千年女優のレビュー・感想・評価
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【”いつか、きっと鍵の人に会うために。”早逝された今敏監督が描き出す、古き邦画を愛する気持ちに溢れた虚構と現実のコンフュージョン映画。ジャパニーズアニメーションのレベルの高さを世界に認めさせた作品。】
ー 今作の、邦画アニメーション界に齎した、衝撃と誇りは筆舌にし難い作品である。
そして、今作や「パプリカ」の製作、公開により世界にジャパニーズアニメーションのハイレベルさを認めさせた、故、今敏監督の偉業には敬服するしかない。-
◆感想
・物語は、伝説とも言われる邦画の大女優、藤原千代子のドキュメンタリーを撮りたいと思った映像製作会社の社長、立花源也が彼女の自宅を訪れる所から始まる。
■この作品の大きな魅力は、今監督の籠絡でもある”虚構と現実”が藤原千代子を慕う立花源也と彼のアシスタントカメラマンが、彼女が主演した数々の映画の中に”虚構”として登場しながら、千代子が慕う”鍵の人”を追う姿であろう。
ー 彼女は、最初は嫌々ながらも、”鍵の人が銀幕に映る自分を見てくれるだろう”と思い、数々の映画に出演して行く・・。
そして、その数々の作品に見合った形で、立花源也が登場し、それを覚めた視点でアシスタントのカメラマンが映し取って行く。
実に、斬新な”虚構と現実のコンフュージョン”である。-
<今作は,その画の美しさと共に、幻想的なストーリー展開に魅入られた作品である。才能ある今監督の早逝が、残念でならない・・。>
■本日、ゴールデン・グローブ賞が発表された。
私が好きな「犬王」は残念ながらトップを取れなかったが、私自身の想いとしては、受賞したギレルモ監督の「ピノッキオ」と比肩する作品であると思っている。
ジャパニーズ・アニメが世界のアニメーション映画に与えた衝撃は、今作を観れば分かる筈である、と勝手に思っている。
アニメである意味
うーん
呪縛の言葉"必ず逢いに行くって…"オム・ファタール運命の男
内容は、名女優に純粋に憧れる映画監督が、女優の引退の30年後再度元女優宅を訪れ元女優の人生の訪れと幕引きを主観と客観目線で描いた作品。好きな言葉は『明日きっと教えて下さいね!』運命の人に気付き鍵の🗝使い方を教えてくれる様に約束を取り付ける場面。ひたむきな少女としての純粋さと共に狡猾で狡さも感じる言葉が印象に残りました。この『いつか』とは心の中だけに存在し現実には訪れる事のない時間とジャン・ルノワールが言う様に呪われた縛りが生む言葉の一つなのかもしれません。好みのシーンでは、自分の未来の姿にも見える糸車を回す老婆の姿が分かりやすくて味がある表現だなと感心しました。『愛しくも憎い』この台詞の絶妙さが好きです。結果的に、"純粋(ロータス)"であり続けたかった名女優の願望は叶えられず、終始純粋な映画監督だからこそ人生の全てを話す気持ちになったのかもなぁと感じると切なくて苦しくて面白いと感じました。映像的な作画も伏線も素晴らしくアップやバックしながら被写体を回り撮影アングルで作画する所は20年前の作品とは思えない程素晴らしかったです。馬は🐎イマイチでしたが、女優の1人語りを映像として見せる所や時折会話の中に映画監督や助手が絡んでくる撮り方は会話の映像化の巧みさを感じ、こんな表現の方法があるんだと感心しました。最後は台詞を全て表現する所が観客をより広げ惹きつけたんだろうと感じました。テーマは『女優も一人の人間です』って感じが伝えたかったのかなと自分ながらに思います。時折見せる主人公の寂しい目に演技と現実の差異がなくなり、夢か現実かの区別のない恐ろしさが描かれていた様に思える。認識論を題材にした面白い作品でした。
褒めるぜ今監督
見られてよかった
どえらい作品に出会えた。幸せ。
Netflixのおすすめに出てきたので、最初見て面白そうだったら明日、続きを見ようかなと、軽い気持ちで視聴を開始したのだが、グイグイ引き込まれて最後まで見てしまった。ゔー、AM2:00を過ぎてしまった。次の日、早いのに。
引退後のプライベートは30年に渡り謎に包まれている大女優・藤原千代子。千代子のインタービューにこぎつけた映像制作会社の社長・立花源也は、千代子の熱狂的なファンらしい。千代子へのインタビューが始まると、千代子の回想シーンへと切り替わる。と思っていたら、立花とカメラマンの井田までもタイムスリップして登場するじゃないですか。これは、メタ構造なの?
見ている側への説明は一切なしに、どんどん進んでいく。回想シーンから千代子が出演した作品の世界に行ったかと思えば、現実の世界に戻って、千代子が熱演したりしている。舞台は、平安末期から未来までつなぎ目なく切り替わり、息つく暇もない。文字通り「鍵」が物語の主軸になっているから、頭は混乱するものの、なんとかついていける。
ふー、ようやく最後までたどり着いたかと思えば、千代子の独白に胸ズッキューン。どえらい作品を見てしまった。というか、『千年女優』を知らなかった自分が恥ずかしい。
「主人公・千代子の作り話として見ると腑に落ちる」という岡田斗司夫氏の解説を後で知った。なるほど、そういう見方もあるのか。
まだまだこれから
クライマックスの盛り上げる演出とかスゴい。
まだまだやりたい事がたくさんあったんだろうと思える
作品でした。
とても実験的で、
女優と言う職業を活かして、
映画へのリスペクトと日本の千年を描き、
映画と現実が見事に交差し、
難解なパズルみたいな発想をまとめ上げた今敏監督って
やっぱりスゴい方だったんだなと改めて思いました。
最終こそ、
なるほどこう言う演出か、
映画へのオマージュも散りばめられてて
面白い事考えるなぁくらいにしか思ってなかったけど、
ふたたびカギを手にして、北海道へ向かう道中の、
これまでの歴史と現在をミックスさせるクライマックスの演出は鳥肌が立ちました。
ラストの宇宙と現在の見せ方まで、
やりたい事をやって、観客に完璧!と思わせる
ものすごい力のある作品だと思います。
いつかきっと
壮大な90分、ぜひ体験して
噂の本作を、やっと劇場で観ることができた。ありがとう、キネカ大森。
見終わって、期待どおりの喜び。一人の大女優の一生が、たった90分の中にこの上なく高い密度で凝縮されている。その上、我々観客は、昭和という時代をも同時に駆け抜けるのだ。
さらに女優のもつ本性のようなものを感じられた気がする。どんな時代のどんな作風にもあわせて、そのどの場合でも、自分の魅力を振りまき続ける。唯一、年齢を重ねると、かっての自分の若さだけが恨めしい、というかうらやましい。
「千年女優」というこの本当にぴったりなタイトルを、あなたもぜひ映画館で、実感してほしい!
デジタル化必須でしょ。
2021/1/5 再度鑑賞。
昨年は、「パーフェクトブルー」 との併映、今年は 「東京ゴッドファーザーズ」 との併映だ。来年、「パプリカ」 との併映を観れば、自分的には、今敏監督を観る旅の、完成かな。
あらためて観ると、様々なことに気がついて楽しい。
まず、「SF版かぐや姫」 から始まっていたんだなあ。そしてエンディングもそれ。いい感じ。
制作年は2001年。そうか、21世紀は 「千年女優」 とともに始まったのか...
制作はもちろん "マッドハウス" だが、動画設計には "シャフト" の名が。動画サポートは、"DR MOVIE" という中国の会社。日本と中国のアニメ会社の密接な関係をみる。
"時の糸車" を回す老婆、というイメージは、自分の中のなにかにひっかかる。黒澤明 「蜘蛛巣城」 へのオマージュなのか。でも俺、その映画みていないしな。不思議だ。
明治 → 大正 → 終戦 → 昭和 と繰り広げられる主人公千代子が出演する映画のひとつひとつのシーンが、「ああ、そんなシーンを観たいなあ」 と心から思わされるシーンだってことが、とにかく凄い。ずうっと楽しめる!
そして、がれきに書かれた千代子の絵。映画という舞台の上で、千年を駆け抜ける、まさに千年女優! ドラマティックとは、この映画を言うのか!
あの人に、老いた姿を観られるのはいやだった...女優とは、追い求め、追い続ける者...
ああ、人生とはまさにこれだ。
今年も、心から堪能!!!!
【映像演出は素晴らしい!】
或る女優のあまりにも劇的な人生
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