「バタフライ効果」ラヂオの時間 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
バタフライ効果
外国の映画祭でも笑いの渦が絶えなかったというシニカルなシチュエーション・コメディの傑作。
三谷さん自身がフジテレビの「水曜劇場」の脚本をズタズタにされ、挙句、最終回で主演の織田裕二から「こんな悪い奴が生き残るのは耐えられないから殺してくれ」と台本の変更を迫られたという実体験にインスパイアされて作った話ですね。余程、局の人間への恨み辛みも溜まっていたのでしょう、編成部長からプロデューサー、いかにも居そうといういい加減さのステレオタイプ、実に真に迫って可笑しい。千本のっこの我がままから端を発しバタフライ効果のように大嵐に発展する破綻と笑いのカオス状態。何故メアリージェーンなのか、井上順さんがオン・マイ・マインドと駄洒落を言うためだけでしょう。
軟弱、わがままな連中のオンパレードなのだが上司に逆らっても放送マンとしての矜持を貫こうとするディレクター、何でもござれの老効果マン、くすりともしないアナウンサー、馬鹿なのか天才なのか理解不能の便利屋の放送作家など登場人物のバラェテイの広さには圧倒されっぱなし、お掃除おばさんに宮本信子や桃井かおりのパーソナリティ、トラック運転手の渡辺謙さんとチョイ役に不似合いな豪華出演陣、謙さんには気を使ったのでしょうか凄いベンツのトレーラーでした。
常識とのギャップもまた笑いの本質、ただ、終わりの始まりとか始まりの終わりとか名言ぽいが意味不明のセリフ、いったい何を考えているのか三谷さんの頭の中を覗いてみたくなる快作でした。公開当時、家族で観て大笑い、BSでやっていたので再鑑賞。
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