「真田広之の最高傑作」たそがれ清兵衛 garuさんの映画レビュー(感想・評価)
真田広之の最高傑作
理不尽な役目でも、命を賭して努めなければならない侍の宿命。 若い頃から芸能の世界で生きてきた真田氏自身も、清兵衛の負った役目に深く感じるところがあったのかもしれない。 清兵衛という人物が、映画の中で命を宿し、見事に息づいていた。 彼が本来持つ真面目で優しそうな人柄が、良い形で役に投影されたのではないだろうか。 真田広之のはまり役であると同時に、最高傑作だと思う。
主役の真田広之の存在なくして、ここまで魅力的な作品になることはあり得なかったとさえ思う。 もちろん山田洋二監督の見事な演出があってのことではある。 様々な賞を獲っているように、あらゆる面で素晴らしいが、それでもやはり、真田演じる清兵衛のリアルな存在感こそが、この映画の軸になっていると感じる。
その後、さまざまな俳優を主役に据えて時代劇が乱発気味に制作されたが、この作品を越えるものはなかった。 役に魂が宿るとは、こういうことをいうのだろう。
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