバラード」「カルメン’77」とハートをわしづかみされっぱなしだった! 土曜日、映画祭ということで中高生もかなり多く満席。画面には主役の女の子たち、「ん?三田寛子か?」と思ってよく見ると、彼女が主役の水谷妃里嬢。中高生の観客はわかんないでしょう・・・「Aを狙ってんだ!」という樹里嬢の言葉に中高生が「Aって何?」とざわついた(笑)・・・わかんないことだらけなのね。そして「38度線」「戒厳令」「日本人嫌い」と、このテーマが出てくると、中高生諸君はさっぱりわからないのでしょうね・・・(そんなことで騒ぐな!うるさい!静かに見てろ!)。 無理もない話なのだ。思うにこの映画、中高生たちを啓蒙するための要素がかなり入っているように取れるのです。今でこそ韓流ブーム、日韓友好、サッカーのワールドカップと、仲良くしているのだから、20数年前における韓国人の日本に対する思いなんてわかりませんよね。で、中高生たちがわかりやすかったのは「韓国の女性って皆レズ?」とか、『幸福の黄色いハンカチ』だったようだ。しかも、山田洋次監督のこの映画のシーンでは、中高生たちがすすり泣いていた(学校で鑑賞会でもあったばかりなのかな?思い出しちゃったの?)。 映画としてのストーリーの組み立ても、さすが佐々部監督、脚本とも気持ち良かった。「5センチバックして」と「5番ゲート」の微妙な伏線も効いていたし、白黒とカラーの使い方も良かったです。映像では、緩やかなカーブのついた下り坂の商店街が良かった・・・『列車に乗った男』にもこのような商店街があった。 難点は、時代考証の小物。マジソン・バッグやスヌーピーも見たかったし、白黒テレビを見ている家庭にしては電子レンジが置いてあったり、カラオケはまだピークを迎えていない時代だったという、細かな点が残念。当時はまだ8トラックのカラオケの時代です。 【2004年11月映画館にて】
【”日韓の若き高校生のスポーツを通じた恋愛に、二国間の哀しき歴史が影響を及ぼすのはオカシイよ!、彼ら、生まれてないじゃないか!】
ー 作品の存在は知ってはいたが、初見である。 しかも、主演は上野樹里さんだと、勝手に思っていた。 けれども、主演は水谷妃里さんという、何となく橋本愛さんに雰囲気が似ている素敵な女優さんであった・・。ー ■感想 ・日韓の政治的な問題が長く続く中、下関と釜山が友好関係の都市であった事。そして、1970年代から、「関釜陸上競技大会」が、代々続いていた事に驚いた。 ・その大会に出る、日韓の高校生達の姿。 ”韓国は日本への対抗心が凄いから・・、良く分からんけど・・” という、言葉。 ー 日韓の歴史の軋轢は、何時になったら、解消するのであろうか・・。ー ・そんな中、高跳びに出場する郁子(水谷妃里)のジャンプを観ていた安君からのアドバイス。 ”ファイブ・センチメートル・バック” そして、バーをクリヤーする郁子の姿。 ー 素晴らしいアドバイスを贈ってくれた同年代の男子は、国籍の隔たりがあっても、気になるよね!ー □安君の、日韓の壁を越えた郁子との”ロミオとジュリエット”シーン。 ”イクコ、オハナシシヨウ・・” トイレット・ペーパーに郁子が書いた、住所。 ー もっと、ちゃんとした紙はなかったのか!等と、突っ込みつつ、魅入られたシーンである。ー ”七夕知ってる?” ”チルソク!” <日韓の、歴史的な負の遺産は、未来永劫続くのかもしれない。 だが、佐々部清監督のオリジナル脚本である、今作の様な素晴らしき映画が製作され続ける事で、その負の遺産が少しでも氷解していく事を願ってしまった作品。 安君と、郁子の十数年ぶりの邂逅のシーンは、物凄く心に沁みます・・。>
韓国との架け橋になって欲しい
日韓関係をいい方向に持って行くために、下関と釜山の市民の陸上競技大会があったことをこの映画で知った。しばらく途絶えていた大会が再開したというが、平和への架け橋になって欲しいと切に思う。韓国との関係、日本での差別、戦争によって分断された北と南。いろんな映画に描かれているが、語りべとしていい作品を残していって欲しい。 佐々部監督のご冥福をお祈りいたします。
公開後に学校上映されていた。
2005年頃の徳島県内の高校生はこの作品を学校で視聴した人が居たと思う。 公開時は今ほど嫌韓が進行しておらず、ヘイトも感じにくかったが、今見ると偏見の目で観てしまいそうなことに恐ろしさを感じる。 一昔前の親父の山本譲二とか、今居たら非難轟々だろうなぁ。 手紙の文通で怒るんだから、どこに嫁行っても怒りそうだよ(笑) 韓国陸上の男子と小さな町の陸上女子の細やかな恋心を描きつつ、現実的には受け入れられ難い韓国との関係性を差別的として見ることも出来るが、それ以外の同級生たちも活発に生きており、ラストの歌を歌いながらの登場は、過去を思い返していくのみで物悲しかった。 嫌韓が進んだ現在ではこの作品も扱いづらいのかも知れない。昔は感じなかったヘイトの風を今は強く感じるので寒々とする世の中になりつつある事を実感する。
わけありの関係だが
GYAO!のキネマ旬報ベストテン映画から。2003年のはずの映像を白黒にしてスタートして、1977年に戻ってカラーになるという、意外な色の使い方で始まった。『スウィングガールズ』で話題になる以前の上野樹里が出演している。下関と釜山の高校生の陸上競技会の話で、4人の日本の女子高生の仲間が選手として釜山に行く。
韓国の事は何も知らないが、日本国内でも日本人同士で結婚できない人が増加して、(遊び人がフリーセックスと不倫する両極が起きているが)日本人と韓国人の淡い恋の話だとすると、そんな余裕もないのだがなと思うのだが、逆に、日本人男性と韓国女性の恋の話なら良かったかも知れない。競技大会は日韓戦というより、日本で言えば東京のような釜山と、下関の競技会なのだから、人口から言っても普通は下関は大きく不利で、実際そのような対抗戦になっていた。私は関東在住だが、山口県あたりだとだいぶ韓国が近いイメージになるのか。私が観た時点が2018年だから15年後では、現在60歳前くらいの人の青春だろうか。映像は高校生の鋭い無駄のない肉体が映し出され、女性の競技姿も美しい。佐々部清監督は、『八重子のハミング』の監督でもあるのか。上野樹里の演じた女子高生は、男子高校生と性行為してしまい、生理が来ないということでか悩んでいたが遅れてきたと喜んでいたシーンがあったが、これはまずいだろう。一気に評価を下げた。ただ、その女子高生は間違った考えなのだが見栄のような気でやっていたのかよくわからない。日本では年間20万件ちかい中絶数なのもあり、でき婚になったとしても基本的に良くはない。
それに比べたら、山本譲二演ずる父親に反対されても、外国人と交際するほうがまともだろう。むしろなかなか会えなかったり、言葉が流暢に関係できないという国の違いが、文通という方法をとることによって清純な関係になっている。その対比としても上野樹里はあったのだろうか。どうして山本譲二の父が強く反対する意味はわからない。この確執に意味はあったのだろうか。下関の女子高生がハングル文字を覚えて文通が続いていたシーンはすごいなと思った。韓国人の高校生のほうはほうで、母親に交際を良く思われていなくて、成績もともに下がったのを責められていた。
上野樹里のほうも、相手の大学上京のために不安になっている。山本譲二の父親役は流しで頑張ってはいるが、家計は苦しく、主人公の娘は進学先に悩む。就職すると母親に伝える。1977年という時代背景もある。娘は風呂は銭湯に通っていた。親父がうまくいかなくて問題になってしまっているのはドラマとしては余計だったかも知れないと思ってしまうが、現実にはそうした家庭がうまくいかずに影響を受けてしまう思春期、青年期の人も多いのだろう。それは今でも。韓国の男子のほうが中流的な家庭で、目指すもソウル大学だという。母親の強い反対から、陸上部も辞めさせられ、主人公の女生徒に、韓国人の母親がハングルで手紙をもうよこさないでくれと書いてきた。
海に向かって「馬鹿野郎」と叫ぶ女生徒。もうハングルの手紙が読めるようになっていた。女生徒も陸上部をさぼるようになってしまった。それでも新聞配達は続けていた。仲間の女子3人が泣きながら説得してくれる。「陸上をやってきたのは何のためやったんやろう。」父親も連動してトラブルから流しを辞めようかと悩んでいるときに、娘は新聞配達代金から壊されてなかったギターを、新たに購入して、私は陸上推薦で大学に行かせて、お父さんも流しを辞めないでと頼む。そのギターで娘と女房の前で弾き語りをする。翌年の関釜陸上競技会になる。場所は下関。友達は、その韓国人だけが男じゃないからねと慰めるが、辞めたはずの陸上競技会に、文通相手の韓国人が現れる。劇中使われている音楽は、ツイストの『あんたのバラード』や、ピンクレディーの『カルメン77』などである。その頃だ。競技前の前夜祭で二人は再会する。困難より誠実が勝っていた。イルカも出演していたが、『なごり雪』が主題歌や、劇中にも活用される。それにも時折双方の無理解が顔をのぞかせるが、それを超える出来事を高校生たちが演出する。韓国人男性を演じたのは日本人だったが、誠実な男性をみせている。先の戦争での確執の影響が述べられる。細いトンネルで、福岡県と山口県の境で話す二人。38度線も簡単に超えられるようになりたいと女性に話す。北と南は同じ民族なのに。憎しみ合うのはおかしいよ。といまだに解決できていない話をする。
私たちは、タレントの誰が好きだとかそういう話ばかりなのに。と言うと、だから日本は幸福で良いんだよと男性はいう。そして山口県の方向へ競争しようと、一緒に走る。この誠実さが泣けてくる。
この映画では、韓国男性のほうが日本語をよく覚えてくれて、話ができるようになっていた。最初は英語で通じていたりした。仲間が仕掛けた再会で、次に会えるのは4年後だよと話す。長いけど絶対に会おうと約束する。ここで良くはないので評価を下げざるを得ないが軽くだが抱擁後のキスシーンがある。そしてすぐさようならと日本語で言って別れる。精神的な関係に性愛が忍び寄る複雑な人間の仕組みだが、泣いている女生徒に仲間3人が出てきて、『なごり雪』を歌ってあげる。複雑だが泣かせるが、翌朝に部活の顧問に夜遊びして何事だと注意を受けている途中で、女性とは走り抜け出す。船で立つ韓国人男性を見送ろうと走る。だがほんの少しの時間で、間に合わなかった。何度も相手の名を叫ぶが、聞こえなかったのだろう。そして、ほかの女生徒に頼んで、ブレスレットを渡して欲しいと頼んでいた。そして、また白黒に戻る。2003年の七夕での釜山と下関の陸上競技会。結局4年後に二人は会わなかったのだという。主人公は結婚もしたが離婚してしまっていた。腕にはブレスレットをしていた。バブル崩壊で10年ストップしていたという。運営の再開に尽力したのは主人公の女性だったが、体育大学を出て教師になったようだ。そして映画らしい、布石の解消が起こる気配となる。ハッピーエンドを予感させ、『なごり雪』が流れる。
上野樹里最高だった
最近のテレビでの上野樹里はパッとしないように思うが、デビューの頃はすばらしかった。仲良し女子高生3人組の中でおちょけた役回りだが、主役を食うずば抜けた魅力を感じさせる。天然の魅力というより、器用さや頭の良さが目立つように思う。 ストーリーは真面目そのもの、直球勝負だが、そこがまた上野樹里の魅力を際立たせている。まわりが真面目だから、「私、こんなんでいいですか?」みたいなとまどいが、ストレートに伝わってくる。コミカルな演技も控えめで、そこが女優の真摯な性格を浮き彫りにする。 主役の日本人高校生が韓国人高校生と密会する場面を、上野樹里は仲間の女子高生とこっそりと目撃する。ここがクライマックスのシーンだが、この場面に感激した上野樹里は泣きながら「なごり雪」を歌いながら2人を祝福する。このマンガそのもののシーンも上野樹里のおかげで持ちこたえてしまうのである。 ストーリーをすべて飲み込み、自身の演技で消化してしまう女優であった。今は少し残念だが、今後の展開に期待したい。評価は上野樹里だけに対する評価です。映画はどうっていうことのない普通の映画です。
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