「何度観ても良い 主人公の気高さと人々の哀歓を丁寧に綴った名作」たそがれ清兵衛 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
何度観ても良い 主人公の気高さと人々の哀歓を丁寧に綴った名作
文豪 藤沢周平さんの3つの短編小説を組み合わせて1本に再編成し巨匠 山田洋次監督が演出、ストーリー・映像・キャスト全てにおいて完成度が高く何度観ても感動する素晴らしい作品
主人公“たそがれ清兵衛”は奥さんを亡くし2人の娘と年老いた母親を食わせていくのに必死な貧乏ぐらし、自分の身の回りのことを蔑ろにしているため衣服は破れ、異臭を放つ有様を周りから笑いものにされているが、清兵衛の本質的には高潔で真っ直ぐに生きる剣術の達人
そんな清兵衛を静かに力強く、熱く演じている真田広之さんの演技が素晴らしいです
そして清兵衛が宮沢りえさん演じる夫のDVに苦しむ幼馴染の朋江を助けることで質素で平穏だった人生が思わぬ方向へ動き出すストーリー展開が本当に秀逸でグイグイ引き込まれ、息を呑むラストに向かって突き進んでいく脚本が本当に見事です
山田洋次監督が当時初めて手掛けた時代劇とのことですが、そうとは思えない完成度でこだわりを感じる画力と美しい映像に圧倒されます
そしてキャストも豪華な実力派で固められ見応えたっぷりです
宮沢りえさんがすごく綺麗で所作も美しく、ずっと観ていたいぐらい魅力的な女性を演じていました
そして田中泯さんの存在感が凄すぎる、劇映画としては本作がデビューらしいですが、とんでもない眼力と息を呑む不穏な全身から出すオーラがとんでもなく、あらためて凄い人だなぁとつくづく感じました
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