「激動の時代に生きた人たち」たそがれ清兵衛 はてなしさんの映画レビュー(感想・評価)
激動の時代に生きた人たち
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時代劇ではあるが、江戸時代のまま終わるのではなく、ラストシーンに汽笛が鳴る。
庄内地方にも鉄道が来ているので、以登が墓参りに来たのは1915年頃だということがわかる。
近代化以前と近代化以後がつながっているのが、藤沢周平の原作とは違うこの映画のひとつの見どころである。
1865年の海坂藩のお家騒動という前近代的な出来事から、たった50年で日本は津々浦々に鉄道が走る近代化が進んだんだなあということが、この汽笛の効果音ひとつで感じることができる。
朋江が以登と萱野を立派に育てたように、日本全国に激動の時代を生きた人たちがたくさんいたはずである。
そして明治を生き抜いた朋江と新しい時代を見ることができなかった清兵衛とが、一つのお墓で仲良く眠っているなんて、涙が出るじゃありませんか。
陽水の名曲「決められたリズム」がその涙の量を増やす。
これまでに見た良い映画五本指に入る。
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