ジョゼと虎と魚たち(2003)のレビュー・感想・評価
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雰囲気◎
こういう、わけがわからなくて見終わったらしっくりくるタイトルって大好きです。
タイトルがツボな分期待値が高くて物語は残念ながらそれを超えてはくれなかったけど(この映画の良さがわかるにはまだ子供すぎるのかなー)、それでも良作だと思います。
描いてる部分はリアルで恒夫の存在もリアルなのに、ジョゼ=池脇千鶴さんの間とか声の感じだったり、その場面そう撮るかっていう面白いカメラと証明の使い方が、ジョゼの体の障害を差し引いてもどこか非日常的でそのバランスに惹かれました。まるでヨーロッパ映画を観てるようで。
まずは妻夫木さんと池脇さんの役作りに拍手です。
妻夫木さんって爽やかすぎる人には惹かれない私の中ですごく珍しいタイプで、苦手なくらいの爽やかさなのに同じくらい色気があるというか、それが恒夫を演じるにあたって本当に利いてました。
池脇さんは、もう本当に良かった!原作は未読なのですが作者のジョゼ像もきっとこのままなんだろうなあ。偉そうで我が儘で可愛くて、強くて、弱くて、強い女性。見事としか言いようがないです。
そして感情の表現の仕方も秀逸。
写真を使うことによって私たちが気にも留めない見慣れた風景一つ一つがジョゼには特別なことが際立ったり、
SM雑誌(まさか最後まで効く小道具だとはwでも良い演出だった)の金井ハルキ!?の大爆笑から大爆発までの気持ちの推移とか、
他にも内側から撮ったり外側から撮ったりアングル変えたりだとかがさりげないけどすごく効果的良かったです。
恋愛って書類もハンコもいらないし、暗黙の了解はあっても絶対的なルールや形もなくて、誰とどこで何をするのも始め方も終わり方も自分達次第。
ジョゼと恒夫が過ごした時間は長い人生において二十代前半の2、3年くらいで、ただの過去にできる日もくるかもしれない。
でも別れるってことは他人に戻るだけじゃなく出会う前とは何か違う自分になってるってことだから、「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」的なハッピーエンドじゃなくても恒夫にもジョゼにも“変化”がみられるラストにはしみじみさせられました。
なんかレビュー書いてたら見終わった後より印象良くなってきたかもw
男の弱さ 女の強さ 心の細やかな表現が絶妙
いやぁ、いい映画だ
コメント付きも観ちゃったんで
2回連続して観ることになっちゃった(笑顔)
DVD特典に
本編を観ながら、
犬童監督、妻夫木くん、
池脇さんのコメントが聞ける。
そんな特典がついていまして、
早送りして面白いところだけ観よう、なんて思っていたら
まるで上映終了後のティーチインのように興味深い話をしていたので、
結局、丸々2回鑑賞する羽目になってしまいました(苦笑)
アドリブには“セリフ”だけでなく“間のアドリブ”もあること
それが一番印象に残ると同時に、勉強になりました。
◇ ◇
2003年製作ですので、
最初はストーリー以外のことばかり気になっていました。
江口のりこさんのキャスト名が漢字なんだ、とか
上野樹里さんがメチャメチャ若くてプクプクしているなぁ、とか。
撮影当時17歳だったそうですからね、とても初々しくピンクが似合ってかわいかったです。
作品の世界に入り始めたのは、
ジョゼが乳母車から包丁を振り回したところからかな。
なんじゃ?この映画は??
そっからは、集中しきっていました。
だから内容もメチャクチャ覚えていて、
さっき上で「念願叶い」とPCで打ち込んだときに
「叶い」の部分が「金井」と最初変換をされてしまい、
うわっ、SM雑誌の金井くんだ!示す編と衣編を間違えた金井くんだ!
参加の「参」の字の点々が、いつも反対方向になっている金井くんだ!
と、ありえないところに敏感に反応してしまったくらいですから(苦笑)
他に、印象に残ったのは、
・主役両名の演技の上手さ
池脇さんの大阪弁、妻夫木くんの微妙な感情をみせる表情演技
・出てくる家庭料理が美味しそう
犬童監督が「映画に料理を出すのが好き」とコメントをしていたのですが、
たしかに『眉山』『グーグーだって猫である』『ゼロの焦点』すべて、料理が
出てきているんですね。本当に好きなんでしょう。ちなみに今作で登場した
出し巻き卵。真剣に美味しそうで、鑑賞後スーパーに買いに行ってしまいました(苦笑)
なお、三者のコメントでは、料理がらみで、池脇さんが、当時20代前半の若さで
マイ糠床を持っており、今時そんな人いないだろう、という話で盛り上がっていました(笑顔)
・池脇さん上野さんの対決シーン
両者が刀を持っていれば完全に時代劇。
それほどの緊迫感があふれていました。
隠れ助演賞は池脇さんの乳母車を押していた子役の女の子。
いい動きと、いい表情をしていました。
・旅行~ラストまで
ここがクライマックス。
特にホテル以降は涙なしには観られませんでした。
池脇さんがホテルで独白するシーン。
妻夫木くんが歩道で泣き崩れるシーンで涙です。
・音楽
今作、くるりがすべて担当をしています。
『ゴールデンスランバー』のティーチインで
中村監督も仰られていたのですが、映画に染まりきっていないのが
逆に良い結果を出していました。初めて2人が抱きつくシーン、
初めて旅行に行くシーンの音楽が、個人的には大好きです(笑顔)
☆彡 ☆彡
と、いろいろコメントを聞きながら
へぇ~~~、って感心したのが、池脇さんの家、
ロケとセットが混在していること。そう言われるまで
気がつきませんでしたからねぇ。美術さん天晴れです。
あとは、妻夫木くんの髪が
角を曲がったとたんに、若干短くなっていることかな。
大丈夫ですよ、本編ではまったく気がつきませんでしたから(苦笑)
1回目鑑賞後はA-かなと思ったのですが、
2回目のコメント付きがあまりにも面白かったのでAにします。
やるな!DVD特典!!
恋したい
好きな映画を訊かれたら「ジョゼと虎と魚たち」と答えています。ラストに賛否両論ありますが、わたしはジョゼの強さがとても好きです。それでも恋をしたい、と思います。恋愛の、輝かしいひとときをユーモアをもって見せてくれた映画でした。大好きです。
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