阿弥陀堂だより

劇場公開日:

解説

東京の暮らしに疲れ果てた一組の夫婦が、大自然の暮らしの中で再生していく姿を描いたヒューマン・ドラマ。監督は「雨あがる」の小泉堯史。南木佳士の同名小説を基に、小泉監督自らが脚色。撮影を「雨あがる」の上田正治が担当している。主演は、「東京マリーゴールド」の寺尾聰と「女殺油地獄」の樋口可南子。第76回本誌日本映画ベスト・テン第7位、日本映画助演女優賞(北林谷栄)、日本映画新人女優賞(小西真奈美)受賞、第26回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞(北林谷栄)、新人俳優賞(小西真奈美)、優秀作品賞、優秀監督賞、優秀主演男優賞(寺尾聰)、優秀主演女優賞(樋口可南子)、優秀脚本賞、優秀撮影賞、優秀照明賞、優秀編集賞、優秀録音賞、優秀美術賞、優秀音楽賞受賞、第57回毎日映画コンクール日本映画優秀賞、音楽賞受賞、第45回ブルーリボン賞新人賞(小西真奈美)受賞、第26回山路ふみ子文化賞(北林谷栄)受賞、日本ペンクラブ賞会員選出ベスト5日本映画第2位、2003年度文化庁優秀映画賞日本映画復興奨励賞受賞。

2002年製作/128分/日本
配給:東宝=アスミック・エース
劇場公開日:2002年10月5日

ストーリー

春、売れない小説家の孝夫は、パニック障害なる原因不明の心の病にかかった妻で女医の美智子の療養の為、ふたりで東京から彼の故郷である信州に移り住む。無医村であったその村で、週3回の診療を始める美智子。やがて彼女は、自然に囲まれたシンプルな暮らしの中、阿弥陀堂という村の死者が祀られたお堂に暮らす96歳のおうめ婆さんや、村の広報誌に彼女が日々思ったことをまとめたコラム「阿弥陀堂だより」を連載している、喉の病で喋ることの出来ない娘・小百合、孝夫の恩師で癌に体を蝕まれながらも死期を潔く迎えようとしている幸田とその妻・ヨネらとの触れ合いを通し、次第に心癒されていくのであった。夏、小百合の病状が悪化していることが判明した。彼女の手術担当医として再びメスを握ることを決意した美智子は、町の総合病院の若き医師・中村と協力して、見事、手術に成功する。秋、幸田が静かに息を引き取った。冬が過ぎ、再び春がやって来る。今やすっかり病を克服した美智子のお腹の中では、孝夫との間に出来た新しい命が息づいていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚色
小泉堯史
原作
南木佳士
製作総指揮
原正人
椎名保
プロデューサー
柘植靖司
荒木美也子
桜井勉
撮影
上田正治
セカンド・カメラマン
北澤弘之
実景撮影
角井孝博
山田康介
砂原洋一
美術
村木与四郎
酒井賢
装飾
菊地章雄
音楽
加古隆
録音
紅谷愃一
音響効果
斎藤昌利
照明
山川英明
編集
阿賀英登
衣裳
長野陽子
福田明
製作主任
松村龍一
助監督
酒井直人
スチール
松村映三
「阿弥陀堂だより」製作委員会
石橋隆文
鎌谷照夫
永瀬文男
宮川鑛一
田村雄二
小野清司
江川信也
衣裳協力
黒澤和子
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受賞歴

第26回 日本アカデミー賞(2003年)

受賞

助演女優賞 北林谷栄

ノミネート

作品賞  
監督賞 小泉堯史
脚本賞 小泉堯史
主演男優賞 寺尾聰
主演女優賞 樋口可南子
音楽賞 加古隆
新人俳優賞 小西真奈美
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映画レビュー

4.0映像美とリアルな人間関係の描き方が秀逸

2024年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 長野の村を舞台にしたストーリーで起伏に乏しいが、それでも引き込まれる。それは、都会の喧騒を離れた村でのゆったりとした時間の流れや、温かい人間関係がリアルに描かれていて、心に染みるからだ。

 また、全編を通じて映像美が素晴らしい。長野の山林や渓流といった豊かな自然を、四季に分けて映し出す。そういった映像がストーリーと合わさって、静謐な時間が流れる良作。

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根岸 圭一

3.5懐かしい風景に巡り会うことができた

2023年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

23年11月下旬、BS260で視聴。封切時に、劇場で見たはずだが。
原作者は、医師と作家の二足のわらじを履くが、医師として肺がん患者の末期を看取る日々に耐えられず、パニック障害を発症する。それが、作家としての著作に反映する。この映画では、原作者はパニック障害を発症した医師である妻と、それを見守る作家の夫に分離され、それぞれを映画界を代表する俳優たち、寺尾聰と樋口可南子が演ずる。スタッフは、基本的に黒澤組、強調すべきは、衣装協力として名を連ねる黒澤和子さんか。音楽は、加古隆。
ただし、映画としては、良いところを詰め込みすぎた感があり、部分的には、黒澤の晩年作の続編を思わせた。
ところが映画が終わる前から、私は不思議な感じに包まれた。私の二人の子供が生まれた頃のことを想い出したのだ。出産のために帰省した家内の実家を、私は何度か訪問した。その頃の私は、どのように生きたらよいか見出す前で、苦しみも多かった。しかし、今は成長している二人の子供の出産前後に、家内、生まれてきた赤ん坊、下の子の出産の時に付いてきた上の子に会えたことは、この上ない喜びだった。随分、元気が出て、日常に戻ることができたように思う。しかも、それが再出発するための勇気を与えてくれた。
ではどうして、この映画を観て、そんな昔のことを想い出したのだろう。
二つ、考えられる。
一つは、何と言っても、夫の恩師の妻役で、あの「東京物語」の香川京子が出ていたこと、長身で立ち居振る舞いが美しかった。
もう一つは、長期ロケを行った奥信濃の飯山の情景。信濃では、昔からある程度、年を取ったら、山に帰る風習があった。撮影のため、彼の地に建てられた「阿弥陀堂」の場所は、「山」と「里」の境界(あわい)に当たるように思われた。雪が「山」から「里」に降りてきたときの情景が美しかった。雪を背景として、映画の役柄の上だけでなく、自身の生涯をかけて老婆を演じた北林谷栄の存在感と演技が光った。
私たちが、もう失ってしまった、自然の中で人々が静かに生きて行くことの意味が、年齢を経て、再びこの映画を見る機会があった私に、伝わってきたのだろう。
私にとっては、大変、貴重な時間になった。

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詠み人知らず

4.0女医の再生

2023年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

幸せ

主人公は優秀な女医(樋口可南子)だが、心に問題が出て、夫(寺尾聰)の故郷、長野に移り住む。
無医村に医者が来るということで、村を挙げての大歓迎となる。
近くに阿弥陀堂があり、90歳を超える老婆(北林谷栄)が一人で住んでいた。
病気で声が出なくなった女性(小西真奈美)も来ていて、おばあちゃんの話を、広報誌に「阿弥陀堂だより」と題して書いていた。
長野の美しい風景と、素朴な人々の心遣いで主人公は徐々に癒やされていく。
静かな作品だが、女優陣の演技に見とれてしまう。

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いやよセブン

3.5疲れたと感じたら

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

幸せ

じんわりと心にしみてくる
優しい映画です。

日々忙殺されて
人間らしい生活というものを
忘れている
都会の人たちには
すばらしい楽園のようにも
感じられることでしょう。

お年寄り何人かに話を聞いて回る
そのシーンで登場されてたのは
ロケ地に住んでらっしゃる
まったくの素人さんだろか?

自分の祖父母の世代は
それこそ大変な思いを乗り越えてきているわけだが
あまり言わない。
それはこの映画の中のセリフにある
思いからなのかもしれない。

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こまめぞう

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