ジョゼと虎と魚たち(2003)のレビュー・感想・評価
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原作未読。アニメ視聴済み
恒夫(妻夫木聡)がチャラい。ノリコ(江口 のりこ)、カナエ(上野樹里)、ジョゼ(池脇 千鶴)を渡り歩く。
ジョゼの祖母(新屋英子)が亡くなってから恒夫はジョゼと数か月暮らし、その後は別れて(逃げて)カナエとよりを戻す。
ジョゼはコロコロ、コロコロと自分で買い物をしたり、魚を焼いたりしてなんとかやっている。
食事シーンがあってトイレシーンがあって、生活感もあり、会話もシチュエーションも違和感がなく、性描写があって大人向けで、口は悪いけど可愛い魅力的なキャラクターのジョゼから目が離せなくて、虎も青いクルマも登場し、ジョゼの子供時代の映像もあって、立体的な丁寧な描写で終始面白かった。
池脇につきる
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大学生の妻夫木が、足が悪くほとんど外に出ない池脇と出会う。
親しくするようになり尻軽な妻夫木はちょっとした恋心を覚えるが、
池脇の唯一の身寄の婆が、もう来ないでくれと言い、終わる。
あなたのような男は池脇の力にはなれない、というのが理由だった。
やがて婆が死に、それを聞いて心配になった妻夫木は池脇の家を訪れる。
歩けない池脇が一人で生きるのは大変で、寂しい思いをしていた。
そして自ら誘う形で妻夫木に体を許してしまう。
妻夫木は付き合い始めの彼女と別れ、池脇との同棲を始める。
妻夫木は法事のために帰省する際、池脇を連れて行く。
しかし直前で障害者を紹介するのが怖くなる。察した池脇は海へ誘う。
こうして池脇は初めて海を見たのだった。
やがて妻夫木は元の彼女とヨリを戻して去る。ええええええ?
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障害者との付き合い方の難しさを感じさせられる映画だった。
障害を持って人と接する事なく生きて来て少しゆがんではいるが、
大人になっても純粋さを持っている女性を池脇が好演していた。
このような弱い立場の女性を救ってやりたいと思う男は多いだろう。
でも妻夫木は優しいが中途半端で逆に人を傷つけてしまうタイプだった。
目先の楽しさしか追えず、責任感もまるでない、腹の据わらない男だ。
彼女といても池脇の事が心配で思いっきり上の空になってたり、
しまいにゃあ、池脇を捨てた自分を責めて泣き出す始末。
彼女の前ですることちゃうやろう、そんな事。
こういうしょーもない男は最初から障害者に恋なんてすべきではない。
いや、違うか。若い頃は誰だって遊びたいばかりで責任感も薄いけど、
障害者との出会いによって初めて腹が据わる人間がいるのだと思う。
実際にそういう立場になってわかる、その人間の真の価値なのかもな。
そして多くの人間はそこを明確にするのが怖いから逃げてるのかもなあ。
そういう意味では、最初の一歩を踏み出した妻夫木は偉いとも言える。
うーん、難しいなあ。
そもそも池脇のキャラは映画的に愛せるキャラ設定になってるわけで、
現実にほとんど人と付き合った事ない人間ならもっと人を怖がるし、
大人と対等な会話なんてできるとは思えんしなあ。
さらにあんなに肌が綺麗じゃないし、愛らしいルックスでもないだろう。
それがなければ、やはり妻夫木も一歩を踏み出してなかったんやしな。
主人公がもっと慈愛を持った芯のある男で、しっかり責任を持ったら、
映画としては面白さがなくて成り立たんわけで、
あえて主人公をショボい男にすることでようやく映画が成立する。
そしてその映画を見た人々が色々と考える。
だから映画としてはこれでいいのだと思った。
恒夫・・・・・
原作未読、アニメ版視聴済み。アニメ版を観た後、原作とどれ位違うのかな?とググったら、実写版恒夫酷いと言うワードが出る出る。
そして、実写を観ると・・・・あぁ・・・・そうね。最後、ジョゼの家を出た後の展開には引いたわ。泣いたのも、結局自分の為に見える。
アニメ版もだけど、ジョゼに惹かれたのも分からないなぁ。インパクト有る出会いではあったけども。アニメの方はバイトって事で会う機会もあり、次第に距離が縮まって行くのは有るけど、こちらは・・・うーん。
アニメは綺麗な感じ作り、実写は色々と生々しく、まぁリアルと言えばリアル。
サディスティックな我儘とマゾヒストのモラトリアム青年の話だ
最初の電波塔に『あそこ』を想像できる人が見て分かる話だ。(エロい想像じゃない)
ふすまの穴隠しに『ABBA』の写真が♥
凄く正直に、リアルに描いている様だけれど、ありえない話になっている。
先ずは風呂付きの住宅にすべきだし、車椅子もきちんとしたものに設定すべきだ。また、本は絶版でも図書館へ行けば良い。
身も蓋もない話なのだが。なんか、この映画を見て、大阪弁を聞くと『火垂るの墓』と『じゃりン子チエ』を思い出す。2つは名作なのだが、この作品は『迷作』だ。女優さんの努力が拭われない。
この作品(映画、原作)の最大のテーマは、ジョゼの心の成長だ。だから、男は誰であっても良いわけだ。その点がこの映画の点睛を欠いている点だ。
相手が最初から『変態おじさん』だったら、どんな話になっていたのだろう?同じこと事が女優さんにも言えている。
田辺聖子の思想を見た。
韓国版と全く違う別物である。始まりはあまり好みのスタートではなかったが徐々にこの作品に込められた本質が見えてくる。関西在住者及び居住経験者には極めて理解が及ぶ作品へと進化する。各俳優の出身地に分からわなぬ設定である点も関西の持つ独特の抒情がよく出て好感を持てた。慣れない方言を俳優に強要した作品ほどしらける作品は無いからだ。その点この作品は細部までよく作ってある。特に池脇千鶴の関西弁が田辺聖子の思想をよく体現している。5歳下の新人、上野樹里を強烈に演技で突き上げる。妻夫木も基本好きな俳優ではないがいつも作品の後半ではやられてしまう。いい俳優と言わざるを得ない。それにしてもこの作品の構成は見事である。人間の本質のいやらしさをこれほど正面から描いた作品をあまり知らない。普通の人間が普通に暮らしている中で差別だけにある意味救いがない。救いがない中でうまれる池脇の強さで我々は救われる構図になっているところが実に素晴らしい。傑作である。
アニメのハッピーエンドが物足りなく感じるリアルな物語
子供と一緒にアニメ版を観て、素直に「とても良かった」と感じ、後に調べて随分と前に実写版が作られており、さらに近年韓国版も出たと知って、今回こちらの2003年を観た。
アニメ版では、ジョゼの家には破格の時給で恒夫を管理人として雇うだけの余裕はあり、家も古いけれど趣があり、ジョゼには絵の才能もあった。逆に恒夫は両親が離婚していて苦学生で、しまいには事故で足を怪我をしてジョゼの苦しみが少し理解できた。ジョゼに下駄を履かして恒夫にもハンディを与えたことで、二人が対等になったからこそ愛ストーリーとして楽しめたのだと思う。
一方、実写版は打って変わって陰湿な雰囲気が漂う。「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴がジョゼ役で、同じ空気感がある。ジョゼは施設出身で長屋暮らし。暮らしぶりは貧しい。ジョゼの祖母も悪態ばかりつく幼馴染も不気味だし、拾ってきた本や教科書からの知識は豊富だけど偏っていて恒夫に言わせると「変なことばっかよく知っている」。
恒夫にはセフレやクラスメートの気になる女の子がいて、女の子に困っている感じは全くない健全な大学生の男の子だ。ツンツン立った髪に象徴される軽薄さも、どこにでもいる普通の男の子らしさがある。そして、アニメ版と決定的に違うのは、田舎の両親や同じく都会で暮らす弟の存在だろう。都会で暮らす息子二人のためのダンボールいっぱいに野菜やらタッパー入りの明太子やらを送ってくれるような家庭だ。田舎のごくごく普通の善良な親に育てられた兄弟なんだと分かる。
つまり実写版でのジョゼと恒夫は非常に不釣り合いなのだ。違和感がある。恒夫はジョゼに与える存在でしかなく、惹かれる理由がよく分からない。最初は好奇心と同情だったであろう。
二人が最初に体を重ねるシーン。ジョゼが服を脱いでブラジャーを外すのを見ながら、恒夫は感極まって「泣きそうだ」と言う。セフレやクラスメートの女の子で経験があってそういうことには困っていない恒夫の純情が見られるシーンだ。
その後も、少なくとも恒夫にとっては、ジョゼとの関係は自然な恋愛として捉えているような場面がいくつかある。ジョゼの家に引っ越す時に、ジョゼが読んでいた教科書の持ち主の後輩を手伝わせてた時に「障がい者と初めて喋った」という後輩に対して「おれも」と笑うところとか、弟には隠すことなくジョゼと暮らしていることを伝えているところとか。普通の男たちの子がたまたま障害のあるジョゼと付き合っているのだ。
実写版では二人だけの世界と周囲の人たちも含めた世界での揺れ動きがしっかりと描かれている。ボーイフレンドを取られたクラスメートはジョゼに文句を言いにいき平手打ちをかますし、弟とのやり取りも恒夫を現実に引き戻す効力がある。二人の関係は外から見ると歪で無理がある。
二人だけの世界がずっと続けばいいと観ながら思ったが、それは恒夫も同じだっただろう。法事に出るために田舎へドライブする旅行で、車から降りると恒夫はジョゼをおんぶしている。車いすを「いらない」と言うジョゼを、ずっと背負い続けるのは大変だ。
恒夫は「俺だっていつか年取るんだし」と言うが、ジョゼとの暮らしがずっと続くように思って言った言葉だろうけれど、口に出した途端に、その将来に現実味がないことを悟る。ジョゼは恒夫おぶればいいと言いつつ、車いすを使わないことで恒夫にジョゼを背負うことの大変さを実感させたのだと思う。
障害者用のバスルームの中でトイレに座るジョゼに恒夫が抱きつくシーンは本当に切ない。彼の心が折れてしまった瞬間だ。両親にジョゼを会わせられない、ジョゼをずっと背負ってはいけないと。ジョゼは二人の関係に未来がないことをずっと知っていたんだと、恒夫が気づいた瞬間でもあっただろう。
別れた後のジョゼは電動の車いすで颯爽と進んでいる。一方、恒夫は平手打ちの元カノとよりを戻しているものの歩道で泣き崩れている。
「別れても友達になれる種類の女の子がいるけど、ジョゼは違う。ぼくがジョゼに会うことはもう二度とないと思う。」これで、恒夫にとってジョゼがいかに愛しくて大切でかけがえのない存在であったのかがよく分かる。
恒夫はあまりにも普通の男の子で白馬の王子様にはなれなかったけれど、恒夫との恋愛を通じてジョゼは外の世界へ踏み出していく。魚のホテルで予言したように、恒夫がいなくなった後もきっとジョゼは大丈夫だろう。
ハッピーエンドではないけれど大丈夫を感じさせる、リアルな物語だった。
まじ妻夫木許すまじ
原作未読。劇場公開時鑑賞。
そんなことになってるなんて知らなくて、池脇さんがががががが妻夫木何やってんだコラーと取り乱してた。ああ、恥ずかしい。
アニメ版も近年観たし、こちらは原作から改変されているようだが、良し悪しは別として、こちらが好きだと思う。すんなりいったら、今でも心に残るような映画にはなっていなかったと思う。
主演の2人。すごい。
妻夫木くんお池脇千鶴、すごく良い。日常って感じの雰囲気も良い。
障がい者と付き合ってビビって逃げるのはなしだろって思うけど、自分がその立場だと…。
最後、すごく悲しい。
妻夫木君のダメっぷりに納得
妻夫木聡さんは、よくこの役を引き受けたなと思うくらい、ダメな男を演じています。
でも、そうゆう、弱さみたいな部分を自然体で演じれるのが彼の魅力なんですかね。
対して、池脇千鶴の、障害を持ちながら、強く、奔放に生きるキャラクターに納得しました。女の人って、強いよなと妙に感心したりして。
ストーリーは後味良くは終わりません。感動のラブストーリーを期待する人にはおすすめできませんね。
2013.3.1
ずっと前から見ようと思っていて・・・
今まで見ないでいたので、プライムでなんとなく視聴。
一番印象に残ったのは上野樹里のビンタ。
ジョゼにビンタ食らわして、自分も顔を差し出してビンタ食らうところが好きです。
すごいフェアな女の子。
健常者と障がい者のケンカではなく、普通の女の子同士のケンカです。
もはや相手を障がい者として見てない。恋のライバルとしか見てない。
障がいという垣根を越えて、本物のコミュニケーションをしている。
こんなケンカができるなんて、ジョゼも幸せな気持ちになったんじゃないかな?
健常者の薄情は障がい者を強くした
「にいちゃん、怯んだと?」
これに尽きる。
恒夫は障害を持つジョゼを親に紹介する機会を自ら放棄、ジョゼは始めから「そんなことあるわけない」と達観してた。
「その後数ヶ月一緒に棲んだ」
のは恒夫に負い目を持たせないジョゼの優しさかもしれない。
ラストの電動ジョゼの逞しい瞳にはもう誰も映りこむことはないのだろうね。
お前、何様や思とんのや。お前は壊れもんや
映画「ジョゼと虎と魚たち(2003)」(犬童一心監督)から。
作家・田辺聖子さんの短編小説の中に書かれている原作も読み、
映画のアニメ作品も観ての感想は、この作品が、一番よかった。
20年ほど前に公開されたけど、今なら「差別表現」で、
ネット上では大炎上してしまうのでは?と思うほどだった。
「足が不自由」というだけの障がいなのに、
世の中と隔離される、本人も仕方ないと諦めるなどなど、
これが少し前までの現状として、私は再認識させられた。
昼間、車椅子で出かけただけで、
「お前、何様や思とんのや。お前は壊れもんや、
壊れもんには壊れもんの分ゆうもんがあるやろ。
世間様に何の役にも立てんのに、
いっちょ前に遊んどるやないがな。バチ、あたるぜ」と、
祖母から叱咤される。
さらに、障がい者自身が生活環境を「深い深い海の底」に例え、
「そこには、光も音もなくて、風も吹かへんし雨も降らへんで、
シーンと静かやねん」と表現した。
「寂しいじゃん」と感想を口にした健常者に対し、
「別に寂しくはない。初めからなんにもないねんもん。
ただゆっくりゆっくり時間が過ぎていくだけや」と付け加えた。
そして「いつか、あんたがおらんようになったら、
迷子の貝殻みたいに独りぼっちで、
海の底をコロコロ転がり続けることになるんやろ。
でもまぁそれもまた良しや」と続けるシーン。
正直、胸が締め付けられるようで、泣けた・・。
「東京2020パラリンピック」で感動した人、必見!!。
キスシーン長め
3人の女とのラブシーン、かなり生々しくて子供とは観てはならない映画。
主人公がなぜジョゼに惹かれたのか?現状から救い出したかったのだろうか?案外あっさり別れた割には引きずっているようだったし。何より一度振られた樹里さん、元サヤに戻るのが信じられなかった。真っ暗な海底から地上に出られた事は恋愛がキッカケだったと思う。それは非常に良かった。
ハイウェイ
ジョゼに障害があったから、恒夫は逃げた。
そういう風に観た当時は思っていました。
死んだり、ハッピーエンドだったりするような
奇を衒った映画ではなく、リアルだよね。逃げちゃうんだもん。
なんて風に語ったりしていました。
だけど、最近思うのは障害は関係なくって
男と女、恋愛というもの自体が何かのきっかけで簡単に
脆く崩れ去ってしまうんだってこと。
ジョゼが台所の椅子から飛び降りたときの
ドンって音が、ジョゼの話し方が、ジョゼの家のご飯が、
とても好きです。
しごく自分勝手な感想(ネタバレあり)
2003年の作品ということで、結構昔の作品。
ここのレビューをいくつか拝見して思ったのは、これは差別とか関係なく純粋なラブストーリーだという感想を見かけたけど、やはりこの作品の1番コアな部分はそこだと思う。
つねおが実家まであと少しというところでひよったシーンもそうだけど、なにより、
ジョゼが、自分はこわれものであるということに反論もできず、ひとりで生きていくことに大変な不安を抱えて、つねおにずっとそばにいて欲しいと涙で訴えながらも、結婚?あほかと、あり得ないと言い、最後は自分から身を引くような感じであっさりとつねおを送り出していくシーンは、とても胸が苦しくなった。
いまどきはバリアフリーとかいろんな議論もされてるし、障がい者雇用も進み、差別的な発言や偏見もだいぶ減ってきていると思う。
これからの時代は、障がい者本人が、自ら距離を取ったりせず、もっと周りと対等に接し普通に恋愛し、失恋して、大人になり、自立することがテーマになってきていると思う。
つねおは結局ジョゼを捨てて、その足で元カノの元へ帰ってしまう。自分勝手だという人もいると思う。だけど、それが普通の青春じゃないだろうか。
最後、ジョゼがさっそうと車椅子で買い物に出かけ、きれいに掃除されてる部屋で、ひとり魚を焼いてるシーンは、急に泣き崩れたつねおと比べてとても力強く、対照的で印象的でした。
大阪万博のころの話?でもガラケー使ってるし…
ずいぶん前に話題作だからってWOWOWで録ってあったDVDで鑑賞。アニメ化されるって知って観とかなきゃって感じで鑑賞!切ないラブストーリー。よかったです。まだまだ幼かったころ両親に連れて行ってもらった『大阪万博』のころの物語かな~って感じるくらいいい雰囲気の映画でした。よく知らないけどATGみたいな?!
『こわれもの』なんてひどい言い方、扱い方をされながらも唯一の頼りのおばあと暮らしながら心を閉ざしていたジョゼが大学生の恒夫と出会って変わっていく(成長していく)姿が、そして二人の距離が何とも言えず胸に残ります。
17年も前の作品なんですね。主役のふたり、とてもいい役者さんです。
この前観た『浅田家』での妻夫木聡さんの役どころもそうでしたが、ホントにいい人なんでしょうね。人柄がにじみ出てきてます。
池脇千鶴さんも『半世界』での夫の吾郎ちゃんを助けるいい奥さん、こちらも色々な味のある役柄をこなせるいい女優さんです。
痛~い役どころの上野樹里さんもジョゼをビンタしてから自分の顔も近づけるシーンがなかなかでした。
新井浩文さん『天国の本屋』で初めて知った役者さんでしたがこちらの方が古いんですね。とってもいい味出してたのに、惜しいですね~。
最後の電動車椅子での一人で生きているジョゼの後ろ姿になんだかほっこりするとともに、女性の強さを、またあっさり別れたようで実は大決心の末であることを思わせる恒夫の号泣シーンがとても印象的です。
『差別』という重いテーマを扱ってとても考えさせられる映画でした。『あん』を見た時もそう思いましたが。歳を経て観なおしてみるといいんじゃないかと思いますし、主人公たちと同じ世代で観られたらまた違った感想になったんじゃないかとも思います。
17年後の今さらですが評判にたがわずいい映画でした。
奇跡のような作品
奇跡のような作品だと思います。下手な表現で、申し訳ありませんが。
主人公は、足の悪い身体障害者のジョゼと、大学生の恒夫。
内容は簡単に言えば、この二人が織りなす恋愛物語。
この作品の素晴らしさは、まずリアルさにあると思います。
懐かしさを感じる街並み。自然と耳に入ってくるセリフ。障害者への差別的感情。そして薄っぺらい恋愛映画とは違う、暖かさと虚しさを兼ね添えた、思い出にはないのに、何故か体験したことがあるかのように感じるラブストーリー。
その全てが完璧で、この映画に私は共感してしまいました。
悲恋だの、運命的な出会いなの、そういった劇的な恋愛でも内容でもないです。
だからこそ、素晴らしい。共感こそが、人の心を掴むのでしょう。
恒夫とジョゼの関係性が素晴らしい。ジョゼは障害者であるがために、人の悪意には敏感で、心を開きません。しかし、そんなジョゼに現れたのが、屈託のない純粋な青年、恒夫です。
恒夫は、ジョゼに対し差別もしなければ、同情もしません。一人の人間として、等身大に向き合ってくれます。
彼はジョゼをその世界と繋げるただ一人の存在でした。ジョゼは、恒夫と過ごすなかで、人の暖かみを感じます。
今まで知らなかった世界を教えてくれた、優しい男にジョゼは恋をします。同時に恒夫も、今まで出会ったことのない、純粋で独自の世界観を持つ彼女に惹かれます。
ですが、この恋は破局を迎えるのは、映画を見るなかで、自ずと分かっていきます。
二人がどんなに、二人だけの小さな世界を築こうとも、恒夫は外の世界との繋がりを断つわけにはいきません。
誰かが悪いわけじゃない。だからこそ、悔しくて切ない。
恒夫の優しくも、ずるい性格が作品の魅力を底上げしてます。
恒夫は自らジョゼの元を去り、泣きます。
ですが、誰が彼を責められるでしょうか。
誰が彼のように、ジョゼに真剣に向き合ってきたのでしょうか。
皆、身障者を見ると、目を背けるだけです。
彼はそうじゃなかった。
そして、彼だけがジョゼの世界を広げ、ジョゼの束の間の幸せとなり、希望となったのです。
ジョゼの最後のシーンは決してバッドエンドなどではありません。強くなった一人の女の姿を観客に見せ、希望を抱かせる物語でした。
最後に。主演の池脇さんと妻夫木君の二人の演技は見事でした。彼ら以外に、この作品を演じられた人はいないでしょう。この二人をキャスティングし、原作小説を映画作品に昇華した監督の手腕も、見事と言うほかありません。
何もかもが完璧でした。
いつまでも忘れられない映画です。
出会えてよかったです。
祝アニメ化
「いつか貴女はあの男を愛さなくなるだろう」とベルナールは静かに言った。
「そして、いつか僕もまた貴女を愛さなくなるだろう…。我々はまたもや孤独になる、それでも同じことなのだ…。其処に、また流れ去った一年の月日があるだけなのだ…」
「ええ、解ってるわ…」とジョゼが言った。
2001年から2010年の邦画ベスト10(あくまで個人の感想)
30ページほどの短編なのにいまだ原作未読
たぶん田辺聖子の顔があまり好きじゃないからだろう
2003年公開当時地元の映画館で観たしDVDなどで何度も観ました
これは傑作です
バリアフリーラブストーリー
バリバラなんかよりこっちの方が圧倒的に面白い
あんなもの嫌味でとんがっているだけだがこれは違う
プレイボーイの陽キャの大学生と身体障害者で歩けず隠れるように暮らす読書好きな陰キャの甘く切ない恋愛物語
妻夫木演じる恒夫の思い出話から始まりワクワクさせてからの雀荘
大阪丸出し
爽やかさゼロ
純愛ラブストーリーじゃなくてコテコテのコメディーかよと掴みはOK
ヌードがバンバン出る
濃厚なキスシーンもある
こんなにキスしていたこと忘れていたわ妻夫木と上野
だいたいにして親の助言が必要ってどう助言すればいいんだよ
親の立場なら絶対イヤ
関西人の役を関東出身の役者が演じることが多いがこの作品は池脇千鶴上野樹里江口のりこが関西人
なんや文句あっか
福岡出身の妻夫木くんは関西人の役ではなく他所の地域から関西の大学に進学したんだろう
「しちょる」だから広島かな
関西弁に関してはいちいちうるさい関西人の映画ファンも満足だろう
僕は方言のリアルさとか映画やドラマに求めてないけどね
それは重要だと全く感じないから
公開当時から一番印象に残っているのは江口のりこの擬似フェラ
この映画はエロいかもしれないが全体的には下品ではない
下品なのはこのシーンだけ
当たり前だけど妻夫木池脇上野江口みんな若い
当時の上野樹里は昔の石原さとみ同様に都会的とはいえず全く垢抜けていない
新井浩文も出ていた
新井浩文すごい髪型で役としてだいぶ仕上がっている
元俳優なんて切ないわ
「ほんまに帰る気か・・・帰れ。帰れと言われて帰るような奴ははよ帰れ。帰れ」
声に出して読みたい日本語
2001年から2010年の邦画No. 1の名場面
っていうか言うほど池脇千鶴のオッパイ小さいか?
大きくはないけどあれだけあれば十分だろ
巨乳美少女アニメ好きのオタクあんちゃんとは共感できない
池脇と上野がビンタしあうシーンもいいね
車椅子ではなくおんぶするシーンも良かった
パーキングエリアも海も
多目的トイレのシーンも良かった
記念撮影なのに笑顔じゃないジョゼが最高
結局はバッドエンド?
やっぱり身体障害者は重かったのか?
いや違うと思いたい
上野に見つめられながら妻夫木が泣くシーンもスクリーンからジョゼが消えるラストシーンも印象的
それにしても「こわれもの」って酷いね・・・
あの扱いは怒りを通り越して悲しいわ
あとなんで大阪出身だからって池脇は吉本なんだろう
騙されたのかな
ちゃんと契約してるんだろうか
17年前より生きやすい世の中になっただろうか?
前から気になっていたけれどなかなか観る機会の無かった本作をやっと鑑賞。
評判通りの良作でした。
『万引き家族』や『37セカンズ』を鑑賞済みの立場から観ると、2003年のこの作品の先見性と普遍性に驚かされます。
・事情はそれぞれだが、養育してくれる親のいない子どもたちがいること。
・身内の障害を世間様に申し訳ないと考えてしまう保護者に育てられる子どもがいること。
・同情なんかじゃない、本当に相手のことが好きなんだという無垢な気持ちにウソはない若者。
・ウソではないが、二人だけの世界と、世間という世の中が混じり合うことで生じるさまざまな葛藤と立ち向かうのは、若者ひとりには荷が重すぎて、最後は逃げてしまう。
・冷静に考えれば、そこで生まれる葛藤の大半は若者ひとりの問題ではなく、社会全体の責任で支えるべき問題のはずなのだが、若者は自分の弱さや卑劣さこそが原因であると自分を責めてしまい、深く傷つき、後悔することになる。
生きにくい環境で暮らしている人たちを応援するのに、個人でできることは財力のある篤志家でもない限りほとんどないかもしれません。では今の社会全体は17年前より生きやすくなったのかと考えると、少なくとも格差は広がり、メンタルを病む人が増えている現実をみると、否定的にしかなれません。社会の一員として自分が出来ることを考えることだけは
続けていこうと思います。
世間が見ないことにしている現実や存在にスポットを当てた『万引き家族』。
障害を持つ者との関わり方について、特別なことではなく、誰にでもある遠慮や後ろめたさや普通でいいんだという気づきを与えてくれた『37セカンズ』。
それらの要素が、主要な登場人物はあのコワイおばあちゃんを入れて4人だけなのに見事に映し出されています。
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