宵待草

劇場公開日:

解説

“無政府主義者”が暗躍した大正時代を背景に、若者と政治家令嬢との逃避行を描く。脚本は「青春の蹉跌」の長谷川和彦、監督は「赤線玉の井 ぬけられます」の神代辰巳、撮影も同作の姫田真佐久がそれぞれ担当。

1974年製作/96分/日本
配給:日活
劇場公開日:1974年12月28日

ストーリー

頃は大正、浅草六区の活動写真館の弁士、黒木大次郎を首領株に「ダムダム団」というアナーキストの集団があった。弁士見習いの平田玄二が副団長格で、井上他十数名の団員がいた。成金代議士・谷川武彦の息子で大学生の国彦もいつしか彼らの仲間になっていた。ある日、温泉場行の乗合馬車で国彦は令嬢風の娘しのに会い、撞球場で虚無的な男、北天才と知り合った。北は国彦を料理屋に誘い痛飲した挙句、翌朝姿を消した。のんびり床を起き出して散歩していた国彦は、しのと会った。二人は散歩の道すがら大木で首を吊っている北を発見した。その夜、北の通夜に参列した国彦はしのと顔を合わせた。彼女には昼間同様、影の如く山口という男がついていた。翌日、しのが東京へ帰ったのを知った国彦は、後を追うように東京へ帰り、玄二を訪ねた。国彦は浅草六区を縄張りにしている女スリのお新に紹介された。その夜三人は夜遅くまで痛飲した。交番襲撃に失敗したダムダム団は、今度は政界の黒幕北条寺の孫娘を誘拐した。その娘を見た国彦は驚いた。しのだったのだ。ところが彼女は誘拐とはつゆ知らず、国彦が自分を口説くために友人を使ったと思っていた。その夜、ようやく二人は愛を確めあうのだった。それを知った仲間は驚いたが、それでも身代金奪取の計画はやめなかった。数日後、山口ら屈強の男たちを護衛にして身代金を持った北条寺がしのを引き取りに来た。乱闘となり、そのどさくさにまぎれて玄二と国彦は身代金を奪い、しのを連れて脱出した。しかしトランクの中は少々の札と新聞紙の束。右翼と左翼の両方から追われる立場になった玄二と国彦、祖父をふりきって来たしの。追われる三人は、丁度、玄二の友人が監督する活動写真のロケ隊に会った。そこで三人は撮影に使っていた気球に便乗した。しかし林の中へ着陸した三人に、黒木たちが追いついた。凄惨な内ゲバが始った。玄二の剣は冴えた。国彦の腕の中でしのは腰を抜かした。東北の貧村の玄二の故郷をめざして三人の旅は続いた。宮様が来るという城下町で、三人は銀行を襲い現金を強奪して、玄二の実家へ辿り着いたものの弟の嫁に銀行強盗を見破られ、飛び出した。日本がダメなら満州があるさ。三人は港町へ行った。そのころ東京で黒木が政府の要人を襲い殺された。玄二は泣いた。そんな玄二が哀れで、しのは玄二に身をあずけた。翌朝、玄二は黒木の意志を継ぐべく、東京へ戻りテロを敢行、射殺された。国彦は一人で満州行きの船に乗りこんだ。だがその船にいたのは山口だった。山口の拳銃がうなり、国彦は死んだ。無人の浜に一人でたわむれるしの。真赤な太陽が沈み、浜は一面に月見草が……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0ミュージカルでもないのに歌が多い

2023年9月23日
Androidアプリから投稿

立命館大学映像学部企画 さよなら京都みなみ会館 -35mmフィルム上映オールナイトで2番目に上映されました。
普段なら観ないタイプの映画。
ミュージカルでもないのに歌うシーンが多い。
細野晴臣が音楽を担当した最初の作品らしい。
でんぐり返りと親なんてどうでもいいじゃないのリフレイン。
ボニー&クライドのように追い詰められてやけっぱちの明るさが漂う不思議な映画でした。
女性とできない、頭が痛くなる主人公はでんぐり返りしてのたうち回る。
最後のお嬢様のでんぐり返りも彼女なりの彼を思ってのでんぐり返りなのかなあ。

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momo

3.5長谷川和彦脚本作。米国ニューシネマ風には好感を持ったのだが、観念的すぎるせいかよく分からなかった

2023年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

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Kazu Ann

5.0大正時代の混乱と恋と逃避行。

2019年11月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大正時代の混乱期に無政府主義者の若者二人と令嬢の恋と逃避行を描く青春映画。

脚本はあの長谷川和彦

主演の高岡健二は、個人的にアメリカの刑事ドラマのスタスキー&ハッチのハッチの吹き替えで認識している人だか、屈託の無い2枚目で、この映画では、とてもいい。

相手役の夏八木勲もこの映画では、脂分が弱くてさわやか。

高橋洋子も美しくてちょっと変わった令嬢役を魅力的に演じている。

この三人が、ふらふらと鼻唄を混じりに道中を重ねてお互いを理解しながら、別れて男二人は、死んでいく。

「明日に向かって撃て!」(1969年アメリカ)に影響を受けていると思うが、あちら程シビアでもないが、この力の抜けた感じも悪くない。

秋冬の東北を背景を名カメラマン姫田真左久が望遠レンズ多用で切り取る絵も良い。

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ミラーズ