盲獣VS一寸法師のレビュー・感想・評価
全2件を表示
サイコな按摩
つげ義春による短編漫画を原作にした『ねじ式』からオウム真理教など凶悪犯罪者をモデルに『地獄』を低予算映画として撮り上げた三部作とでもいうべき石井輝男が最後に挑んだ江戸川乱歩の小説。
控え目に思えるエロと残酷な迄のグロ描写にシュールな雰囲気とオドロオドロしい世界観、三作通して脱ぎっぷりの良い藤田むつみは石井輝男のお気に入り、前作『地獄』で宮崎勤を演じた平山久能は引き続き薄気味悪く演じてみせる、この二人の役者の存在感が際立つ、その後の活動が謎でもあり!?
リリー・フランキーと塚本晋也を主演に地味ながらも知名度抜群な手塚眞に園子温など作り手たちが多くキャスティングされ、無意味に感じながら丹波哲郎は三作通してお決まりのパターンでの重要人物。
石井輝男の美術的センス、色彩感覚が素晴らしい映像のLookが奇怪で魅了されてしまう。
エログロ世界では言い尽くせぬ、芸術と見世物の狭間的作品!
石井輝男+江戸川乱歩、容易に想像できるのは見世物小屋的エログロ世界、でもエログロでは済まされない映像がここにある!
もともと映画も見世物小屋的な発想の延長の一表現として存在し得るところがあるとすれば(特にホラージャンルの映画)、目を覆うような映像にこそ一部のマニアックなファンに絶賛される世界観を石井監督は表現しているのであり、その存在こそが見世物小屋を芸術の領域まで高める事に他ならないのではないか!?
当然、万人に向けた作品とは言い難く、劇中では丹波哲郎演じる館長が「こんなの芸術ではない!!」と言い放つシーンがあるが、まさに石井作品を的確に言い当てたセリフ!
この作品がリリー・フランキーの出演デビュー作であるようだが、一見の価値アリは盲獣演じる平山久能の演技、病み付きになります(笑)。
全2件を表示