「三谷幸喜初映画脚本作品」ラヂオの時間 HILOさんの映画レビュー(感想・評価)
三谷幸喜初映画脚本作品
脚本家三谷幸喜がフジテレビ系ドラマ初仕事の作品が『振り返れば奴がいる』。
そして初仕事故に大人の事情が理解出来ずに酷い目に遭ったらしい。
但しTVドラマは高視聴率で主題歌はWミリオン達成(CHAGE and ASKA的には「SAY YES」以来の記録)。
つまり脚本家三谷幸喜の意向か完全に無視され三谷幸喜は酷い目にあったが、
商業作品としては高視聴率を達成し主題歌は大ヒットし、
脚本家三谷幸喜を除く関係者全員がWin-Winなハッピーエンドとなった。
そんな現場経験から生まれた作品。
プロデューサー役の西村雅彦は口八丁手八丁で現場を丸く収めるが、
そのうち戸田恵子が本性を表しワガママ放題となり原作者の鈴木京香が被害者となる。
そんな戸田恵子には編成部長(簡単に言えば社長のような存在で大企業の重役で要は相当なお偉方)の布施明がバックにいて、
現場を指揮する西村雅彦はプロデューサーでありながら編成部長には逆らえない、
そんな編成部長の布施明は戸田恵子に夢中(要は芸能界あるあるの公私混同)。
戸田恵子主演で担当が布施明となれば現場はやりたい放題に荒らされる事は察しが付くはず。
日本映画お得意の哀愁劇になりそうなテーマだが、 三谷幸喜の手にかかれば最高に笑えるコメディーに化ける。 まさに三谷幸喜マジック。
編成部長のコネでワガママ放題な女優、 編成部長の腰巾着なプロデューサー、 所詮は現場監督に過ぎないが優秀なディレクター、 ディレクターの指示で動く現場スタッフ、 そんな個性派集団の上役に振り回される現場スタッフや原作者。
大人の事情最優先で原作者は後回しな為、 かなり苛々する展開であるが(これが実話ベースというから驚き^^;)、 後半戦で中堅管理職という立場に徹していたディレクターが反旗を翻して、 迫力のクライマックスとなり感動のエンディングを迎える。
密室劇を上手く使ったコメディーは三谷幸喜の真骨頂。 三谷幸喜が初めて映画監督に挑んだだけあって意気込みが伝わる。
ちなみに西村雅彦はラジオドラマには無限の可能性と夢を持ってる。ハリウッド映画の迫力に日本映画が勝てるはずもないがラジオドラマだけは例外。想像の世界のラジオドラマは語り手次第でSTAR WARSのような宇宙戦争もインディ・ジョーンズのような世界を股にかけた冒険活劇も可能になる。なぜならラジオドラマは想像の世界だからハリウッドと違くて低予算で出来るから。西村雅彦の台詞だが三谷幸喜の夢というか理想論だろう。