ユンカース・カム・ヒア

劇場公開日:

解説

多感な少女と、彼女が飼っている喋る犬との触れ合いを通して、愛について描いたファンタジー・アニメーション。原作は元“TMN”の木根尚登の同名小説で、今回の映画化にあたって木根が音楽と声優も担当している。監督は「きんぎょ注意報!」の佐藤順一。

1995年製作/100分/日本
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:1995年3月18日

ストーリー

小学校六年生の野沢ひろみはごく普通の女の子。しかし、彼女は飼っているシュナイツァー犬・ユンカースが人間の言葉を喋るという秘密を持っていた。ひろみの家には仕事で滅多に顔を合わすことのない両親のほかに、ひろみの家庭教師で医大生の圭介が下宿していた。圭介はひろみの初恋の人だったが、ふとしたことから圭介に恋人がいるらしいことがわかる。ユンカースとともに圭介の身辺調査を開始したひろみは、圭介本人の口からフィアンセがいることを聞かされた。ショックを受けたひろみを慰めてくれたのは、ユンカースだった。ひろみの誕生日、フランスから帰国した父・新太郎と食事をしたひろみは、母・鈴子が来てくれなかったことに少しガッカリしたが、それでも久しぶりの父との再会に心休まる思いをしていた。ところがその夜、両親が離婚をほのめかす会話をしているのを立ち聞きしてしまったひろみは、失意のどん底へたたきつけられる。ひとり泣くひろみに、ユンカースは「僕は奇跡を三つだけおこすことができるんだ」と囁いた。半信半疑のひろみは冗談まじりに、圭介と恋人・洋子の破局を願う。翌日、圭介が電話口で口論しているのを目撃したひろみは、昨夜のことを想い出してゾッとする。ひろみは後悔からクリスマス・パーティを計画して、二人を仲直りさせようとするのだった。しかし、準備は整っているのに、洋子はなかなかやって来ない。心配したひろみが駅まで迎えに行くと、ちょうど洋子がタクシーに乗って帰りかけているところであった。タクシーを追いかけて懸命に雪の中を走るひろみは、タクシーが止まってくれることを強く願った。するとタクシーは停車し、洋子がこちらへ向かって戻って来るのだった。それが、ユンカースの起こした2つ目の奇跡だった。ひろみは圭介と洋子が仲直りしたことにホッと胸を撫で下ろす。しかし、その喜びに浸る間もなく、ひろみは両親から正式離婚の決定を聞かされた。絶望のひろみは親子三人で最後に行った旅行の写真を見ながら、もう一度この海へ行ってみたいなと願うのだった。すると、突然ひろみの体は光に包まれ、「さあ、行こう」と言うユンカースに導かれながら、いつしか写真の海へと到着していた。そこには父と母の姿もあり、懐かしい思いに昔の心を取り戻した三人は、いつまでもきつく抱き合うのだった。こうして両親の離婚は回避され、中学生になったひろみは再び元の生活に戻っていった。ひとつだけ前と違っていたのは、ユンカースがもう人間の言葉を話さなくなっていたことだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0細部に光るリアリティ

2018年2月27日
PCから投稿

ファミリー向けのファンタジー家族もの。
にしては、ドラえもんやクレヨンしんちゃんの名作どころと比べて話が冗長で芯がない。
しかしながら細部にこだわったリアリティ溢れる描写が素晴らしい。
例えば主人公のランドセルの金具や中身の教科書が揺れる音、お盆の上のカップの水が地面と水平に揺れるところ、狭い駐車場に車を前後にしながら入れるところ。そういった細かな描写が、何の説明もなく喋る犬が登場するありえないおとぎ話の世界観を、視聴者が素直に共感できる現実世界へと繋いでくれているのだと思う。

時代を反映した家族問題の取り上げ方が面白い。当時は共働きも珍しかったのだろう。現在では当たり前になりすぎて陳腐化したキャリアウーマンと鍵っ子の諸問題がシリアスに描写されているのがなんとも古臭く少しばかり滑稽に思える。

主人公の娘はストレスを溜め込む“良い子”という、これまた今になって見ればよくありがちな設定のキャラクターだがあまりに達観しすぎていてなかなか共感する子ができない。とはいえ、ラストシーンで「両親とも仲良くならなくていいから、今のままでいて欲しい」と泣くシーンは、これまた大人が作った美談っぽい名言のそれではなく、子供のがひねり出した語彙力の中での切なるいじらしい願いが感じられて、胸にくるものがあった。

特になんの説明もなく日本語を話すユンカースが、何の前触れもフリもなく「奇跡3つ起こすぞ!」とかほざきだすのはいくらなんでも強引すぎないか。ファンタジーの設定すべてにいちいち説明を求めるほど野暮ではないが、それでももうちょっと何か匂わせるバックグラウンドがあっても良かったのではなかろうか。死んだおばあちゃん絡みとかでさ。

家政婦さんキモいけど愛嬌あってかわいい。

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