冷静と情熱のあいだのレビュー・感想・評価
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語らなくても信じ合える強さ
フィレンツェの工房で師匠の指導を受けながら絵画修復士をしている順正(竹野内豊さん)と、大学時代に出会い、愛し合っていた女性、あおい(ケリーチャンさん)が、10年の時を経て巡り会うラブストーリー。
以前鑑賞してからかなり経ちますが、最近YouTubeのiDressitalianというチャンネルで アマルフィの海外をドライブする映像を見て、憧れのイタリアの景色に浸れるこの作品を久しぶりに観たくなり、鑑賞しました。フィレンツェ、行きたいなあ〜笑
今回鑑賞して、以前は気付かなかったところがありました。
まず、一つ目が、順正の人生を取り巻く環境がびっくりするくらいつらいことだらけ、ということ。
挙げてみると、、、遺産のことばかり考えている父との冷めた関係、その父がかつて学生時代の恋人(あおい)に対して、子供を堕すように圧力をかけていたこと、あおいは流産してしまったが、父親からの圧力のことも流産のことも知らずに、あおいが勝手に自分たちの子供を堕したと誤解したまま、それが原因で別れてしまったこと、今働いているフィレンツェの絵画の修復工房で、自分が師事する先生が実は自分の才能に嫉妬して、自分の修復作品を損壊してしまったこと、そして工房には真犯人が先生だと知る者たちがいたにも関わらず、誰も自分を庇ってくれず、刑事事件に発展してしまうこと、今の彼女(芽実)との噛み合わない関係性等々です。
順正の人生、困難だらけです。
これについて今回感じたのは、回り道をしても順正が再びあおいを見出せたのは、もしかしたら順正を取り巻く環境が色々と厳しかったからかも、ということでした。家族関係、仕事関係、彼女?関係、、厳しいことだらけだったから、かつてあおいとの関係で感じた明るさを忘れないでいられた、あおいを信じ続けられたのかな、と思います。暗闇の中にいるからこそ、光が指す方向が分かるというか、、、。これにはとても共感しました。
そして今回気付いたことの二つ目は、そんな風に一度は引き裂かれてしまった順正とあおいが再び互いに引き寄せられる過程で、2人が「1番大事なこと(誤解を解くための事実等)」を一度も相手に対して言葉にしていない(それなのに、互いを信じる気持ちは益々強くなる)、ということです。
1番大事なこと、というのは例えば、
•あおいは勝手に子供をおろしたのではなく、子供を堕すよう、順正の父親から迫られたこと。順正はそれを知らずにあおいを責めてしまったこと。
•あおいは、実際には子供は流産してしまったこと
•(あおいは)最近まで一緒に暮らしていた恋人のマーヴとはもう別れていて、1人でミラノで暮らしていること。そしてそのような中で10年前の約束に願いを掛けて、順正に会いに来たということ。
というような、大事な事実です。
側から見ている身としては、「好きなのならば、そこを相手にきちんと言葉で伝えると良いのに、、(そうしたら、もうすれ違うことはないのに)」と歯痒くなるのですが、この作品では、お互いのわだかまりを解くためのこういった事実や、まだ自分が相手を好きでいるということを2人は一切言葉で語りません。例えば、順正が、「君が勝手に子供を堕したと思っていたけれど、親父がそうさせていたと知らなかった、また、流産だったとは知らなかった、事情も知らずに責めて悪かった。」と語るとか、あおいが「マーヴとはもう別れて、今は1人でミラノで暮らしているの」とか、そういうセリフは一切口にしません。
誤解を解くとか、ここぞ!という大事なことは、お互いに言葉にした方が良いと思うのですが、、、(自分なら相手と何気なく、普通に会話したい笑)。
このように、決定的に大事なことを言葉にしない2人について今回感じたのは(それが観客をハラハラさせて、ストーリーをドラマチックにするための仕掛けなのだろうということには目をつぶるとして)、言葉で説明しなくても、相手を信じ続ける、信じ続けられる、というような関係性は、この世にきっと存在するだろうということです。
自分たちの間に「どうしてそんなことが起きたのか」とショックを受けるようなことが起きて、そのことについて相手から説明の言葉を聞くことが出来なくても、またそれで一度は離れてしまっても相手を信じ切れた、また、自分たちは一緒にいることが幸せだと感じ続けられた順正とあおいは、それだけ強い結びつきということなのかな、と思いました。結局、運命による結びつきは、何があっても再び巡り会うものなのかもしれません。そして、そういう関係性は確かにこの世に存在するように感じました。
しばらくぶりに見て、新しい発見のある作品でした。
もちろん、以前観た時と変わらず、素敵だな〜と感じたところも。
まずは、主人公2人の学生時代の瑞々しさ!ケリーチャンさんは、きっと素でもすごく性格が素直な方なのかな、と思いましたが、とにかく可愛らしい!(でも、もしかしたら順正とあおいのような関係は、ご本人的にはまどろっこしいと感じていたかも。スパッとした性格に見えます笑)。また、映像で見るイタリアの新緑の緑と街中のレンガのオレンジ色との調和も素晴らしく美しかったです。俳優さんたちの衣装も、グリーンやテラコッタ色、赤など、景色の色とリンクしていて素敵でした。
追記
遂に再会できた順正とあおい。
つらいことばかりだった順正には、
あおいとの新しい人生を謳歌してもらいたいものです
(マイケル•ブーブレのFeeling Good とか一発聴いたら、
過去を吹っ飛ばして自由な気分になれそう笑)
奇跡に導かれた2人が一緒になったら、今度は色々な奇跡を生み出すようになるかも?
全体を通してパーフェクト
映画マニア過去に600本以上の映画を観てきました。
その中でも1位、2位を争う最高に大好きな作品。大好きなイタリアを舞台に、フィレンツェとミラノの美しい街並みと美しい音楽。
竹野内豊の美しい声。ケリーチャンのなんとも言えない情熱を冷静で隠したような演技。
もういう事ないパーフェクト。
ラストシーンなんて完璧すぎ。
こんなにパーフェクトな映画は他にはありません。映画の後小説を読んだのですが、
映画と小説、どちらも引けを取らない仕上がり。どちらもパーフェクト。
かなり大人のラブストーリー♡
映画を観る前に、原作を先に読んでたので
ハッピーエンドで終わらないんやろなぁって思ってたけど、ラストシーンで2人が笑顔で笑いあった瞬間は、私も嬉しくて泣けました(;_;)
イタリアのフィレンツェの街並みも素敵♡
それから、ケリー・チャンの「あおい」も
竹野内豊の「順正」も最高にお似合いで
この2人で良かったと思う!!
脇役の、篠原涼子やユースケサンタマリアも良かったなぁ~(*^^*)
好きなシーンはいっぱいあるんやけど…
順正からあおいに手紙が届いてから
あおいは恋人のマーヴとうまくいかず
ケンカ?になり
昔のように電話BOXであおいが順正に電話をするんだけど、順正が出た瞬間、何も言えなくなって黙ってると
順正が「…あおい?」って
優しく言うんやけど
あおいは思わず℡を切ってしまって
そのまま電話BOXの中で泣き崩れるってシーンは、私も号泣しました(T_T)
変わってない電話番号も
あおいが忘れてないその番号も
電話の相手があおいと気づく順正も
愛おしくて、切なくて…
このシーンは巻き戻して何度も観るくらい
大好きなんだよなぁ♡
ただ、大学生時代の回想シーンは
ちょっとムリがあったのは否めない(笑)
なので、☆5つとしたいが4つ半で!
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