蕨野行

劇場公開日:

解説

棄老風習のある村を舞台に、人間の生と死を見つめたドラマ。監督は「結婚/佐藤・名取ご両家篇」の恩地日出夫。村田喜代子による同名小説を基に、「トップ・ファイター」の渡辺寿が脚色。撮影を「阿弥陀堂だより」の上田正治が担当している。主演は、「うなぎ」の市原悦子とオーディションで選ばれた新人の清水美那。芸術文化振興基金助成作品。

2003年製作/124分/日本
配給:東映
劇場公開日:2003年10月4日

ストーリー

江戸時代中期。庄屋の嫁・ヌイは、60の齢を迎えた年寄りが家を出て人里離れた原野“蕨野”に移り住むと言う、村の秘したる約定を姑のレンより聞かされる。それは、厳しい土地にあって数年に一度来る凶作から若い者たちの食料を確保する為の昔からの知恵。しかも、蕨野に食料は無く、作物を植えることも許されず、ジジババは里へ下って村の仕事を手伝うことでしかその日の糧を得ることができないのだ。だが、秋まで生きながらえれば家に戻って来られる。今年、60歳になるレンは心配するヌイにそういい残すと、7人のジジババと共に蕨野に入って行くのだった。そして、彼らの壮絶な生活が始まる。惚けてゆく者、足腰が弱り動けなくなる者、飢える者……仲間たちが次々と死んでいく。更に、例年にない雨の多い冷夏、凶作が村を襲った。そんな中、ヌイは秋になってもレンが帰って来られないことを知る。そう、レンはヌイを安心させる為、嘘をついたのだ。蕨野に帰りの道は無かった。冬、雪深い蕨野で遂にレンも息絶える。しかし、夢枕に立った死んだ孫によって彼女はヌイの子として転生することを聞かされる。果たして肉体から離れたレンの魂は。やがてヌイの里へ降りてゆくのだった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5洗うことはもしや 心ほぐすことでありつろうか

2018年11月11日
PCから投稿

ぬいよい。おばばよい。という嫁姑のやわらかく優しい心の声での掛け合いではじまる物語なのだけれど、棄老伝説が題材の悲しい話。美しい映像に輪廻転生もはいってファンタジーぽい終わり方なので悲惨さはない。 村の掟で60歳になると里を出て「蕨野」に住まなければならない。貧しい村の口減らし。食糧をもらいに里にくるが、その際に「名を捨てること/物言わぬこと」などの決まりがある。 蕨野行になったレン(おばば。市原悦子)馬吉(石橋レンジ)をはじめとする9人の最後までを描いた作品。名作。

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